ちょっと前の
湿気の多い日のこと。
叔父が野菜をもって
やってきた。
おかんと一緒に
玄関へ。
私を見るなり
「なんだその頭
カツラか。」
半笑いで言われた。
ア゛ァ゛――??
確かにこの日は
湿気でグルグル。
我ながら
ブロッコリー級だと
思ってはいたが。
面と向かって
言われると
腹が立つ。
好んで
この髪形なわけではない。
やっとここまで
伸びたんだ。
それを言おうかと
口を開いたところで
おかんと目が合う。
私の顔色が変わったのが
分かったんだろう。
普段は鬼レベルで
すっとこどっこいだが。
恐ろしほど
勘が鋭い。
おかんに免じて
野菜のお礼だけ言って
その場を離れた。
部屋で心を
落ち着けていると。
おかんが泣きながら
謝りにきた。
さっきはゴメンねと。
おかんは
何一つ悪くないのに。
脱毛の切なさや
発毛の喜びを
一番近くで見てきたおかん。
私の気持ちが
痛いほど分かるのだろう。
傷ついた心に
寄り添ってくれる。
それだけで充分。
もう大丈夫。
もう負けないよ。
数日後。
なじみのお店に
久々に行くと。
仲良くしていた
店員さんから
「ショートにしたんだね。
ずっとロングだったから
随分雰囲気変わったよね。」
いやいや
やっとここまで
伸びたんですけどね
と思いながらも。
「今年も暑いから
サッパリしちゃいました。」
普通に会話。
一切心乱れず。
あの時は
虫の居所が悪かったのか??
たぶん
おかんのおかげだろう。
うまくスイッチを
切り替えてくれた。
支えてくれる
家族のおかげで
今がある。
私らしくいられる。
強い心をありがとう。
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病人に見えていなくても辛い事があるんです。
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