前回のブログでは、聴き方の技術的な面、傾聴について綴りました。
自分が話すのは得意だけれど、人の話を聴くことは苦手という人は多いのではないでしょうか?
話すことが好きな人が多いというのは、もしかしたら聴くことが苦手な人が多いからかもしれません。
なぜ話を聴くことが難しいのでしょうか?
理由は三つです。
1、聴くこと=アドバイスという勘違いがあるから
2、聴き方が分からないから
3、聴いてもらったことが無いから
1、2に関しては、前回、前々回のブログにて綴りましたが、二つを統合するなら、「聴く」ということが具体的に何を意味するのかを理解していないから、となります。
今回は3について。
人は話を聴いてもらうことで、人の話を聴けるようになります。
だから人の話を聴ける人とは、誰かに話を聴いてもらったことがある人です。
なぜ人に話を聴いてもらうと、人の話を聴けるようになるのでしょうか?
人が人の話を聴けるときとは、どんな時でしょうか?
逆に話を聴けないときとはどんな時でしょうか?
話を聴けないときがどんな時かを考えてみれば、話を聴けるときとはどんな時かが自ずと見えてきます。
人が話を聴けないとき、それは自分自身が心の穏やかさを失っているときです。
心に余裕がない時、人は人の話を聴くことはできません。
つまり、心穏やかな時は人の話を聴けるということです。
自分が辛かった時を思い出しながら、そのことを日記に記すだけで、高血圧、関節リウマチ、うつ病などの症状が改善されるという医療データもありますが、
人が身体を壊すとき、心のバランスを崩すときというのは、自分の心の中が押し込めた感情で一杯になっているときだったりします。
その感情を、書くという行為を通じて自分の外に出し、その時の感情を味わい直すことでカタルシス(感情の浄化)が起き、心身の不調が改善するということが、医学的にも証明されつつあります。
人に聴いてもらうということも一緒です。
聴き手が、自分の考えを差し挟むことなく傾聴することで、話し手は辛い感情を味わい直し、一杯になっていた気持ちに少しだけ余裕ができます。
そのできた余裕の分だけ、他者を受け容れられる心のゆとりが生まれ、人の話を聴けるようになるのです。
だから技術的なことを知っていても、聴くことができないのは、その人自身が気持ち一杯なのにも関わらず、人から話を聴いてもらったことがないからです。
もし今ご自身が、お子さんの話を聴けないなら、それは自分自身が誰かに話を聴いてもらう必要があるからかもしれません。
話を聴くとは何かを分かっている人が身近にいるならば、ぜひ一度話を聴いてもらってください。
もし誰かに話すことに抵抗を感じられるならば、先ほど紹介したように、日記を書いてみるというのも一つの手段です。
参考文献
日記を書くと血圧が下がる 体と心が元気になる「感情日記」のつけ方
最上 悠(精神科医・医学博士) 著
続きます。