12月の始まりはグルジア最西部トルコ国境の町『バトゥミ』にいた。

町の西には黒海が限りなく濃い藍色のまま静かに波打つ。
海鳥が船の上を飛び回り、釣り人たちは気長に釣り糸をたらす。

一ヶ月過ごしたコーカサス最後の光景にはどこの国とも形容しがたい
緩やかな時間が流れ、長く続いた緊張感を解してくれるように思えた。

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旧ソ連崩壊後に独立した国々に身を置き三ヶ月が経ち、
今ではロシア語でのコミュニケーションも楽に感じる。
謎が多かった中央アジアからコーカサス地方を走り抜け、
聞くと見るとでは全く印象が違い、出会う人々は明るく陽気な
人が多く親切で、僕は何度となく困った場面で助けられた。
これらの国々はどれも刺激的で僕の好奇心を激しく揺さぶり、
それは思想や思考にも今まで以上に影響を与えてくれた。

コーカサスは領土問題や民族問題の他に様々な問題を抱え、
失業率の増加や、自治国独立紛争などはより深刻化している。
日本で考えられている程の治安の悪さを感じる事はないのだが、
それでも他国に比べれば、より警戒心を持たなくてはならない。

旧ソ連崩壊後の中央アジア諸国やコーカサス地方は、現在
民主化に向けて独自の政策で発展を続けているのだが、
多くの人々は仕事を失い、仕事を見つける手立てをも知らずにいる。
若者の失業者も町に溢れ、高い学歴や語学のスキルがあっても
それらを活かす職に就くのは難しく疲弊している様を多く目にした。
長く続いた共産主義からの脱却にはまだまだ多くの時間がかかり、
高給を得る者は旧ソ連崩壊前の官僚達が多く、大学教授でさえ
月3万円程度の収入しか見込めず、副業なしでの生活は困難だ。
一方で物価は先進国に比べれば低いものの上昇し続けている。

仕事をせず何もしない生活に慣れると、努力する気さえなくなり、
僕が宿で見た色白のグルジア人青年は、一日中ネットゲームに
明け暮れ、質素な食事の割に横腹に脂肪がつき太り始めていた。
このような失業者は日本の比ではない割合で存在している。

彼らが能力を発揮して機能する社会はいつくるのだろうか?

最低限の教育はほとんどの人々が受けており、更に学歴を積む
者も多くはいるが、今は更に教育を生活につなげる為の手法や
手段を積極的に学ぶ必要があるのかもしれない。
国の問題を考えるとあまりにも大きく長い道のりのようだが、
まずは自身の生活水準を向上させる事を最優先すべきなのだ。

教育と平和は密接に関係していて、教育は求める平和に対して
その都度形を変えるものであり、言い換えれば教育が変われば
平和のイメージが変化して行くのだろう。

美しい自然や貴重な文化遺産が数多く残るこれらの国々は
抱える様々な深刻な問題の影に隠れてしまっているせいか、
まだまだ世界的にもマイナーであり訪れる者も少ない。
諸問題が解決に向かわない限りここは遠い国のままだ。

しかし根深い問題を抱え情報量も少なく敬遠しがちな場所
だからこそ、ここを訪れればきっと他では感じる事が出来ない
独特の文化や感動や空気を体感できるだろう。

そんな未完成なパズルの上を手探りで旅する時、
新たなピースを発見できるのかもしれない。

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↑グルジア・トルコ国境。緊張感のない国境でした。

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↑第二章 完! 無事中央アジアを走り抜けました。
トルコに入り黒海沿いをイスタンブールへ向けて走ってます。
第3章は「トルコ・中東編」をご期待ください!