私は仕事柄、登山用具の新製品に触れる機会が多くなり、そういうものを入手することも多くなりがちです。

 

毎シーズン、新しいウエアやギアを手にして、使用することは、お客様に用具の説明や購入アドバイスを行う観点から必要なことと考えてきました。

 

しかし、最近感じることはもっと一つの道具を良く吟味して長く大切に使うことの方が重要なのではないかと思い始めています。

そして、使い倒してみないと、その道具のホントの良さは解らないとも感じています。

お金がない若い時は、一個のカラビナですら大事に使って来ました。

だから、そのカラビナのクセや長所短所を理解でき、愛情込めて使っていました。

最近、そういう気持ちを忘れているなと思うのです。


良いと聞けば、直ぐに道具を新しくして、今まで使っていた道具のことを忘れてしまう。

そんな行動は、自分の生き方にも影響を受けそうで怖く感じます。


もちろん、その活動に適した最善の道具を頑張って購入することは大切なことだと思います。


でも、ホントにその道具がないと活動できないのか一度立ち止まって考えなければならないと思うようになりました。


買い控えを勧めるつもりはないですし、業界発展の為にも買える人はどんどん買って欲しいとも思いますが…。

最近の購買状況を見ていると、みんな同じモノを盲目的に欲しがり、手に入れて安心しているように感じます。


最近、ある先輩ガイドにあるグローブを勧められました。

そのブランドは、私にはイメージが良くなかったし、デザインもダサかったのですが、実際店頭で触ってみたら、とてもしなやかでストレスなく握れる感じがして試しに購入してみました。

今では、アイスクライミング時の細かな作業や冬山ガイディングにおいて、なくてはならないグローブになりました。

そのグローブの存在を知らなかった自分の無知を残念に思いましたし、こういう勧め方ができるようになりたいと感じました。