キルギスとカザフスタンにはいくつか国境が開かれているが、
僕はカザフスタンを抜けウズベキスタンへ入国する為、
『ビシュケク』の西100km程の所にある国境を越える事にした。

中西大輔

街全体が森林公園のような『ビシュケク』の中心地から西へ
国境まで伸びるチュイ通りには数十キロにわたり街路樹が並ぶ。
進行方向左手、南側を眺めると水の源である山脈が長く連なる。
久々のロングラン。小さな町が点在する通りをのんびりと進む。

2時間程走ると周囲は完全な牧草地帯へと変わり。
地平線まで続く小麦色の中では牛や羊や山羊が群れをなし、
馬に乗った羊飼いは、鞭を振り家畜をどこかへ誘導する。
木々の色も変わり枯葉が落ち始め、一足早く訪れた秋の中、
何度も道沿いに自転車を停めてはそんな風景を楽しんだ。

カザフスタン07

カザフスタン01


自然公園で手付かずの自然や、氷河や山々が迫るダイナミックな
光景を目の当たりに感動を得る事はある種当然である。
しかしキルギスでは、どこであっても穏やかで雄大な自然に囲まれ、
未だに古くから続く遊牧民族の生活もごく身近な存在であり、
遠くへ足を運ばずとも、日常の中で「趣深さ」を感じる事が出来る。

そんな当たり前のように存在する自然と共生出来る環境が、
実は最も素晴らしい営みであり、理想ではないだろうか?

そんな事を色々と思い返しながら、カザフスタンとの国境へ辿り着く。

カザフスタン09

国境には数軒のカフェと両替屋が並び、タクシーやバスの運転手は
行き先を連呼しながらカザフスタンから入国した者を待ち構える。
キルギス側のイミグレーションで管理用のパソコンにトラブルがあり、
少々待たされたが結局トラブルは解消せず、係員に誘導され
アナログで手続きを済ませた後、問題なくカザフスタンへ入国した。

カザフ側では軽い荷物検査があったもののすんなりと通過。
「狼に気をつけろよ!」と、冗談ぽっく笑いながら言われたのだが、
「カザフ人は世界で2番目に肉を食べる。1番は狼だ!」
と、言う話があるらしく、半分は本気なのかもしれないと思う。

カザフスタン側の国境もキルギス側と同じような光景で、
国境を越えた感覚が薄く、「ここはカザフですか?」と、聞いた程だ。
商店に入り、カザフの通貨(テンゲ)を使い国境越えを実感した。

地図もなく街の情報もないまま、とりあえずまっすぐと延びる道を進む。
少し走ると街路樹はなくなり、ただただ広く広大な牧草地が広がる。
視界をさえぎるものがない為、キルギスにいる時より景色が広く感じる。
使われなくなった建物や、鉄塔や、寂れた何らかの施設がちらほらあり、
どんよりとした曇り空と、カザフの空気がそれらをより物悲しく演出する。

気温は少し暖かく風は生ぬるい。天気や風向きは毎日ころころと変わり、
長いこと体調を崩していたのだが、再び少し体調が悪くなる。

カザフスタン04

カザフスタン02

カザフスタンを訪れた旅人とはもう何人も出会ったのだが、皆口を揃えて
あまり良い印象がなく、「もう二度と行きたくない。」と、まで言う。
そんな話を何度も聞いていたので、「一体どんなものだろう?」
と、思ってはいたのだが、実際来て見ると人々はオープンで優しい。
「冷たい人が多い。」と、言う旅人もいたが僕の印象は間逆である。

入国初日は、国境から30km先の『メルケ』と、言う街で宿をとった。
宿のおじさんは陽気で色々と親切にしてくれ、食事もサービスしてもらった。
ロシア語があまり喋れない僕に、分かり易くこの先の道を教えてくれたり、
少し体調が悪いと言うと、薬と毛布をもう一枚余計に用意してくれた。

更に一晩明け翌朝出発する時に驚いたのだが、
自転車の後輪にオリジナルの泥除けが着いていたのだった。
天気が悪くなるかもしれないので、昨晩作って着けておいたそうだ。
サイズも形状もかなり良い感じに仕上がっており、ピッタリはまっている。
突然来た日本人の為に、こんなに親切にしてくれる心遣いに本当に感謝し、
「カザフスタンでも良い出会いが期待できるな。」
と、好調なスタートを切れた事にうれしさを感じた。
出発前には「途中で食べろよ。」と、飴を沢山もらった。

その後に出会う商店のおじさんや町の人々には、道を教えてもらったり、
わざわざ宿まで案内してもらったりと、皆親切で嫌な思いはまだしていない。

「百聞は一見に如かず。」

カザフスタンで悪い印象を受ける人が多いのは事実ではある。
人それぞれ受ける印象も体験も違ってくるのも当然であり、やはり
「結局信じれるのは自分の経験だけなのだ。」と、改めて実感した。

カザフスタンを抜け次は4カ国目のウズベキスタンへと入国する。
今はウズベキスタン国境付近の『シムケント』と、言う街におり、
約一ヵ月後に再びカザフスタンに入国する予定でいるので、
とりあえず詳しい地図は入手しておこうと思う。

これから更に深く謎の多い地域へと足を運ぶ事になる。
歴史的背景や文化が複雑に入り組み、他民族が共生する中央アジア。
「謎と魅惑」の旅は、『タシケント』に入る頃にやっと本番を迎えるのだった。

カザフスタン05

カザフスタン08

カザフスタン06




ps 実はこの記事は「シムケント」でアップしようと思ったのですが、
あまりにもネット環境が悪く出来ませんでした。
そして今「タシケント」からアップしています。



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↑『シムケント』に入る少し前。。。嵐が近づいているのは知っていたものの、
牧草地帯を走っており、ノーガードで嵐に巻き込まれ死ぬかと思いました。
暴風、豪雨、雷。。。何もない広大な牧草地帯での嵐は非常に激しいです。
自然の力は、「やはり半端ではない!」と、身をもって実感しました。