なぜ A^{T}A は逆行列を持つのか(3) Linear Algebra | Chandler@Berlin

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ベルリン在住

ところで,友人から私の blog はさっぱりわからないという話を聞いているのですが,そうでしょうか.もし,こういう説明が不足しているというのがあったら教えて下さい.

Linear combination と座標変換を考えての説明

これは null space を考えないで良いのだが,一箇所私には厳密な証明ができないので,厳密に正しいと言えない.ただ,null space を使っての証明ができているので,理解の助けにはなると思う.

A のカラムが独立であることから,独立したベクトルがどのように行列の中にあるか図示すると以下のようになる.また,結果の各カラムはどのように計算されるかも示した.
Chandler@Berlin-eq08
A^T は線形作用素であるから,
Chandler@Berlin-eq09
これが 0 になるのは A^{T}a_* が degenerate する場合である.この行列を column vector の座標変換と考えると,独立した (A^T の) 独立したrow vector が独立した column vector に投影されている.結果はdegenerateしない限り,独立したcolumn vector の独立性は保たれる.

さて,degenerate するかどうかは残念ながら私には厳密には証明できないが,ある独立したベクトルのセットを座標変換しても独立したままであるという直感はそんなに遠くないのではないだろうか.

また,この行列は metrix tensor になっていることにも注意すると良いだろう.この考えは杉原厚吉先生のグラフィクスの数理という本の第一章に詳しい.(ところで,私の持っている初版第三刷には,p.19 の式 1.20 に誤植があるので注意されたい.)

次回は補足として null space と column space,そして逆行列の関係をまとめてみます.補足なので話としてはこれで終わりです.