ポート埋込手術ファイナル(下町人情物語編) | 鬼の霍乱

鬼の霍乱

年下の旦那さまと乳がん治療中の嫁の
珍道中的結婚生活をのらりくらりと綴ります。

「お茶ですよー。」



陽気なおばちゃんの声で


目が覚める。



夕飯の時間か。



温かいほうじ茶を頂く。



美味しい。


ホッとする。


鬼の霍乱-ポート入院晩飯

夕飯もザ・病院食。



看護師さんが言っていた


クソまずい味噌汁なし。



残念。



いただきまーすと思った瞬間


作業服の男が乱入してきた。



ヒィィィィィー。



この腕では戦えん。



よく見ると叔父だった。


お見舞いに来てくれたらしい。



「ビックリさせないでよ。」



「お前の両親がアホだから


来てやったぞ。」



相変わらず口が悪い。


いかにも江戸っ子。


だけどとっても優しい。



しばらく話す。



「食事が冷めちゃうから帰るぞ。」



引き際も見事。



ひとりでも全然へっちゃらと思っていたが


やっぱり嬉しかった。



お腹が空いていたので


ガツガツ食べる。



さて歯でも磨くか。



トイレに行くと50代ぐらいの


おばさまに遭遇。



鏡越しに目が合う。



「夜眠れる?」



さすが下町の病院。



おかんもそうだが


人見知りなど無縁の世界。



「実は私…今日入院したんです。」



「あれれれー。


ところで何の病気なの?」



「乳がんで術前に抗がん剤やるので


腕にポート埋込のために入院したんです。」



病院という場所だからか。


すんなり病名を明かした。



「私も乳がんよー。


ステージⅡbで


全摘して今日から歩けるの。」



「私もステージⅡbです。」



「なんだ仲間じゃない。


色々な治療法があるんだね。


生きるって気持ちが


治ることにつながるんだよ。」



「私全く死ぬ気がしません。」



「お互い頑張ろうね。」



笑顔で別れる。



告知されて初めて出会った


同じ痛みを持つ人。



前を向いて頑張っている。


心強い。



あれ???


私泣いている…



そういえば乳がんになってから


一度も泣いてなかった。



常に前だけを見て


突っ走ってきた。



あまりに自分が強くて


冷静で怖いぐらいだった。



だけど…


今回の涙も辛いというよりは


同じ気持ちの人に出会えて


嬉しいという気持ちが強い。



涙を我慢すると風邪を引くって


誰かが言っていたな。



風邪どころか乳がんなんですけど。



きっと私は家族の前では泣かない。


辛い時に泣けない女。



泣いている自分を


冷静に分析。



そんな自分に思わず笑う。



やっぱり私に涙は似合わない。



もっと嬉しいことがあった時のために


涙はとっておこう。



殿からメール。


仕事から帰宅したのか。



「手術お疲れさま。


良く頑張ったね。」



「心配かけました。


殿の子供が産めなくて


本当に本当にゴメンね。」



自ら地雷を踏む。



「謝らないで。


蓮華が元気になってくれれば


それだけで充分だから。」



もう悲しむのはこれで最後。



必ず勝利してやるぜ。


殿の笑顔を見るために。



昼間爆睡しすぎたせいか


消灯を過ぎても全く眠れない。



音楽でも聞くか。



クラシックをチョイスしたつもりが


まさかのボン・ジョヴィ。



ハードロック過ぎて


余計眠れず。



あまり眠れないまま


朝を迎えてしまった。



おっさん医師の回診。



傷口を見る。


血がにじんでいないので


大丈夫とのこと。



お風呂用のシールを貼ってもらう。



朝食にも味噌汁は出なかった。



次の入院までの


楽しみにしよう。



お世話になった看護師さんに


挨拶し退院。



朝日が眩しい。



輝ける未来に向けて。



前進あるのみ!!!




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