小3の時に転校してきた男子。明るい子で目立つグループとすぐに仲良くなっていた。背が低くていじられタイプ。楽しそうにやっているように見えたのだけど…

ある日、担任の先生が神妙な顔をして「このクラスにイジメがありました」と言い出して。ドラマみたいな状況に。担任が何のことを言っているか解らなかったのだけど、その日あの転校生が休んでいた。
もしやあの子のこと?みたいにクラスがざわざわ。
「虐められているので学校に行きたくない」と言い出して父親が先生に会いに来たらしい。
女子から見たら仲良くやっているように見えたし、たぶん担任も虐められているとは少しも思っていなかったと思う。
男子はもっとそう。「イジメ」じゃなくて「遊び」の感覚だったはず。

 

「虐められる側も悪い」なんて言う人もいるけど、度が過ぎた弄りは相手にとっては「イジメ」なんですよね。
これからは優しくします!とホームルームは終了して、翌日には転校生も学校に出てきました。
最初のうちは男子は気を使って遊んでいたようだけど、だんだんと以前の状態に戻ってきました。女子から見るとイジメの境界線がよく解らなかったけど本人はどう思っていたのだろう。
「イジメがあったなんて知らなかった」とその他生徒の言葉を聞きますが、これは本当に解らないこともあると思う。疑ってみないと気が付かないことってあるんですよね。

 

加害者が「イジメ」と思っていないと更にたちが悪い。

以前、ワタシの父親が小学校の同窓会に出て、すごく落ち込んで帰宅しました。
「アンタに虐められたことは絶対忘れないからな!!!」と卒業以来初めて会ったクラスメイトに言われたそうです。
と言っても父はその人のことが全く思い出せないらしく、頭を抱えていました。小さい村(町じゃなくて村)でずっと一緒だったのに、名前も顔も忘れていた。
自分のしたことが嫌で記憶から消したのではなく、父にとっては覚える気持ちにもならない存在だったのでしょう。モブ中のモブ。小物の中の小物。
横暴な人だったので、状況は目に浮かびます。恐ろしい。
加害者は遊びの一つだったのかもしれないけど、やられた側はたまらないです。
父は、その人にやったことを思い出せないので反省もせず、自分が思い出せないことだけをずっと悩んでいました。最悪。だけどそんなもんなんですね加害者って。
ちなみにワタシはやられたことは一生忘れないタイプです。

ワタシには大人になってから仲良くなった難聴の友人がいます。「聲の形」は小学生の頃を思い出して辛くなったと言っていました。
同じ市に住んでいたけれど、小中高と違う学校だったので彼女がどんな学校生活を送ったのはわかりません。もしも彼女が自分のクラスメートで虐められていたのなら、ワタシはどうやって接していたのだろうと考えることがあります。
友達になれたのか、それを遠くで見ているだけだったのか。
彼女に見えないように存在を消して、気が付かないふりをしていたかもしれません。