高齢の親が誰かと会いたがっているのに、「体調が悪いから」「混乱するから」と会わせてもらえない。
通帳や印鑑は家族が預かり、親は自分のお金を自由に使えない。
気がつけば、親は“家の中”に閉じ込められていた――。
これは介護?それとも囲い込み?
近年、家族による**「高齢者の囲い込み」**が社会問題となっています。
そしてこの囲い込みを行っているのは、他人ではなく、親のすぐそばにいる“身内”であることが少なくありません。
この記事では、「誰が囲い込むのか?」という問いに答えるべく、加害者となりやすいタイプと、その背景にある動機や心理について詳しく解説します。
動画にもまとめてあります。動画も一緒にご視聴ください。
家族の中で起こる“見えにくい支配”の正体とは?
高齢の親が「自由に外出できない」「他の家族と連絡を取らせてもらえない」。
そんな状況が、実は**家族による“囲い込み”**である可能性があることをご存知でしょうか?
本記事では、この囲い込み問題において**「誰が囲い込むのか」**に焦点を当て、加害者になりやすいタイプとその背景にある動機や心理について詳しく解説します。
加害者は“特別な誰か”ではなく、すぐ隣にいる「家族」かもしれない
「囲い込み加害者」と聞くと、冷酷な人や悪意に満ちた人物を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際の加害者は――
**長男や長女、配偶者など、親の近くにいる“普通の家族”**であることが非常に多いのです。
しかも本人にその自覚がなく、
「私は親の世話をしているだけ」
「親を守るためにやっている」
と信じている場合もあります。
では、どういった人が囲い込みを行いやすいのでしょうか?
囲い込み加害者に多い4つの傾向
加害者になりやすい人には、いくつかの共通する傾向があります。
- 支配欲が強い:家族を自分の思い通りに動かしたい
- 経済的に困っている:親の財産や年金を頼りにしている
- 親との共依存関係が強い:心理的に親にべったりで他者を拒絶する
- 親や兄弟に対する怒り・恨みがある:過去の傷が癒えず報復的になる
これらの傾向を持つ人が、無意識のうちに囲い込みを行い、親の生活や人間関係を制限してしまうケースが後を絶ちません。
囲い込み加害者の4つのタイプとは?
囲い込み加害者は、心理的傾向から主に以下の4タイプに分類されます。
① 支配型
親をコントロールすることで、存在価値を感じるタイプです。
「お母さんには私しかいない」「兄弟は信用できない」といった言動で、他の家族との接触を遮断します。
介護や通院を担っていることを盾に、他者を排除するケースも。
② 搾取型
親の財産・年金・不動産などを目的として囲い込みます。
通帳・印鑑を預かり、勝手に名義を変えたり不動産を処分したりすることも。
親を“資産”として扱う冷酷な動機が根底にあります。
③ 共依存型
親との心理的な一体化に依存しているタイプです。
「親と私だけの関係」が壊されることを恐れ、他の人との接触を嫌がります。
表面的には「親思い」に見えるため、周囲も気づきにくいのが特徴です。
④ 報復型
過去の親からの虐待や無視などに深く傷ついているタイプ。
その傷が癒されず、無意識のうちに「仕返し」するように囲い込み行動をとります。
本人にとっては“無意識の復讐”となっているケースも少なくありません。
なぜ囲い込みは見えにくいのか?
囲い込み問題が厄介なのは、それが「家族の中」で起こっているため、外部から見えにくく、本人たちも自覚しにくいという点にあります。
加害者が「親思いの良い子」を演じていることもあり、周囲は「お世話して偉いね」とすら思ってしまうことも。
さらに、囲い込まれている親自身が「うちの子がそんなことをするはずない」と思い込んでいると、外部からの介入がますます難しくなってしまいます。
まとめ:「誰が囲い込むのか?」を問い直す
囲い込みの加害者は、誰か特別な悪人ではありません。
むしろ、“善意”の仮面をかぶった支配・搾取・依存・報復の感情が、家族という閉ざされた空間で爆発しているのです。
だからこそ私たちは、行動の表面だけでなく、
「この人はなぜ囲い込むのか?」
という動機と感情の背景を見つめ直す必要があります。
次回の記事では、
「囲い込みはなぜ問題なのか?」—高齢者の自由・尊厳・家族関係への影響
についてお伝えします。
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