ヘラルト・テル・ボルフ(1617-1681)はフェルメール(1632-1675)と同じ時代を生きたオランダの巨匠で肖像画家としても成功している。


フェルメールの作品と比較され、タイトルや風俗観をフェルメールが作例と見做している部分もある。


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ヘラルト・テル・ボルフ 演奏会、歌手とテオルボを弾く女 1657 ルーヴル美術館

記事 ”窓辺で手紙を読む女 「alei のフェルメールはお好き?」へ ”では、フェルメールの「合奏」と比較をしている。ドレスも似ているらしい。


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レモネードのグラス ウォルターズ美術館
エルミタージュ美術館所蔵はこちら→Glass of Lemonade 1660s


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音楽会(演奏会) 1668-70-Cincinnati Art Museum

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女にドリンクを飲ませる紳士(紳士とドリンクを飲む女)
c.1660 ロンドン・ロイヤル・コレクション


記事「フェルメール 二人の紳士と女、紳士とワインを飲む女、稽古の中断 」では、この作品を「紳士とワインを飲む女」と比較している。


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同じ女性が一人でワインを飲んでいる作品。「ワイングラスを持つ座る女」(1655年頃)は、シネブリコフ美術館所蔵。


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ワインを飲む女 1656-57 シュテーデル美術館所蔵


「ワイングラスを持つ座る女」も、「ワインを飲む女」も手紙が作品中に描かれている。ワインと手紙。


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ワインを飲む女と眠れる男 1660年 個人蔵


個人所蔵のこの作品は、手紙を読みながら「ワインを飲む女」を描いている作品よりも、数年あとの制作になる。この作品の酩酊中の男が、前作で彼女に手紙を書いたのだろうか。


紹介した記事「フェルメール 二人の紳士と女、紳士とワインを飲む女、稽古の中断 」にある、「二人の紳士と女」でも、一人の男がテーブルで酩酊している。


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テオルボを弾く女と二人の紳士 ロンドン・ナショナル・ギャラリー


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音楽の稽古(音楽のレッスン) 1668-69 Toledo Museum of Art
音楽の稽古  J.ポール・ゲッティ美術館/音楽の稽古 ルーヴル美術館

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演奏会 1675年頃 ベルリン美術館

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この女性の「音楽の稽古」はプーシキン美術館所蔵

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手紙を書く女 1655 マウリッツハイツ美術館

REMOVE-Kunsthistorisches Museum Wien

こちらは1650-80年の間に作成されたウィーン美術史美術館所蔵の作品。フェルメールの「手紙を書く女 」(1665-66)はこの二作品を作例したのか?

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しゃれ者の軍人(女に金貨を手渡す兵士) 1660-63 ルーヴル美術館所蔵

テル・ボルフがロンドンに滞在中のときの作品は下の「相談」である。その後ドイツ、フランス、スペイン、イタリアと、1641年にはローマに滞在。そしてスペインではフェリペ4世 に騎士を叙任された。


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「相談」 1635年 ロンドン・ナショナル・ギャラリー

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ヘラルト・テル・ボルフ ミュンスターの和約  1648 アムステルダム国立美術館


1.この作品はもう一枚、おなじアムステルダム国立美術館 では別ヴァージョンも紹介されている。 ↑ タイトルのテキストリンクをクリックすると別バージョンになるから。


2.ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵 「ミュンスターの和約


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招かざる召喚状(喜ばれざる招請) マウリッツハイツ美術館


REMOVE-Apfelschälerin

リンゴの皮を剥く女 ウィーン美術史美術館

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「手紙」1660-62 ロンドン・ロイヤル・コレクション


この作品は画中画にも使用されている。「ヤン・キルデマイスターの絵画ギャラリー」という作品。

画中画 関連記事 sai 記事 カテゴリー ギャラリー画  二記事あり


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「ヤン・キルデマイスターの絵画ギャラリー」 1794-95
アデリアン・デ・ルリ アムステルダム国立美術館所蔵
左の上から二番目に「手紙」が描かれている。

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身支度 1660年 デトロイト美術館

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身支度をする女と召使 メトロポリタン美術館 


この作品はフェルメールの「水差しを持つ女」と比較している。「フェルメール 窓辺で水差しを持つ女  牛乳を注ぐ女 」で掲載している。


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「鏡の前の女」1650 アムステルダム国立美術館


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好奇心 1660-62 メトロポリタン美術館

これは手紙を書く女の手紙の内容に関心、つまり女の好奇心が集まっている。行為ではなく心理からタイトルをつけたんだ。


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求婚者の訪問 1658 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

