ぼくは、アーティストとは麻薬を人々に与える仕事ゆえ、自身が麻薬におぼれるべきではないと考えています。
この場合の麻薬とは、いろんな快楽のことを指します。酒、煙草、本物の麻薬、セックス、色々な快楽のことです。
そしてアーティストという肩書も広義であり、芸術家、音楽家、役者、作家、映画監督、アスリート、これも様々な意味において、です。
宇多田ヒカルさんが、まだ20代になったくらいの頃、確か雑誌のインタビューで
「アーティストは普通の人が感じる痛みの何倍かを感じてものをつくる宿命」
みたいなことをおっしゃっていました。
ぼくはその発言をぼくなりに消化し、発展させていきました。
それが「快楽をつくる側の人間が快楽に溺れてどないすんねん論」です。
アーティストは、絵画等の美術品、音楽、映画、書物、パフォーマンス、それぞれの作品で鑑賞者に快感を味わわせることを本懐とした職業。
いわば脳内に麻薬をつくる商売です。
だから「快楽の味」「よろこび」は知っておいたほうがいいに決まっています。
つまり消費者の立場を理解はしておく必要があります。
けれど、自身がそれにおぼれるべきでない。
なぜなら、我々アーティストの脳みそはそれ自体が麻薬を生み出すものだからです。
よく、昔の画家が、酒やドラッグにまみれて良い調子になって作品をつくった、みたいな話を耳にします。ほんとかウソか知らないですが。
実際にはどうだったか別にして、もしそれで歴史に名を残す作品をつくっているのだとしたなら、こう言いたい。
何もない状態、つまり麻薬状態にない、シラフの健全なコンディションで臨んでいたら、もっと良い作品になっていたのではないのか?と。
テレビも携帯も、ネットも、集中力を妨げる媒体の何もない時代。
逆に言うと、現代人の我々の何倍も有利な時代において、その程度の作品にしかなりえなかったのは、酒やドラッグのせいだ、と言えなくもない。
けれど実際には、現在きちんと名を残している名作と呼ばれるものの数々は、恐らく健全な精神の状態、つまり何の麻薬(快楽)の力も借りずにつくられていると、ぼくはそう思っています。
芸術作品のまとう一種の狂気性は、ナチュラルな人体から生み出してきたものだと信じています。
我々アーティストは、辛いときも、寂寥感で身がよじれるほど苦痛な時も、悲しい時も、爆発しそうな時も、麻薬におぼれることなく、作品をつくるということで昇華すべきなのです。
というよりそれがアーティストという仕事、存在の持つ力。麻薬によって、本来自ら反応している生(き)のままの感情を半減させたり、あるいは無駄に増幅させたり、または解消すべきではない。
その感情をそっくりそのまま自分のすべきこと、残すべき作品に変えるために、本来選んだ仕事なのです。
快楽におぼれるアーティストは、まるで風俗店経営者が、店を閉めたまま従業員に朝から晩までセクシーな行為を自分にだけさせているようなものです。それは、とても愚かな行為です。
他者に与えるべき快楽というものに、自分がおぼれてはいけないのです。
何度も言いいますが、人の脳内に快楽をつくる側の人間なのです。これは誤るとただのアホであり、笑うところのないコントになってしまう。そういった、薬物などの注入によって自らの誤った状態そのものを芸術作品として売り物にするのには、もう平成も終わったこの時代には遅すぎる。ただの愚かしいさま以外なにものでもない。
また、ぼくの知人のコンサルの方も、「仕事のストレスから酒で逃げない。仕事のストレスは仕事で解消する」と決めておられる。
ちなみにこのブログを書きながらぼくは泥酔し、ベロンベロンである、ということを付け加えておきます。
【2月の作品展示情報】
【終了しました】●「笑うアートマンションと10人の住人展」
「小峠英二のなんて美だ!」番組内で公開した作品がこの展覧会にて展示されます!
2024年1月19日(金)〜2月18日(日)
デザインフェスタギャラリー原宿 EAST館
チケット
https://eplus.jp/waraten_art/
●「猫を愛する芸術家の仲間達2024」
2/22~3/3
https://www.bricolage.space/exhibition/3892/
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【パフォーマンス情報】
2/24sat
木馬館(浅草)でのライブ切り絵パフォーマンス
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【切り絵アーティストHachiのwebサイト】
【YouTubeチャンネル】
アーティスTV Hachi
http://www.youtube.com/@tvhachi9707
【INSTAGRAM】
https://www.instagram.com/kazunari_hatta/
【X/旧ツィッター】