トルコに入り10日が経ち小さな町を転々としながら西へ走る。
ここ最近は気温も下がり始め、大雨が降った次の日からは
最低気温が氷点下まで下がり、冬の訪れを肌で感じた。

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『サムスン』を出てのんびりと走っていると天気が徐々に悪化し始め
お昼ごろに雨が降り出したと思ったら一気に雨脚が強く変わる。
びしょ濡れのまま『バフラ』と、言う町になんとか辿り着いたのだが、
町に入るとわりと大きな町であるにもかかわらず、人の姿が少なく
ほとんどの商店はクローズしており、まるでゴーストタウンの様だ。

人影のない『バフラ』の町中を雨に打たれながら宿を探し回り、
少し高かったが一泊35リラのホテルにチェックインする。
部屋に着いた時には手足がしびれて震えが止まらなかった。

シャワーで温まり部屋でのんびりくつろぎながら窓の外を見たら、
やはり人は歩いておらず、数件の商店が営業しているだけだった。
雨が降っているからか?と、思ったがそれだけではないだろう。
「いったい何があったのだろうか?」と、少々不安に思いとりあえず
ロビーへ行ってフロントのおじさんに事情を聞くことにした。

おじさんは暇そうにボーっとテレビを観ていて僕が事情を聞くと、
「少し待っててくれ。」と英語が喋れる息子を呼んでくれた。

「町に来て思ったのですが、大きな町なのにどうしてこんなに
店が閉まっていて歩いている人も少ないのですか?」
とりあえず単刀直入にわけを聞いてみたら

「今は『クルバン・バイラム』と、言うイスラムの行事中で、この町に
限らずトルコ中が休みなんですよ。」との事だった。

「クルバン・バイラムってどんな行事なんですか?」と聞き返すと、

「古くからのしきたりで、神様に感謝し牛や羊などの生贄を捧げる
のですが、12月8~11日の四日間を中心にこの行事が行われて、
その週の一週間はほとんどのお店は休みになるんです。」

「あなたの家では何を生贄に捧げたのですか?」

「家では特に何もしてないし、他でもあまりやってないですよ。」
と、最近は本当に単なる長期休暇の週になっているようで
日本で言う「GW」や「お盆休み」の様な感覚なのだろう。

しかし、走っている途中に一般家庭の庭先でナイフを使って牛を
さばいている光景を目にし、中央アジアではよく見かけたのだが、
「トルコでも普通に行われるのか~。」と、驚いたのを思い出した。

牛をさばいていたのは『クルバン・バイラム』の為だったのだろう。

謎が解けたところで一安心し部屋に戻ろうとしたら、
「まあお茶でも飲んでいきなよ。」と、言われたので、
ロービーでお茶を飲みながら自転車の旅話を息子と
おじさんを交え3人でしばらくしていたら、何故か気に
入られ翌日の朝食をサービスしてもらえる事になった。

設備も整い部屋ではインターネットも可能で朝食付きなら安いな~
と、勘を頼りにこの宿へ偶然入れた事に運の良さを感じた。


『クルバン・バイラム』はまだもう少し続き、目的地を目指し
次々と小さな町を抜けて走るのだが、やはり人影は少ない。
『サムスン』を出てからの道は平らな海沿いを走る道ではなく、
何故か少し陸地へと食い込むので急な坂道が多くなる。
日照時間も短く坂の勾配も想像以上にきつくなかなか距離を
伸ばせず、『サムスン』を出てからは『バフラ』、『ゲルゼ』を経て
約150kmの距離を3日かけて『スィノップ』まで辿り着いた。

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↑遠くから眺めるスィノップの町は黒海に浮かぶ島のようだ。


『スィノップ』は黒海に突き出たボステベ半島の中心辺りにある
人口三万人の港町だ。周囲を黒海で囲まれ、静かでゆったりとした
雰囲気が漂う町には、休みを利用して多くのトルコ人が訪れていた。
ここは観光地であるせいか営業を続けている商店が多い。

トルコ人は陽気で世話好きな人が多く、自転車を押しながら町を
歩くとあちこちから声をかけられ、食べ物やお茶をご馳走になる。
ふらふらと安そうな宿を探しながら路地を歩き、それっぽい宿の前に
着いたのだが宿の主人が外出中で少し外で待っていたのだが、
入り口の前でハムシィ(いわし)を食べているおじさんに声をかけられ
何故か一緒にハムシィを食べることになり、結局50匹位食べた後に
お茶までご馳走になった。更におじさんはわざわざ宿の主人を携帯で
呼び出してくれてた事もあり、一泊15リラのこの宿に泊まる事にした。

日本もお盆休みに先祖のお墓参りをする習慣は残っているが、
行っていない人も多く、その意味をしみじみと考える人は少ない。
本質が蔑ろにされている行事が実は沢山あって、信仰心が薄らぐ
につれてそれらは別の目的で埋もれてゆくのだろう。
戒律の厳しいムスリムの世界でもそれは現実に起こり始めている。

近代化が進む社会の中では、古い文化を変わらず継承する事は
かなり困難であり、良くも悪くも変化せざるをえないのかもしれない。

トルコの『クルバン・バイラム』の最中を走る時、
とりあえずそのうち一時帰国する事があったら、
まずは先祖の墓参りに向かおうと思うのだった。

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↑僕はこれからトルコ内陸の山地へと足を伸ばし、町全体が世界遺産に
登録されている山間の集落『サフランボル』を目指します。
イスタンブールに行く前にそこで数日滞在し静養をとります。