 
記事「フェルメール 二人の紳士と女、紳士とワインを飲む女、稽古の中断 」では、いずれも求婚者として作品の男女を解説している。


このテル・ボルフの「求婚者の訪問」は、フェルメールの三作品によく引用されている。


求婚者をタイトルに含まない「訪問」という作品をカスパル・ネッチェルは、テル・ボルフの1654年の「父の叱責」(個人所蔵)を模倣したものに名をつけた。


このテル・ボルフの「父の叱責」、カスパル・ネッチェルの「訪問」を画中画に描いたのは、あのサミュエル・ファン・ホーホストラーテン。この画家もフェルメールの作品によく引用されるが、この二作品の画中画に利用した「室内の情景」、もしくは「部屋履き」(スリッパ)は、フェルメールの「恋文」に解説の引用にされている。


僕の過去記事 「サミュエル・ファン・ホーホストラーテン  フェルメールの時代


この記事で下の作品4点を引用しているので、↑の記事も見てみて。


REMOVE-The Visit 1655-Caspar Netscher

テル・ボルフの「父の叱責」の模倣
カスパル・ネッチェル 「訪問」

REMOVE-A Singing Practice-1655

ヘラルト・テル・ボルフ 「歌の練習」 スコットランド国立美術館

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ヘラルト・テル・ボルフ 「父の叱責」アムステルダム国立美術館


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ヘラルト・テル・ボルフ 「父の叱責」 1654

この彼女の後ろ姿は、もう一作ある。次の作品はメッセンジャー、「伝令」とでもつけようか。


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メッセンジャー(伝令) 年代不詳 エルミタージュ美術館


紹介した記事 ”窓辺で手紙を読む女 「alei のフェルメールはお好き?」へ ”で、フェルメールの「手紙を読む青衣の女」も掲載されているが、この「メッセンジャー(伝令)」は、その作品に引用されている解説を、以前誰かの本でみた記憶がある。


僕の過去記事で、「ヴィオラ・ダ・ガンバを弾く女 ハブリエル・メツー Gabriël Metsu 」に取り上げた作品の中で、手紙を書く男、手紙を書く女の対画を紹介したが、テル・ボルフも、この手紙を書く男、手紙を書く女の対画を描いている。


この対画は下の作品になるが、記事「フェルメール 手紙を書く女と召使 」で引用している。


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手紙を書く兵士と伝令 1658-59

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封蝋を溶かす女と召使 1659 個人蔵


この二作品はそれぞれ伝令者、召使、それぞれのテーブルクロスの色を差し替えして使用している。そして「手紙を書く兵士と伝令」での伝令役の男性は、次の作品にも登場している。


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手紙を書く兵士と伝令 1658-59 ロンドン・ナショナル・ギャラリー


これは対画がどうかは知らないが「手紙を読む男」、「手紙を読む女」というのもある。

右は「手紙を読む喪服の女」(個人所蔵)、左は「手紙を読む男」(デトロイト美術館所蔵)になる。


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喪服を着た女には、純潔をあらわす水差しに世俗性を強調した「地図」がかかっている。テル・ボルフは書斎にいる男の肖像画にも地図を描いている。


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書斎の男の肖像画 1668-69 ギルドホール美術館所蔵

地図はフェルメールのような緻密さはない。本を読む台に羽ペンと書物のほか、手に手紙らしきものを持っている。

フェルメールのように壁に地図、そして楽器を弾く女の作品もあるが、1688年、69年というとフェルメールは「天文学者 」、「地理学者 」を描いた頃で、地理学者のほうに地図が描かれている。


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訪問 1660年 E.G.ビューレー・コレクション


町議員まで務めていたらしいテル・ボルフの作品には、フェルメールと違い、華やかな富裕層が描かれている。フェルメールの描く富裕層は、調度品や楽器から理解できるが、作中の人物たちはお嬢さんというより、「娘さん」と呼ばれる階層の雰囲気が多いようなんだな。


ただしテル・ボルフは農家の娘たちも描いているし、搾乳する女中の姿も描いている。フェルメールのほうは、本当の「娘さん階級」を描いた「牛乳を注ぐ女」があるが、maki の記事を読んで、「水差しを持つ女」という女主人の階級に対比させて、下女中を描いている様にも思えた。


テル・ボルフ 「牛舎で搾乳する女性

フェルメール 「フェルメール 窓辺で水差しを持つ女  牛乳を注ぐ女 」(maki 記事)

フェルメールに関しては XAI 「フェルメールはお好き? 」から。(「フェルメールはお好き?」は僕ネタだったんだが・・・、横取りされた、saiに。)


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ダッチ・ジェントルマン 1640年 ヴァージニア美術館


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モーゼス・ファン・テル・ボルフのメモリアル肖像画 
1667-69 アムステルダム国立美術館


モーゼスは1667年に亡くなったオランダの画家。テル・ボルフの弟。父も妹のへジーナも画家だった。ヘラルトは地位と名誉を得てからオランダに戻り、デフェンテルの富裕層として64歳で亡くなっている。


フェルメールともつきあいはあったようだ。テル・ボルフも決して作品数が多いわけではない。80作品が知られている程度という。


それでもテル・ボルフの作品は美術館で多く観ることができる。

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