梅雨から夏にかけて、料理をする中でいつも気にかかるのは食中毒の事です。
私はもともと厨房で調理をしていたので、食品衛生については常々職場で言われてきました。
食中毒のニュースが流れると、お店ではシェフから「料理する人間は食べる側の命預かってる意識で作る様に」と強く言われたものです。
仕込みとしての料理は、まず菌を付けないように気をつけること、そして、調理後は素早く冷却することが必要です。中途半端な温度帯ではどんどんと菌が増殖していきます。
家庭でのごはん作りは、夕方頂く前に作る事が多いので危険は少ない方ですが、給食などはどうしても仕込み調理から時間が経ち食べる事になるので時折大きな食中毒が起きます。
料理撮影の世界で始め違和感を覚えたのは、「撮影に耐えうる細工をするため、食べれない料理もたくさんある」事です。
それは、美味しそうな場面を残す撮影優先なので時には仕方のないのも事実です。
例えば恵方巻の海苔はテーピングして撮影中に湿気らないようにする事もあります。
そんな中で、きちんと衛生面で気をつけて味付けもしっかりしたものならば、普通の調理と同じなので撮影が終わっても試食に出せたりまかないにも変えられる。そう思って出来るだけ余裕のある撮影現場では「美味しく食べられる料理」
で準備したいといつも思っていました。
飲食系の仕事をすると、大量の食材破棄というジレンマがいつもついてまわります。
本当は料理が好きでこの世界に入ったのにとくやしく思っていた気持ちも、少しでも試食に回せる料理をと願ったりしていた事も、お家でのごはん作りは優しく浄化してくれるのです。