他院切開式重瞼形成後の修正について VOGUEによる再形成 | ルネッサンス美容外科東京院・神戸院 曾我部コウのブログ

ルネッサンス美容外科東京院・神戸院 曾我部コウのブログ

神戸三宮・東京八重洲 美容外科・形成外科・皮膚科
ルネッサンス美容外科医院
二重まぶた手術・鼻整形・豊胸術・FGF
神戸市中央区八幡通3-1-14サンシポートビル8F
東京都中央区八重洲1-6-17大久保ビルディング9F

最近、他院での切開式重瞼形成術後の修正相談が増えています。相談内容はほぼ共通しています。
①幅を広げ過ぎたので狭くしたい。
②閉瞼時に切開部に沿ってくぼみが目立つので改善したい。
③開瞼時に重瞼線の引き込みが強く自然な二重の感じがしないので、引き込みを浅くしたい。

上記の一連の問題点の修正を希望するものです。こういった問題点が発生したのはその手術方法に原因があります。

こういった症例では、形成された重瞼線付近眼輪筋下の組織が完全に除去されていて眼輪筋が直接瞼板に癒着されています。症例によっては、重瞼線下の眼輪筋までも切除されて、皮膚と瞼板を直接癒着させている場合もあります。

上記の問題点を検証していきましょう。

① 幅を広げ過ぎたので狭くしたい。

最近は幅の広い平行型を希望する人が多いのですが、自分でアイプチで作っていた幅で手術を受けたはずなのに、全く印象が異なる二重まぶたになってしまったという相談内容です。基本的にアイプチで作った印象の二重は手術で形成することはできません。なぜならアイプチでつくった線は「構造的な二重まぶた」になっているものではないからです。アイプチで幅の広い線を作るためには、谷となる線を決定し、その谷の部分に皮膚を格納するように上下の皮膚を貼付けていきます。通常、幅を広く設定すると重瞼線と睫毛(まつ毛)の間の皮膚の面積が多いため、開瞼時には圧縮されることにより睫毛に被さるような過剰な膨らみ(excessive prominence)を生じてしまいます。アイプチで幅を広く作っている女性達は、その点は心得たものでそういう状態にならないように睫毛上の皮膚を張り合わせる谷の部分に収納しているのです。しかしこの「上下の皮膚を張り合わせた」状態は、当然ですが解剖的に重瞼の構造になっているわけではありません。アイプチという糊で皮膚を張り合わせているだけですから、目を閉じても皮膚はひっついたままです。「構造的な重瞼」とは、閉瞼時は重瞼は存在せず、開瞼の度合いの応じて重瞼線という「谷」が深くなり、最大開瞼時に「谷」の深さが最大になるというものです。もともと一重まぶたの人や幅の狭い二重まぶたの人が、重瞼の位置を比較的広く形成する場合に、単純にアイプチの谷の部分で切開し、その部分で「構造的な二重まぶた」を形成するだけではアイプチの時の印象と全く違うものになってしまいます。切開線より下方の不必要な皮膚を相当量切除(切り取ってしまうこと)しなければ、極めて不自然な印象の目もとになってしまいます。
開瞼時には睫毛上に被さらない程度の皮膚を切除しなければ、開瞼時にあたかも睫毛の上に「ナメクジが一匹」乗っているような状態になります。この「過剰な膨らみ(excessive prominence)」が、重瞼幅を広く設定した際の不自然さの原因になっているのです。こういった場合の不自然さは、修正の際に(1)幅を少し狭く設定することや、(2)開瞼時の重瞼線と睫毛上の皮膚の量が適正に(appropriate prominence)なるように調整することで改善を期待できます。

②閉瞼時に切開部に沿ってくぼみが目立つので改善したい。

この問題点の根本原因は、重瞼線付近とその周囲の皮下組織厚の不均等にあります。重瞼線付近の皮膚・眼輪筋と瞼板・挙筋腱膜との連続性を形成するために瞼板前組織が完全に除去されている所見が修正手術の際に多々認められます。このような処置の方法では、重瞼線皮下の組織がほとんど無くなっているため、閉瞼時には周辺皮膚との高低差が強く、特に伏し目にした時など重瞼線部の窪みに陰影が生じやすく、不自然な外観となります。特に部分切開法と呼ばれる処置の場合には、小さな切開創からの操作になるので周辺組織との高低差を軽減させるための調整を行う事が困難なため、このような状態を引き起こし易いので注意が必要です。以前から私が主張しているように部分切開法は、眼窩脂肪が少なくて腫れぼったさが全く無く、且つ瞼板前組織も極めて少なくて、たとえ重瞼線直下の組織を全切除したとしても窪みが目立たないタイプの幸運な上瞼構造を持った人にしか適用させてはいけない手術なのです。単に切る部分が少ないからという安易な理由で受けてしまうと、必ず「術後の外観の不自然さ」という大きな代償を払うことになるのです。切開線の大小など、術後遠隔期にはほとんど外観的に差が無い訳ですから、全切開法を選択するほうがはるかに賢明です。個人的な所感ですが、部分切開法を適応できる、いわゆる「幸運な瞼の人」は切開式重瞼作成術を受ける人のおそらく5%も存在しないと思います。
修正には、窪んでいる部分の皮膚を切除して、窪んでいない上下の組織を寄せることによりある程度対処できます。特にこういった症例の場合、 ① で述べたように切除するべき皮膚に余裕があることが多いので都合が良いのです。さらに、切除予定部位に相当する皮下の眼輪筋が温存されている場合は、その周囲の厚みのある部分の眼輪筋深層部とともに有茎弁として窪みが強い部分に充填することで良好な結果が得られることが多いので私自身好んでこの方法を採用しています。

