小さな恋の行く先は【15】 | 今日の戯れ言

今日の戯れ言

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せっかくの幼なじみの申し出に乗って、居ないのを承知の上で

「天ちゃん、居る?」

と部屋に行けば、驚き顔のケン兄がいた。


押された背中に勇気をもらって会いにきたはずなのに、「久しぶり」の言葉しか出てこない。

ちゃんと言わなきゃ、私の気持ち。

こないだは、何も言わずに逃げちゃってごめんなさい。

私も、ホントはずっと前からケン兄が大好きだったの…


なのに、まっすぐに顔を見ることも出来ず

気持ちばかりが焦って、うまく言葉に出来ない。


空気は重くまとわりつき、時間だけがさらさらと過ぎていく。

その時、カタン、と音がして、ケン兄が立ち上がる気配がした。


ゆっくりと近づいて来るのがわかる。けど、怖くて顔があげられない。

何も言わず、つ、と私の前で立ち止まった。

思わず、顔が上がる。視線が一瞬だけど、ぶつかった。それと同時に伸びてきた手に、反射的に目をギュッと閉じてしまった。


優しい瞳、柔らかい笑顔。怯える必要なんてどこにもないのに、緊張で体が震える。

だめだよ

こんなじゃ、今度は本当に嫌われちゃう。



言わなきゃなのに

伝えなきゃなのに…



to be next story …

最初から見たい時は

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