午後七時。私は部活を終え、放送室から出ようとした。そのとき、ふと教室に弁当箱を忘れたことに気がついた。
「すいません、取ってきます」
申し訳なさそうに言うやいなや、私は廊下を駆け出した。
すると教室に向かう途中、‘彼’と出会った。
彼も私と同様部活終わりらしく、仲間とともに雑談をしていた。
私が彼の横を静かに通り過ぎようとしたとき、突然彼が言った。
「一緒に帰ろうぜ」
私は彼のその大胆な提案に少々戸惑ったが、その言葉に裏がないことを悟ると(そもそも始めから疑いの余地はなかったのだが)、口角を上げ、「うん」と返事をした。少し声が裏返った。
外に出ると、もう夜だというのに気温が高かった。梅雨など吹っ飛ばして早く夏が来ればいいと思った。
私の隣には彼がいる。私よりも10cmほど身長の高い彼の存在は、いつにも増して大きく見えた。
その後、もう一人の友達Uも合流し、コンビニへ行った。
そんな、どこの高校生でも普通にやりそうなことが、何故だか妙に嬉しい。
彼とは、いつまで友達でいられるのだろうか。
クラスも違う。性格も違う。交友関係だって、趣味だって、全く違う。
なぜ、彼と出会えたのだろう、と思う。
別々の世界にいて、絶対に交点のない二人が、引き合わされるのはなぜだろうか。
その理由が分かれば、いつ、彼と離れなければならないのかも分かるかもしれない。
でも、それが怖い。分かってしまうのが、とても怖いのだ。
彼とは、いつまで友達でいられるのだろうか。
彼とは、いつ、友達以上の関係で繋がるようになるのだろうか―。