自分を憐れむことをやめた | 凛々かる生活 in パリ

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原始反射統合+クラシックバレエによる【4Bムーブメント】や、強みと資質を読み解く【クリフトンストレングスセッション】等をパリから提供しているSurrusca 亜伊子のリリカルな、そしてちょっとマニアックなパリ統合生活をお伝えするブログです

久しぶりに鑑賞~

 

映画「潜水服は蝶の夢を見る」

 

脳梗塞に襲われロックドインシンドロームとなったELLEの編集長、ジャン=ドミニク・ボービーが、唯一動かすことのできた左目のまばたきだけで書き上げた自伝を映画化したものです。

 

初見時、今より更にフランス語が分からなかったのに夢中になって観た作品。

その後も何回観たか覚えていないぐらい。

 

(フランス語読めないのに原作買いましたw)

 

観ていただけば分かるのですが、いわゆるお涙頂戴闘病モノではありません。

全米が泣くような感動大作でもありません。

 

秀逸なカメラワーク

合間に挟まれる独創的なイメージ映像

 

そして、主演のマチュー・アマルリックの素晴らしい演技(もはや演技であることを忘れるほど)

 

とても、不思議な余韻を残す映画です。

 

初見時から、とても印象的だったセリフ。

 

J'ai décidé de ne plus jamais me plaindre

(私は、もう二度と自分を憐れまないと決めた)

 

 

どうせ・・・

だって・・・

でも・・・

 

自分で自分を否定していても何も変わらない

嘆いて、自分を憐れんでいても仕方ない。

 

そこで彼は、自分にできることを選んだんですね。

 

それは、記憶と想像力

 

重苦しい潜水服にその肉体を閉じ込められ、海深くに沈められ、自分の意志で身動きが取れなくなったとしても、これまでの美しい思い出や想像力は誰にも奪われない。

 

魂は、美しい蝶となって好きなところへ飛ぶことが出来る。

 

彼はそうして、生きる力を取り戻しました。

 

(ちょっと似たとこだと、ハンニバル・レクター博士。こちらは架空の人物ですが、幼少期に「記憶の宮殿」のテクニックを身につけたお陰で、投獄中も自身の宮殿内を自由に行き来することで快適な投獄生活を送っていたとか…)

 

 

原作には、彼は健康でいた時よりもこのような状態になってからの方が「自分の存在」を強く感じるようになった、という一文がありました。

 

外からの刺激を受けるのが当たり前で、その刺激に反応して身体や感情を動かすことが当たり前だった時に比べて、何もできなくなって感じる「自分の存在」。

 

これは本当に深いな・・と、毎回鑑賞のたびに考えます。

 

私達はついつい外に向かって、誰かに向かって「何かをして」自分の存在を確かめようとするのだけど・・・

 

だけど本当は、全ては自分の内側で起きることなのではないのかと。

全ては自分の内側から作られているのではないのかと。

 

テーマは深いのですが、作品はとても軽いというか、ユーモアもたっぷりに描かれています。

 

話すことの出来ない主人公の心の声とか。

なかなか良いツッコミを入れていて、クスっと笑っちゃったり。

 

ちなみに。

この映画は実話ベースで、自伝を元に作られてはいますが、史実とは異なる部分もあります。

 

ジャン=ドミニク・ボービー氏は、一度も

 

Je veux mourir(死にたい)

 

とは言わなかった。そうです。

 

 

3年ほど前。

映画内で、主人公の記憶と想像力が炸裂する場面に出て来る、

パリに実在するレストランに行った時の一枚(ミーハーなんです)