1981年に、耐震基準が見直されたが、実際にはその基準を満たしていない建物が多いらしい。見直すとなった頃を想像すると、恐らく、不動産の所有者から多くの反発を受けただろうから、それを押し切って見直すとなると、暗黙的に、すぐには適用しなくても目をつぶる、という空気だったのかも知れない。
ちなみに、1981年の直前に、大地震でもあったのか調べてみたが、特にそんな履歴はなかった。(代表的なところだと、1983年に青森、1995年に阪神淡路、2011年に東北。あと北海道は意外に頻繁に揺れている。)
しかし、立て替えを促すために、容積率を緩和するとは、うまいやり方だと思う。元々あった容積率は何だったのか、若干疑問だが、当初はそれが限界だったが、今は建築技術が高まったことで、高い建物が建てられるようになっているのかも知れない。
ただ、実際には、現時点で既に、報告なしに緩和後の容積率で増床してしまっている建物もあるようにも思う。不動産業界では、他にも、基準はあるが抜け道があって実態としては満たしていない、というようなところが多そうなイメージがある。
少し違う角度から考えてみると、建物は、老朽化が進んだり、街や時代の雰囲気と合わなくなったりすることで、自然と立て替えが進むもの、とも言える。そこに敢えて、「立て替えを促す」と言っているのには、別の目的もあるのかも知れない。
例えば不動産業界が、より資産効率を上げたいたいと、政治家に要請したとか、株主が同理由で要請したとか、実際には耐震基準も容積率も両方違反しているところが多いため片方だけでも満たすことになるようにしたかったとか。でもよくよく読むと、「立て替えを条件に」とあるので、最後の理由はなさそうだ。東北地震以降、住民が不安になって、苦情を言い続けてきたのが、ようやく具体策に落ちたのかも知れない。
いずれにせよ、地震が起きた時のために、基準以下の建物を建て替えたい、そのために業者にインセンティブを与える、という考え方は、良いと思う。
一点、懸念があるとすると、人口が減少していくなか、人が都心に集まってきているということはあるが、ただでさえ不動産が空き気味という雰囲気があるのに、これ以上、部屋数を増やして、果たして本当に資産効率は上がるのかは謎だ。実態が伴わない、不動産投資だけが盛り上がって、また1980年代バブルの再来とならなければいいが。