ロンドン・ナショナル・ギャラリーにあるサミュエル・ファン・ホーホストラーテンの「ピープ・ショー・ボックス」は以前に紹介した。今度はピーテル・ヤンセンス・エーリンハ(ピーテル・ヤンセンス・エリンハ)の 「ピープ・ショー・ボックス」と、彼の作品を紹介。
記事 サミュエル・ファン・ホーホストラーテン フェルメールの時代
晩年まで制作が続けられた作品のようだ。左には画家、右には画中画のある部屋があるが、サミュエル・ファン・ホーホストラーテンが長方形の箱型なら、こちらは三角形の底を正面にしている。
このブレディウス美術館所蔵のピーテル・ヤンセンス・エーリンハの 「ピープ・ショー・ボックス」。個人所蔵の「「画家と読みものをする女性、掃除をする召使のいる室内」のモチーフにそっくり。
さて、この「画家と読書をする女と召使」には、召使が描かれていない作品がある。スキャナから取り込んだので画像は悪いけど、実物の作品はなかなかよかった。でもピーテル・ヤンセンス・エーリンハだったか模写作品だったか・・・。
ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ? オランダの室内(画家と読書をする女) 所蔵先不明
「画家と読書をする女」には、犬が描かれている。シュテーデル美術館と比べると画中画も同じであるところが面白い。もう一枚は召使が後ろ向きの作品。
この作品は「画家と読書をする女と召使」と同様に、作者不詳の模倣作品も多い。引用はたぶん間違いのない美術書を参考にしている。この「テーブルに着く男女と召使」は、「画家と読書をする女と召使」のほか、次の作品にも似ている。
部屋のつくりも少々違い、右には幼女が描かれている。召使とパイプを吸う主人は同じ人物のようだ。
わからない作品をアップして申し訳ないけど、「画家と読書をする女」が掲載されていた美術書にいっしょにあった「音楽家」という作品。
ここには召使は描かれていないけれど、彼女がメインになっている作品がある。まったく同じ作品に見えるけど、鏡に映る顔が違う。
これもまた、模倣作品が多い。ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ自身も少なくとも同じ構図のこの2枚を描いているのだから。同じタイトルで別な作品「オランダの室内」は、他にもある。
シュテーデル美術館の「画家と読書をする女と召使」に描かれている主人側の読書をする女も従者の召使同様にクローズアップされた作品がある。
この女性、読書に飽きたのかギターを弾き出した。本は床に。
この「読書をする女」の模写作品も多いが、なんとフランスの画家で写実主義のフランソワ・ボンヴァン(1817–1887)の模写があった。
フランソワ・ボンヴァン メトロポリタン美術館所蔵
「画家と読書をする女と召使」はシュテーデル美術館所蔵で、ちょうどフェルメールの「地理学者」 、ヘラルト・テル・ボルフの「ワインを飲む女」 も同じ所蔵先になる。ピーテル・デ・ホーホ とも同じ時代。
この作品はピーテル・ヤンセンス・エーリンハとされていた「オランダの室内」だけれど、もともとはピーテル・デ・ホーホ の消失した作品。ピーテル・デ・ホーホの作品模写で、オリジナルはアレンバーグ公爵が所有していたものらしい。
さて、次はピーテル・ヤンセンス・エーリンハなんだろうかという作品は、ブレディウス美術館所蔵のもの。
最後は静物画2作品を用意した。かなり静物画は作品として残っているようだ。