昨日、チャオでアイスクライミング初心者講習を行ないました。
今シーズンは、チャオと赤岳鉱泉でこのような講習を數度開催する予定です。
私自身は、アイスクライミングを知らない人への普及に努めて、楽しさを理解していただけたらとても嬉しいです。
しかし、一般普及の反面、安全にも気をつけなければならないと最近強く思います。
このような人工氷瀑はトップロープを簡単に張れて安易な考えに陥りがちです。
言うまでもなく、トップロープクライミングは折り返したカラビナ以外のバックアップがなく、そのシステム崩壊は大事故に直結します。
最近、目にするのは、
ロープ末端を結ぶエイトノットが正しく結ばれていない。(形は合っていても)
支点作成のスリングが有効に使われていない。
浮いている脆い氷のブロックやツララの集合体に気付かない。
カラビナが有効に使用されていない。
正しくビレイしていない。(アイゼン非装着は論外)
など。
見ていると、上記のような基本的なことすら出来ていない人が大多数です。
特に指導している立場の方でも、理解出来ていない人がいます。
初心者講習をやっていく中で、今後は更にリーダー層に対する安全講習も必要だと考えています。
建築基準法でも、人命に関わる安全率は10とかなり大目に取られています。(強度の不確実性、負荷の不確実性が存在するため)
予測出来ない事象に対する安全マージンも考慮する必要があります。
人工氷瀑のトップロープクライミングは、より強度の高いシステムを採用することが重要だと考えます。
また、エリア内でクライミングしている人がいたら、ヘルメット&アイゼンは必ず装着します。
なぜ、必要かは別な機会に紹介させていただきます。
誕生してから15年になる赤岳鉱泉アイスキャンディでは、大多数の利用にもかかわらず、コンペ以外、一件の事故も起きていません。
例え、有名ガイドであっても、赤岳鉱泉とやり方が違っていたら注意して標準化し、常に最新で最善のシステムと用具を模索するという姿勢が無事故を継続していると思います。
アイスクライミングが身近になり、一般の方にも普及させたいという強い思いと、利用者に対する安全講習も同時に必要だと感じました。
一つの予測出来ない事故で全てが失われないために。
