前回のブログでは、
・私たち大人はついつい子どもたちに「出来ない子」「困った子」という前提を抱いてしまいがちであること
・「出来ない子」「困った子」という前提が、子どもたちを実際にそういう状態にしてしまうこと
・その前提を変えれば、子どもたちも変わっていくこと
という内容を綴りました。
それでは、前提を変えるというのは具体的にはどうすることを言うのでしょうか?
考えてみたいと思います。
「出来ない子」「困った子」という前提から、「可能性と才能を持った素晴らしい子」という前提に変えることが大切、という話をすると、
「出来ないことを指摘するのではなく、ほめてあげればいいのでしょう?」と考える方が多いですが、「ほめる」という行為には落とし穴があります。
「叱る」も「ほめる」も子どもを評価する言葉です。
評価というのは、自分より下の相手にすることです。
つまり、「叱る」も「ほめる」も、その前提はやはり、「自分よりも相手が劣っている」という考えなのです。
相手は自分より劣っていて、そういう「困った子」「出来ない子」をどうにかする方便として、叱ったり、ほめたりという行為をするわけです。
子どもに対する前提が同じままで、今まで注意したり、叱ったりしていたのを、ほめることに変えてみたところで、子どもに変化は起きないでしょう。
「困った子」「出来ない子」という前提を「可能性と才能を持った素晴らしい子」という前提に変えるとは具体的にどうすることか?
様々な選択肢があると思いますが、私の考えるものを三つ挙げてみたいと思います。
・子どもに感謝する、子どもの存在を喜ぶ
・子どもの話を聴く
・ヘルプではなくサポートをする
一つ一つ見ていきたいと思います。
先ほど「ほめる」も「叱る」同様に評価の言葉でしかないと書きましたが、感謝すること、その子の存在を喜ぶことは、評価ではありません。
それはその子の存在に対する強い肯定の言葉です。
具体的には「いつも元気でいてくれることが嬉しい」とか「ご飯をおいしそうに食べてくれてありがとう」とか「あなたの顔をみていると幸せな気持ちになる」とか。
そういう言葉がけを日常生活の中に入れることです。
人間は、自分の存在を喜ばれたり、「ありがとう」と感謝されたりすれば誰でもうれしいものです。
それが自分の親からであればなおのこと。
自分の親から、自分の存在を肯定するような感謝の言葉がけをされたら、子どもの自分自身に対する前提は大きく変わるに違いありません。
子どもの話を聴くこと、これも大切なことです。
話を聴くというと多くの人は、自分の思う正解を相手にアドヴァイスすることと思いがちですが、話を聴くとは自分の意見をはさむことなく相手の話に耳を傾けることです。
相手の話に耳を傾けるとは具体的にどうすることを言うのでしょうか?
大まかにいうと、
・うなづき
・おうむ返し
・沈黙で見守る
この三つが相手の話を傾聴するときに大切なことです。
具体的に綴った記事がありますので、ぜひこちらも読んでみてください。
ヘルプではなくサポートする、とは具体的にどういうことでしょうか?
例えば子どもが勉強がわからなくて困っていたとします。
この時に、代わりに解いてあげることがヘルプ、ヒントを出してあげることがサポートです。
もう一つ例を挙げます。
子どもが朝起きられないとします。
この時毎朝起こしに行くことがヘルプ、自分で起きられるように目覚まし時計を買ってあげることがサポートです。
誰かに解決してもらうことで、子どもは自分に自信を持つことができるでしょうか?
その時は困らなくて済むかもしれませんが、その経験を通して子どもの心に根差すものは、自分に対する無力感です。
親からのサポートを得て自分の力で解決に至った場合、その子は自分の存在に頼もしさを抱けることでしょう。
つまり、自分自身に対する前提が変わるということです。
子どもに対する「困った子」「出来ない子」という前提を変えるとは具体的にどうすることか?
様々な選択肢があるとは思いますが、自分なりに思いつくものを綴ってみました。
前提を変えれば行動が変わるということがわかっていても、前提という心の中の目に見えないものを変えるというのは、そんなに簡単なことではありません。
もし前提を変えるということが、漠然としていて難しいならば、ぜひ今日ご紹介したような言動を心掛けてみてください。
前提という目に見えない内面の話は意識しづらいものですが、目に見える言動に関しては意識して変えていくことができます。
親御さんがそういう行動を心掛けて行っているうちに、お子さんのふるまいが変わり、それによって親御さんのお子さんに対する前提もさらに変化していくはずです。
そういう好循環への入り口として、まず意識して変えることができる言動を変化させてみてください。
言動を変えても一朝一夕で結果が出るわけではありません。
目の前の出来事にあまり一喜一憂されず、続けてみてください。
ゆっくりゆっくりとお子さんが変化していくはずです。