vol.121「異類婚姻譚にみる未来」アイラ・アリス | ルネ・ヴァン・ダール研究所 オフィシャルブログ

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異類婚姻譚(いるいこんいんたん。

人間と、神や精霊、動物など、人間以外の存在が結ばれるお話)というと、
皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。
人魚姫やミノタウロスの物語、ケルトのオシーン伝説、
日本では羽衣伝説や鶴女房、おしら様伝説、といったところでしょうか。
世界中に、類似の物語がたくさん残っています。
きっとその背景には、私たち人間の「異類」に対する強い憧れと畏れの
双方があるのでしょうね。

 

実際、人間と異類との間に生まれた子供を始祖とする家柄があるなど、
それが「人ならざる」力を持っていたり、
正当な権力者であることの証しとされることもあったわけです。

 

 

 

 

さて異類婚姻譚の王道の筋書きといえば、

 

①人間と異類が結ばれる
②富や幸せがもたらされる
③人間が禁忌(タブー)を破る(見てはいけないと言われたものを見るなど)
④関係が破綻し、幸せも去ってしまう

 

……というものでしょう。
ここには異類同士が結ばれることの難しさが描かれていて、
物語の読み手は「ルールさえ守っていれば末永く幸せだったはずなのに」と残念がるわけです。

 

 

 

 

ここで現代社会に目を移してみましょう。
今の私たちは、
自分とはちがう価値観や個性を持った相手との共存や
相互理解が重要な課題となっています。
異なる性質を持つ者同士の結びつきは発展に必要不可欠であり、
世の中のブレイクスルーとなり得るものでもあるからです。
「異類婚姻譚」から学ぶことがあるとすれば、それはまさしく、
「ルールを守ること」なのかもしれません。

 

私たちは、一人ひとりが誰ともちがう掛け替えのない存在。
そのことを理解し、相手を尊重し、受け入れる。

と同時に、お互いに異質な者同士であることを自覚し、適度な距離を保つ。
とても難しいことではありますが、これが「末永く幸せ」でいるために、
私たちに課せられた「禁忌」なのかもしれないな、などと考えています。