カズを綺麗にして、自分もざっと汗を流して浴室を出る。
体を綺麗にしている間も全く目を開けなかったカズは完全に寝落ちているらしい。
何か服を着せてやりたいが、ここまでぐっすり眠っていては、服を着せるのはなかなかむずかしいだろう。
仕方なく、バスローブで簡単に体をくるんで、
寝室のベッドは汚れてしまったから、リビングのソファにカズを横たえた。
もう既に夜明けなのだろうか。
白み始めた空では月がゆっくりと眠りにつく。
暗い夜空ではあれほど神々しい光を放っていたというのに………。
サトシには、なんだかそれが今のカズの姿とダブって見えた。
今ソファで白い肌をチラ見せしながら眠るカズは、交わりの後のせいか妖艶な色香を僅かに残しながらもあどけない顔をしている。
しかし今宵のカズは、ロイヤルブルーのドレスに身を包んで、今まで見たこともないような高貴な冷たく澄んだ色を見せてくれた。
その色がまるで月の女王のようだと、そう思った。
「La regina della luna………か……」
呟いて………。
パチンと指を鳴らせば、その指には琥珀色の液体を湛えたワイングラスが握られる。
液体をくいっと飲み干しグラスを置いて、夜色のシルクのローブを羽織った体をカズの隣に横たえた。