ヴァイオレットエヴァーガーデンの感想です。



 暁佳奈さん原作で、京アニ制作の全13話のアニメーションです。

 

 



人伝に、この作品の評判を聞いていて、とりあえず軽い気持ちで見始めました。


京アニの作品をしっかりと観るのは、「けいおん」以来です。前知識が無かったので、学園モノかなと思っていました。



全然違いました…!



戦争しか知らなかった少女(ヴァイオレット)が、戦争が終わり第二の人生として、手紙の代筆業を通し人々の手紙に込める気持ちに触れることで、少しずつ人の機微を理解できるようになるという大筋で、一話完結タイプのアニメです。



初期のヴァイオレットは、相手の裏に潜む感情を理解することが難しく、行間の無い報告書のような手紙しか書くことができませんでした。(相手を怒らせてしまった報告書のような手紙もそれはそれで面白かったです)


手紙の依頼主は、友人、兵士、古文書館、劇作家、姫等色々です。ヴァイオレットは、様々な人から代筆を依頼されることになります。



当初、下された命令以外には見向きもせず、何の感情も持ち合わせなかった主人公が、依頼をこなすにつれ、相手に同情したり、罪悪感を抱き涙を流したり、と人間らしい気持ちを知り、気持ちを抑え切れずになっていく様は、ぐんと物語に引き込まれ、目が離せなくなるポイントでした。



ヴァイオレットを引き取った民間代筆業(兼郵便局?)ホッジンズ社長や先輩のカトレアさん等、脇を固めるキャラクターたちの声には出さないけれど、ヴァイオレットに向ける愛情は温かいもので、良い職場に恵まれたね…と職場のシーンはほっとすることが多かったです。




エピソードとして好きな回は、


●姫と王子の公開恋文

●未来の子どもへの手紙

●劇作家の台本書き起こし作業


の回です。


●姫と王子の公開恋文の回は、とにかく公開恋文の文章が美しい。そして、ヴァイオレットが相手を思いやり業務の枠を越えて、初めて自分の意思で提案、計画実行したお話だったような気がします。お姫様は、とーーっても愛らしく可愛かったです。政治的な結婚への不安や期待、生まれ故郷を離れてしまう切なさ寂しさも丁寧に描かれていて、話自体も綺麗にまとまっており大好きなエピソードです。


●未来の子どもへの手紙

●劇作家の台本書き起こし作業


これらは、涙無しには見られない回でした。

どちらも、悲しいけれど、観終わった後は心が温かくなる美しいお話です。家族の愛を主人公がつなぐ、そんなエピソードでした。




美しいと言えば、このヴァイオレットエヴァーガーデンは、背景やちょっとした自然・風景の描写がとても繊細で鮮やかでとても美しかったです。


自然が持つ美しい風景をとても大事にしていることが、どの回を見ても感じることができました。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン3 [Blu-ray]

 

 

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草木の一本に至るまで精巧に書かれていて、美しい花々のシーンには、思わずうっとり見入ってしまうほどです。


風景画を見ているような美しいアニメ作品を見たのは初めてのような気がします。



しかし、とても胸が痛むのですが、このアニメの美術監督を務めていた渡邊さんは、あの京都アニメーション放火事件で亡くなられてしまったそうです。


ただただ悲しいです。


もっと彼らの作る優しく美しい世界を観てみたかったと思わずにはいられません。


心からお祈り申し上げます。




このヴァイオレットエヴァーガーデン、という作品に出会うことができて、本当に良かったと思います。人が人を想う優しい気持ち、素晴らしいあの風景は、ずっと色褪せずに、自分の中に残り続けると思います。


物語を見て、心が温かくなったり、切なく感じた思いをいつまでも大事にしていきたいです。


人の想いを乗せる手紙っていいなあ。



久々に書いてみようかな、とも思ったり。




https://www.sankei.com/west/news/190917/wst1909170034-n1.html