③開瞼時に重瞼線の引き込みが強く自然な二重の感じがしないので、引き込みを浅くしたい。

この問題は、②の瞼板前の組織が除去されて窪みが目立つという問題と同一の原因によるものです。重瞼線部直下に於いて瞼板前の結合組織が完全に除去され眼輪筋と瞼板が(症例によっては、重瞼線皮膚と瞼板が直接)癒着しているので、開瞼時の重瞼線の引き込み度合いも最大になっているのです。一般的な切開法の場合、こういった方法がある意味当たり前のことかもしれません。通常の切開式重瞼作成術の場合、瞼板の前方にある結合組織を除去し皮膚・眼輪筋複合体を瞼板に癒着させ永続性のある重瞼線を作成させることが手術の本質だからです。こうすることにより皮膚・眼輪筋・瞼板が一塊の複合体となり瞼板の動きと重瞼線部皮膚の動きが完全に一致します。開瞼時には、瞼板は眼球に沿って上極方向へと移動しますが、皮膚も瞼板が移動したと同じだけ引き込まれることになります。しかし本来の重瞼構造では、瞼板前組織が(厚みに個人差はありますが)必ず存在するわけで、瞼板前組織の厚みに応じた眼輪筋と瞼板(上眼瞼挙筋腱膜)の間の距離が存在します。この眼輪筋と上眼瞼挙筋腱膜との間で線維性連結が存在します。つまり、眼輪筋と上眼瞼挙筋腱膜の間は瞼板前組織の厚み分の距離を持ったひも付き構造になっていると理解して頂ければ良いと思います。そのため、重瞼線部の皮膚の後方への引き込み量は、この瞼板前組織の厚みだけ緩和されることになります。さらに本来の重瞼構造では、皮膚・眼輪筋複合体と瞼板は、ひも付き構造により連結されているだけなので、動きはひもでつながれた範囲に於いて似たような動き方をしますが、一致することはありません。開瞼動作により上眼瞼挙筋腱膜に付着している瞼板は上極方向へ移動しますが、皮膚・眼輪筋複合体は上眼瞼挙筋腱膜とひも付き構造とは言いながらも、瞼板と癒着しているわけではなく瞼板前組織の介在により開瞼時に重瞼線皮膚は、重力の影響により連結しているひもにぶら下がるように下方へスライドし重瞼線と睫毛間で「程よい膨らみ(appropriate prominence)」を生じるのです。私は、自然に近い重瞼構造を手術により形成する際には、この「 appropriate prominence」が不可欠だと考えています。一般的な切開法による二重まぶたの多くがなぜ「わざとらしい」「いかにも」と表現されるのか...、それは「瞼板と重瞼線皮膚の動きが完全に一致してしまうこと」に原因があったのです。眼輪筋と瞼板の間をひも付き構造による間接的連結で、「瞼板の移動距離 > 重瞼線皮膚の移動距離」の状態を形成することで開瞼時の「 appropriate prominence」が形成され、自然な二重まぶたの外観に近づくのです。さらにこの間接的連結は、閉瞼時の重瞼線皮膚の窪みの問題を解決できます。

この「重瞼線-上眼瞼挙筋腱膜(瞼板)間の間接的連結構造」を形成し、閉瞼時には不自然な窪みを作らず、且つ開瞼時には「 appropriate prominence」が生じるように本来の重瞼構造に近い二重まぶたを作成するのが私が行っている「VOGUE」なのです。「VOGUE」は、挙筋腱膜等を移植片として利用し、上述の「重瞼線-上眼瞼挙筋腱膜(瞼板)間の間接的連結構造」を形成します。この方法は当院では通常の切開式重瞼形成術として二重まぶた形成に利用していますが、他院での切開式重瞼形成術後の修正術に応用して良好な結果を得ています。ご興味のあるかたは当院のWeb(VOGUE)をご覧ください。