夏が始まり剱岳に通う日々が始まった。


いつも一回登るまでは、不安と恐怖で胃が痛くなる。

 

身体が壊れる前までは剱岳はバリエーションルートからガイドするのが当たり前で、別山尾根から登るガイド依頼もなければ、別山尾根をガイドするなんて自分のやるべき仕事ではないとすら思っていた。

 

しかし、今はこれが一番の仕事になってしまった。

せいぜい、源次郎尾根か北方稜線へたまに行くくらいが精一杯。

 

チンネなんて、すっかりルートも忘れてしまった。

 

悔しいとか情けないという気持ちも、時と共に消えてしまい、今は剱岳に向かい登れるだけで幸せだし、仕事を与えてくださる方々に感謝の言葉もない。

 

それも、あと数年でできなくなるのかもしれませんが…。

初夏の剱岳には沢山のコバイケイソウが咲いている。


花言葉は「遠くから見守る」


いつも見守ってくれて、ありがとう!


でもコバイケイソウには毒性があり、食べたら死んでしまうこともあるらしい。

 

そこがまた魅力的だなと思うのだ。