風景写真 | ひより軒・恋愛茶漬け

風景写真

「風景写真」


スライド上映会のための
カフェにむかう坂道。
ときどき
会話のピントがぼける。

「どうしたの。マサ君
さいきん変だよ。」

もうすぐオマエが
遠くへいく。

街のゴチャゴチャした匂いのなかで
街のゴチャゴチャした音の中で
並んで歩いているオマエが

その澄んだ目で

いつも
何を見ているのか 
より
どう見ているのか 
それが知りたい

ツマリハ オレ ノ コト
ドウミテ イルノカ

ふざけて撮りあった写真の中で
オレが
ほんとにオレらしく
笑っているのを見た時

ココロがぎゅっとなって
たぶん
オマエが好きになったんだと思う

オマエの撮るヒトビトの眼差し。
その言いようのない暖かさは
みんなオマエの
澄んだココロがうつしたもの。で。

「ねぇ。なんで黙ってるの。」

答えるかわりに
オレは急に立ち止まって
振り返るオマエを
オレの景色の中に
閉じ込める。

ために。

ゆっくりとシャッターを切る。

もう
ほかの
どこにも
行けないように。



きょうお会いしたM&Mさんを
モデルにして書いてみました。
今日は洗濯物をたたみながら考えたんですが、
名前は入れるの難しかったので、
こんなところで許して下さい。