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思いがけず長くなった「ERIKA」
長さに自分でも呆れつつ(笑)



昨年、ニュースで
同性婚認可のための活動をしている女性のゲイの方を特集しているのを見たの
ボカシも目線もなく、にこやかにカメラの前に立っているきれいな女性
その方のご自宅も、パートナー(もちろん女性)も、お母様までそのまま映ってた

TVでの女性のゲイの露出は、男性のゲイに比べて圧倒的に少ない
しかも、男女問わずゲイの方々がTVに出る時ってネタっぽい喋りとか、ネタっぽい扱いとか‥
でなければ少し日陰感あるとか‥
そんな傾向あるでしょ?
それが全くなかったの!
「こういう時が来たんだな~」って思ったのと同時にある人を思い出しました

そのニュースを見た翌日、歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが亡くなって‥
勘三郎さんもニュースの女性も何の関わりもないけれど
「書いておこう!」
と思い立ったのでした



Erikaさんは故人ですが、実在の人物なので名前は少し変えてあります

今回バロウズという名字を初めてカタカナで書いて
アルファベットで書くよりカタカナのほうがかっこいい!
って思った

Burrows
バロウズ

どう?
視覚効果☆
おもしろ~い

こういうことって時々あって、私の名前サファイアも

Sapphire
サファイア

カタカナの方が硬質な感じで好き
アルファベットだとpが二つ重なるところがふざけてるよね



あと
自分で書いたくせに気になっちゃたのが‥
東洋人は欧米人からほぼ確実に皮膚を褒められます
なので、私自身の皮膚がどうこう、ってことではないのでその点、お含み置きいただいて(^^;)

自分達とは違うところに魅力を感じるのかな?
琴欧洲と白鵬の皮膚の違いね(笑)






LOVE xoxo


時刻が知りたくて首をめぐらせてみる。
一瞬それと判らない美術品のような小さな置き時計をやっと見つける。
予想していたより針が進んでいる。

「そろそろ失礼します」

「ほかに約束でもあるの?」

「いいえ」

「それなら一緒に食事しましょうよ。店に行ってもいいし」

言いながら立ち上がり、脚を組んでいた為に持ち上がっていたスカートを直す彼女。
量感のある腿と細い足首の対比が見事だ。

「いえ、今日は失礼します」

「どうして?せっかく会えたのに」

「慣れないことばかりで‥正直‥疲れました」

「慣れないこと?‥そうね。慣れないことよね」

顎を上げて朗らかに笑い声をたてる彼女の喉は、のど仏の隆起がなくなめらかだった。
椅子から立った私にエリカさんのパートナーを呼ぶと言ってくれたが断った。
日を改めてエリカさんのお墓へ案内してもらう約束をした。



彼女の家を出て、エリカさんの家へと続く道との分岐点で車を止めた。
いまはパートナーが管理しているというエリカさんの家。
天井が高く窓の多い海辺のコテージのような家。
明るく開放的でよく笑うエリカさんに似合っていた。

広い庭にはガーデナーがいたし、家の掃除はメイドさんがしていた。
けれど分けてくれる花はエリカさんが世話した花壇で咲いた花だったし、お茶もお菓子もエリカさんがキッチンに立って用意してくれたものだった。

日を間違えて海に出てしまい、浜へ戻ったらエリカさんがいてびっくりしたこともあった。
その時にタンデムの約束をしたのに果たせなかった。
あの日、すぐに乗せてしまえばよかった。
「今度水着を着て来た時ね」なんて言っていたけれど、あんなに楽しそうに笑っていたのだもの。
濡れたって構わなかったはずだ。

そのエリカさんはもういない。


坂道を登り切り、エリカさんの家のゲートの前で車を止める。
ゲートの質感も木立の風情も以前と変わらない。
手入れが行き届いているからなのだろうけれど、高鳴る鼓動が何年か前に戻ってしまった様な感覚を呼び起こす。
落ち着いて。

大きく曲がるドライヴウェイに配置された木々で、ゲートからは家が見えない。
この場所で木々の向うの見えない家を眺めているのは初めてだ。
そしてゲートの脇に据えられた監視カメラに気付く。
以前も同じ位置にあった。
同じカメラかどうかは見ても思い出せないが、カメラがあったことは思い出した。

車から降り、数歩カメラに歩み寄る。
作動しているのか。
ゲートの前に車を止めてしばらく経つし、こうしてカメラを見上げてもゲートの中からは何の気配も窺えない。
誰かがモニタライズしているということはなさそうだ。


以前もよくこのカメラを見上げた。
エリカさんと時間を過ごした帰りに。
こうして車を降りて。

帰り際、カメラに向かって手を振ったのがきっかけだった。
それを見たエリカさんが面白がって二人にだけ解るサインを作ろうと言い出したのだ。

「サイン?て、どんな?」

「簡単な。特に意味が無くても」

「意味が無くても?それだと手を振るのと変わりなくない?」

「そうね‥じゃあ、「また明日」みたいな」

「また‥あした‥」

「それは手話でしょ。みんなに解るわ」

「あ~‥」

「日本語ではどうなの?」

「え?日本語の手話は解らないな~。残念!日本語の手話が解れば長くて正確なサインが作れたのにね」

「正確さは関係ないのよ。ね、日本語で「明日」ってなんて言うの?」

「A・SHI・TA」

「ASHITA?じゃあそれを何かカタチにして」

「ASHITAを?」

「そう」

「えーっと‥向こうの方からお日様が出て‥」

「そういうのじゃなくて!それじゃ日本語じゃなくても同じでしょ!」


あの時もエリカさんは朗らかに笑っていた。
今日観た絵を描いていたエリカさんも、病気でベッドに横たわっているエリカさんも私は知らない。

カメラを見上げて両手で三角形を作るようにAの文字を作る。
地面を指差して二人だけに解る「明日ね」のサイン。



車を発進させてすぐ、後ろ髪を引かれる思いでルームミラーに手を伸ばした。
エリカさんの家の木立が見えるぎりぎりの場所だ。
ミラーに掛けた手の甲に、私を見つけてくれた彼女から移ったラメがきらめいていた。





おわり
pour ERIKA avec amour
j'étais agréable à être passé avec toi







LOVE xoxo