トラブルに陥ったとき私たちは自分自身を責める傾向にあります。
しかしそのような状況下の自責は問題の解決を遠ざけてしまいます。
何故ならどんどん自分自身に対する信頼感を下げ、動けなくなり、状況がさらに悪化するからです。
将棋の世界にこんな言葉があります。
「反省はするが後悔はしない」
羽生善治さんの著書で出会った言葉です。
結果が厳しく問われる勝負の世界で口伝されてきた言葉。
そこには人が生き延びるための知恵があります。
「後悔」と「反省」。
二つの言葉の意味は以下の通りです。
後悔…自分がしたことを後になって悔やむこと
反省…自分の良くなかった点を認め改めようと考えること
後悔するとは過去の自分を責めること。
自責によって人は自信を失い、パフォーマンスは下がります。
困難な状況にある時に、自分で自分のパフォーマンスを下げること。
それは悪手中の悪手と言えるでしょう。
反省とは、過去を振り返り、自分自身の改めるべきことについて考えること。
改めるべきを考え、改めていけば、その人のパフォーマンスは確実に上がります。
困難な状況を打開出来る可能性も必然的に高まります。
だから困難な状況であればあるほど、必要なのは、「後悔」ではなく、「反省」なのです。
それでは「反省」とは具体的にどうすることをいうのでしょうか?
私のおすすめするやり方は、「日記をつけて読み返すこと」です。
日記に書く内容は、「事実」、「解釈」、「行動・結果」の三つに分類します。
例えばこんな感じです。
事実:子どもが朝起きられず、今日も学校を休んだ。
解釈:私は毎日頑張って働いているのに、子どもは怠けている。イライラした。
行動・結果:子どもをきつく叱った。子どもが口をきかなくなった。
このように毎日の出来事を「事実」、「解釈」、「行動・結果」に分けて記録していきます。
それがある程度の期間蓄積すると、出来事に対する自身の解釈、行動の傾向性が見えてきます。
ある状況が発生すると、このように解釈を下し、その解釈に基づいて特定の行動を取る。
そういう自分自身の傾向が明らかになってきます。
人は起きた事実を、自身の価値観に従って解釈し、その結果としてある行動を起こします。
自分自身の解釈の傾向が、現状の問題を解決することに寄与しているか否か。
蓄積した記録からそのことを省みてみます。
結果、もし解決に寄与していないならば、起きた事実に今までとは別の解釈を与える必要があります。
上記の例であれば、学校に行かないのは怠けているからではなく、
何か学校に行けない理由があるから、と別の解釈することも出来るわけです。
そしてその解釈からは、例えば、お子さんの話に耳を傾けてみる、好きな料理を作って労ってあげる、
などの別の行動が引き出されることになります。
そうすれば起こる結果も変わってくるでしょう。
これが、自分を省みて改めるべきを改める「反省」の一つの方法です。
発見した傾向性の中から何かを変えてみて、その結果を記録し、改善が見られなければまた記録を見返し別の策を試してみる。
反省し、試行錯誤を繰り返すことで、状況が改善する可能性は高まっていきます。
今、困難な状況にあればある程、ご自身を責めて自分のパフォーマンスを下げてしまう「後悔」ではなく、
日記をもとに改善点を見出し、試行錯誤を繰り返す「反省」をぜひ試してみてください。