バーカウンターから | ひより軒・恋愛茶漬け

バーカウンターから

 退屈じゃないですか?


カウンターに並んでいた男は

長い世間話の後でわたしがそう聞くと

初めてこちらを向いた。


男としては

十分に老いたまなざしで。


男の肩書は大きく

でも言葉は弱く

口慣れた様子の言い訳を三度も繰り返して

あたりさわりのない意見を吐いた。


 本当に?


返事なんて期待しない。

わたしはただ男の手を見ていた。


タンブラーを持つ男の

大きな手に見合った

長く筋張った指と皮膚

堅そうなひびのある爪を。


疲弊して用心深くなった男たちは

たいてい

まっすぐわたしの目を見ない。


だから視線を外して笑顔をみせ

敵意がないことを伝えるしかない。


 ― きみ、名前は?


ここでピアノ演奏。


ようやく

グラスの中で解けた氷が鳴る。





あまりにもブログを書いていなかったので

最近の出来事をもとに軽く書いてみました。



こんな年齢になって

人に理解されない!!なんて滑稽ですね。



いつも訪問してくださる方、ありがとうございます。

アクセス見て元気がでました。本当にうれしかったです。

こんな短いものでなく、いつかきちんとした小説を皆さんに読んでいただきたいです。