今回は「課題の分離」について。
前回、「あなたのために言っているのよ!」は、よく考えてみると「あなた」のためではなく、「私のため」に発せられる言葉なのではないか?
そんな内容を綴りました。
=「それは誰の課題か?」=
アドラー心理学には「課題の分離」という言葉があります。
人が生きていく中で、クリアしなければいけない様々な課題があります。
学校の宿題、仕事、家族や友人などの人間関係、様々な課題があると思います。
その様々な課題が誰が負うべき課題かを明確にして、自分の課題と他者の課題を区別しましょう、というのが「課題の分離」という考え方です。
例えば、お子さんが宿題をしない、持ち物を確認しない、部屋を掃除しない。
そういう決断をすることで、その最終的責任を引き受けるのは誰でしょうか?
宿題をしないことで、〝お子さんが〟学校の勉強が分からなくなる。
持物を確認しないことで、〝お子さんが〟忘れ物をして困る。
部屋を掃除しないことで、〝お子さんが〟探し物が見つからなくて困る。
こうして考えてみると、例に挙げた三つの決断の最終的責任を引き受けるのは、親御さんではなく、お子さんであることが分かります。
そうであるならば、それは親が立ち入るべき課題ではなく、子どもの課題であるといえます。
人間関係で起きる多くのトラブルは、他者の課題に踏み込んでしまうこと、自分の課題に踏み込ませてしまうこと、によって引き起こされているのではないでしょうか?
「親しき中にも礼儀あり」という言葉もありますが、どんな人間関係にも適切な距離感が必要で、「それは誰の課題か?」を明確にするだけ、人間関係は驚くほどにシンプルになる、とアドラーは述べています。
他者の課題に踏み込まない。
自分の課題に踏み込ませない。
これを意識することが、一見複雑に見える人間関係を解きほぐす上で大切になってくると私は考えます。
次回に続きます。