前回の記事では、井上ひさしさんの短編小説に登場するルロイ修道士の言葉、
「困難は分割せよ」
を如何にして現実に落とし込むか、扱う問題の「範囲を絞る」という観点からその1例をご紹介しました。
前回記事
私が考える「分割する」。
一つは「範囲を絞ること」、もう一つは「分類すること」と書きましたが、
今回は二つ目の「分類すること」について。
困難をどう分類するか?
自分が影響を及ぼせるか否かに従って分類します。
例えば、「お子さんが学校に行かなくなった」という問題について考えてみましょう。
学校に行くかどうかを決められるのは、親御さん自身ではなく、お子さんです。
そういう意味で、「子どもが学校に行かない」という問題に関して、
直接的に影響を及ぼすことはできません。
ただ、自分が影響を及ぼすことが出来るものもあります。
例えば、自分が勉強して子どもに勉強を教えてみるとか、
子どもの話に耳を傾けるようにするとか、
まず自分が心穏やかに過ごせるように、生活習慣を調整してみるとか、
協力して子どもをサポートできるように夫婦間のコミュニケーションを増やすとか、
自分が影響を及ぼすことが出来るものもあります。
このように抱えた問題を、自分が影響を及ぼせること、及ぼせないことに分類することで、
どうしてみようもないことに思い煩って消耗していたエネルギーを、
自分が影響を及ぼせる範囲に集中して注げるようになります。
今まで分散していたエネルギーを集中させることができるので、問題の解決可能性が高まります。
さらにもう一段階、問題を分類することもできます。
これは仕事術の本などで良く紹介されている方法ですが、
問題を緊急度と重要度によって分類する、というものです。
縦軸に重要度、横軸に緊急度を取り、
先ほど挙げた自分に影響を及ぼせる因子を表の中に落とし込んでいきます。
この際、重要度の低いものはすべて切り捨てます。
重要度が高いものの内、緊急度の高いものが最優先で取り組むべきことです。
重要であるが緊急度の低いものに関しては、長期的な視点に立って後から取り組むこととします。
こうやって、自分が抱える問題を細かく分類することで、
「出来ること」と「出来ないこと」に、
そして「出来ること」の中でも「最優先すべきこと」、「後々取り組めばよいこと」に整理することができます。
問題の解像度を上げ、自分が今なすべきことが明確になればなるほど、行動しやすくなりますし、
行動すれば目に見える形で問題が解決されていき、自己効力感も高まります。
自己効力感が高まれば、さらに行動に移せるようになります。
今対峙している問題があまりに大きすぎると感じたら、
一、問題の範囲を絞って取り組むこと
二、「出来ること」と「出来ないこと」に分類すること
この二つの視点から問題を分けてみてください。
きっと具体的な行動に移しやすくなるはずです。