加齢による下まぶたのふくらみの原因 | ルネッサンス美容外科東京院・神戸院 曾我部コウのブログ

ルネッサンス美容外科東京院・神戸院 曾我部コウのブログ

神戸三宮・東京八重洲 美容外科・形成外科・皮膚科
ルネッサンス美容外科医院
二重まぶた手術・鼻整形・豊胸術・FGF
神戸市中央区八幡通3-1-14サンシポートビル8F
東京都中央区八重洲1-6-17大久保ビルディング9F

加齢により目立つようになってきた「下まぶたのふくらみ(いわゆる目袋):eyelid bag」は、多くの女性の悩みになっています。インターネットで「目袋」というキーワードで検索するといろいろな民間療法が出てきます。「目袋の原因は、目もとの皮膚の水分量の減少によるもの」ということで保湿によるケアを推奨するもの、「目袋の原因は、目の周囲の筋肉の老化によるもの」ということで筋力を回復させる低周波治療器の購入をすすめるもの、「目袋の原因は、リンパ貯留によるもの」ということでリンパマッサージをすすめるもの、などほんとうに様々です。医者の目から見れば、上記の原因論とその対処法も、必ずしも「的外れ」とは言えないのですが、それで持続的に改善できる対処法になり得ないことは確かです。それは「下まぶたのふくらみ(目袋):eyelid bag」というものが単純に何か1つの原因によるものではなく、「眼窩周囲一連の組織の弱まり(attenuation)により視覚化されたも」のというのがその実体だからです。その中で、眼窩脂肪の眼窩からのはみ出し(pseudoherniation)・逸脱(prolapse)が原因論の中心にあることは事実ですが、それに伴う周辺組織の変化にも視覚的に大きく影響されます。今回は、その辺りの話をしたいと思います。

下まぶたは、加齢によるまぶたの皮膚・および皮下組織の「弛み」の程度により様々な変化の様相を呈します。
眼球は、眼窩(頭蓋骨で眼球が収納されているくぼみ)内でLockwood靭帯(suspensory ligament)というハンモックに収まっている構造になっています。
このハンモック構造が、加齢により支えが弱まり下に下がってくることで眼球が全体的に下垂してきます。眼球が下垂することにより眼球を包むように存在する眼窩脂肪が押し潰されるように眼窩内からはみ出してきます。これが「下まぶたのふくらみ(目袋):eyelid bag」が目立ってくるメカニズムです。

しかし「下まぶたのふくらみ(目袋):eyelid bag」が目立つようになってくる要因は、単に眼窩脂肪が眼窩からはみ出してくる量だけに依存するものではありません。下瞼をふくむ「midcheek」と呼ばれるエリアは靭帯の存在による「不動部分」と表情形成、咀嚼運動などで必要となる「可動部分」の存在により、加齢による周辺組織の変化は複雑多岐に渡ります。 (前回ブログの「mid cheek」の加齢による変化とその原因を参照してください) 逸脱脂肪の量が少なくても、「Lid-cheek segment」と「Malar segment」の境界となる「Palpebromalar groove」や「Lid-cheek segment」と「Nasolabial segment」との境界である「Nasojugal groove」が視覚的に明らかになってくると、下瞼のふくらみは目立ちはじめます。さらに、「Lid-cheek segment」における皮膚のたるみ、弛み(loss of skin elasticity)の程度、「Malar segment」における「Malar mound」の視覚化なども大きく影響してきます。また東洋人は下睫毛の際のふくらみである「涙堂」(Orbicularis prominence)が発達していることが多く、笑った際に下まぶたのふくらみとの境界を中心に二段の膨らみが生じてしまうことも、「下まぶたのふくらみ(目袋):eyelid bag」の存在を強調させる要因となります。つまり、「 下まぶたのふくらみ」に対する治療法は外科的には眼窩より逸脱した眼窩脂肪を切除するだけでは改善しません。「eyelid bag」周辺で視覚的に明らかになってきた「 Palpebromalar groove」や「Nasojugal groove」の溝を埋めるなどの治療も必要になってくることもあるのです。この「溝を埋め」てこのエリアを全体的になめらかにする(blending)には、眼窩脂肪を利用(orbital fat repositioning)したり、bFGF(線維芽細胞成長因子)が利用可能です。

以上のように、「下まぶたのふくらみ(目袋):eyelid bag」の原因論は非常に複雑です。保湿・リンパマッサージ・低周波治療による表情筋運動などの民間療法では、短時間改善したとしてもその持続性(sustainability)は全く期待できません。ご理解いただけたでしょうか。