私たちが日々生活をする家の中の環境。
私たちが快適と感じる温度(室温)とはどの位でしょうか?
答えは、
冬:18~20℃
夏:25~27℃
です。
と言いたいところですが、これだけでは正解ではありません。
一般的に人が暑さ寒さを感じる要因は温度の高低のみを気にしますが、実は湿度も重要な要素なのです。
冬:温度18~20℃ 湿度40~50%
夏:温度25~27℃ 湿度50~60%
上記のように、冬ならば温度が18~20℃で湿度が40~50%程度の時快適と感じます。しかし、冬は乾燥しがちなため湿度が低くなることが多く湿度が10%以下だと温度が高くてもあまり暖かいと感じません。また、夏の場合は温度が25~27℃で湿度が50~60%位のとき快適と言われていますが湿度が60%以上になってしまうと同じ温度でもあまり涼しく感じません。
この私たちが体感する快適さに影響を及ぼす湿度を潜熱(見えない熱)といいます。
これに対し温度計などで表示される温度を顕熱(見える温度)と言います。
では何故潜熱と言うのか。湿度つまり水蒸気が大気中に存在するためにはある程度の熱が必要になります。夏になると湿度が高くなりますよね。これは気温が高くなることで大気中に存在できる水蒸気量(飽和水蒸気量)が増えるわけですが、逆に言えば湿度が高くなる=大気中の水蒸気量が増える状態というのは見えない熱(潜熱)が増えたと言えます。つまり、温度計では26℃となっていても湿度が高いと見えない熱(潜熱)が大気中に存在するため私たちは26℃よりも温度が高いと感じてしまうのです。
つまり、私たちが快適に過ごすためには温度と湿度のバランスに心がける必要があります。
そして、もう1つ。
私たちの生活を守ってくれている壁や屋根、床(基礎)という存在。
この壁や屋根、床(基礎)が外気によって冷やされたり暖められることで熱を持ち、それを室内に向かって放出します。これを壁・屋根(天井)、床(基礎)からの輻射熱(輻射温度)と言いますが、これらの断熱性能が低いと屋外の温度や環境の影響を受けやすく外気温に近い温度になってしまいます。
そして、私たちが室内で感じる温度というのは、下図の通りです。
つまり、どんなに暖房または冷房をしても家の断熱性が低いと中で生活する人はなかなか快適に感じることは出来ないのです。
私たちが快適に過ごすために
①建物の断熱性能・気密性能を極力上げることで建物の輻射温度を室温に近づけるとともに室内の熱が外部に逃げないようにする。
②室内の湿度を調節し、体感温度をコントロールする。
これらにより、より少ないエネルギー(冷房の温度設定を高めにするor暖房の温度設定を低めにする)で快適に過ごすことが出来ます。少ないエネルギーで済むということは省エネばかりか光熱費を抑えることにもつながります。
建物の性能をしっかり計画することで省エネで快適な暮らしを手に入れましょう。