短篇小説「偽善者の3つの願い」作者リニア 起承転結の計4話、<結の巻>



ん?


感謝の一言もなし?


私は偽善者なのだから感謝が重要なのに…。


彼はホッとしていたのかしら?

もし、最後の願いを「早くこんな自意識過剰の偽善者女性から立ち去りたい」と願っていたなら、願いはすぐに叶ったわけだから…。


イケメン魔人がいなくなり、いつもの部屋をあらためて見回してみる。


はじめから何も変わったところなどないように思う。願いが叶った途端に変わったところがあったとしたら、変わったと私は気づかなくなるのであろうか?


お湯を沸かしている間、化粧をとりながら洗面台に映る自分の顔をまじまじと見る。



すっぴんだとさえない顔なのだが、愛嬌のある顔とも思える。みんなにはどう映るのだろうか?



みんなにどう映るではなく、自分がどうありたいか?どう映るようになりたいか?なのではないだろうか?そんなことが自然と頭の中を駆け巡っている。



もしかしたら、自分はありのまま、世界はそのままですでに願い事など必要のないくらいパーフェクトなのかもしれない。



誰に偽善と思われようが、また、自分で偽善と思ったとしても、人の為に善いことを続けていくことに価値があることを段々信じられそうな気がしてきたのであった。





「目の前にいるこの女性が、自分と世界を信じられるようになれますように。」


実はそれが最後、イケメン魔人が願った願いだったのである。


<結の巻>終わり