先日、友人からアドラー心理学の読書会に招いてもらいました
「嫌われる勇気」
だいぶ前に出版された書籍ですが
今でも本屋さんの目立つ場所に置かれている
ロングセラーです
一度では理解し切れずに
私は三度読み返しましたが
読書会を機にもう一度読み返してみました
「嫌われる勇気」をはじめ、アドラー心理学の書籍には
子どもを自立に導くためのたくさんのヒントがある
様々気づくことがあったので
今回はアドラー心理学を通して
子どもたちを自立に導く方法に関して
考えてみようと思います
＝原因論と目的論＝
アドラー心理学の祖であるアルフレッド・アドラーは
フロイト、ユングと並ぶ有名な心理学者で
かつてはともに学びあう仲でしたが
考え方の相違から袂を分かつに至ります
そのひとつが原因論と目的論です
フロイトの心理学では
過去の出来事(トラウマ)が原因となって今の問題が起きている
という原因論の立場をとります
例えば
ある人が人との関わり合いを持とうとしないのは
過去に人間関係で痛い目にあった心の傷があるから
これが原因論の考え方です
一方のアドラーが唱えるのが目的論です
今の問題行動はある目的を果たすためになされている
という考え方をとります
例えば
ある人が人との関わり合いを持とうとしないのは
人との関わり合いの中で傷つきたくないという目的を果たすため
これが目的論の考え方です
＝トラウマは存在しない？＝
原因論ではなく目的論を採用するアドラー心理学では
過去の出来事が原因で今の問題が起きているという
トラウマの考え方を明確に否定します
ただ現在は脳科学の研究が進み
虐待や育児放棄を受けて育った人は
偏桃体の大きさが肥大しストレスに対する感受性が高くなっている
そんな研究結果も明らかになっている事から
私はトラウマを完全には否定できないと考えますが
不登校の子どもとの関わりを考えるとき
問題を原因論ではなく目的論でとらえることで見通しがよくなる
そんな場合も多い気がします
＝問題行動の目的＝
不登校、夜遊び、摂食障害、自傷行為、依存症
子どもたちの問題行動の多くは
「私の育て方が悪かったから」
という原因論の文脈で語られることが多いと感じます
そして親御さんはご自身を責めて気持ちが沈み込む
それに同調するようにお子さんの状態も沈んでいく
そんな事例が多いように感じます
同じ問題行動を目的論の視点から眺めてみましょう
子どもたちは問題行動を通して何を得ようとしているのか
それは親御さんの関心です
子どもははじめ優越することで親の関心を引こうとするが
それが失敗に終わると今度は劣等することで関心を引こうとする
アドラーはそのように述べています
問題行動を起こすことで子どもたちは親御さんの関心を得ようとしている
目的論の立場から眺めてみるとそういうとらえ方もできる訳です
＝目的論的解決策＝
そうであるならば
子どもたちが示す問題行動をやめさせるために
何をすればよいのかが自ずと見えてきます
それは、子どもが求めているものを与えてあげること
関心を示してあげる事です
原因論的観点からご自身を責めて親御さんが辛い顔をしていても
問題行動だけを捉えて力ずくで押さえつけても
それだけでは子どもたちの問題行動は解決しません
なぜこの子はこのようなふるまいをするのか
この子が求めているものは何なのか
目的論的観点に立って
その子が抱えているものをわかろうとし続ける姿勢
それが子どもたちの問題行動を解決するために
とても重要であると私は考えます
関心を示すと言うと
子ども自身の問題に
あれこれと口をはさんだり
先回りして手を出したり
そんなふるまいを想像される方もいらっしゃるかもしれませんが
アドラーは「課題の分離」という言葉で
そういうふるまいは好ましくないと明確に否定します
次回はこの「課題の分離」について綴りたいと思います
＝参考文献＝
嫌われる勇気 岸見 一郎 著
アドラー心理学入門 岸見 一郎 著
人生に革命が起きる１００の言葉 小倉 広 著