最近デッカのSTEREO盤の国内初期盤をまとめて入手する機会があり、ある仮説を検証してみようと。その仮説とは「キングのフラット盤は音が良い」。キング・レコードは当時世界で唯一、デッカのアルバムを自社プレスすることを許可されていました。なので60年代を通じてイギリスから輸入したスタンパーでプレスしていましたが、なぜか62年頃までプレスされていた盤の端にグルーヴ・ガードのないいわゆる「フラット盤」の時期のプレスが音が良いような気が。いろいろなプレスが5枚あるので検証してみました。

まずUKオリジナル盤。昔海外から買いましたが、けっこう盤がズタボロなのに18000くらいしました。ピカピカなら現在でも3万くらいはするハズ。マトリックスは5Eと4E。音質は明るく華やかでおお!となりますが、オーケストラの細部まで見通せるようなクリアさはやや希薄で散漫な印象も。

キング国内初期フラット盤。おそらくこの時期に他のアルバムとセット販売されていたものの1枚。1000円で購入。まずマトリックスですが5Eと2E!つまり上記UKオリジナル盤よりB面が若い!音質はUKオリジナル盤のような華やかさが少ないですが、そのかわり音がとても濃くて重厚。いぶし銀な響きでイギリスのオケを聴いている感じが。(オケはロンドン交響楽団)


USロンドン盤。以前田中さんの連載「音の見える部屋」にて愛聴盤にあげていた方がいました。岡山のセールにて3800円でゲット。アメリカはデッカから当地プレスを許可されていなかったので本国UKプレスです。マトリックスは5Eと4E。音質は国内フラット盤とUKオリジナル盤をミックスしたような印象。クリアかつ華やかで重厚さもあります。


イギリス・プレスですが、これは通販で頒布されたいわゆるワールド・レコード・イシュー。プレスは当然デッカですがおそらく70年代のものでマトリックスは9Gと10G。昔の一時期取引していたオーストラリアのディーラー氏からまとめて買ったうちの1枚で、記憶はありませんがたぶん1000円ちょっとくらい。ジャケットがよくわからないデザインですが、両手にカスタネットを持って踊る女性のようです。音質は目が覚めるような音で、圧倒的に音圧があり細部もよく聴こえます。音像もクリア。

最後にUKスピーカーズ・コーナー盤。このアルバムは高音質なレコードの推奨として有名なTASリストに入っていますが、TASで推薦されているのは実はこのプレス。よく覚えてませんがたぶん3000円くらいのはず。音質は抜けがとても良く最近の録音のよう。弦の倍音もキレイに出ていてさすがTASリスト盤と思える音。ただ初期盤にある音の濃さは希薄かも。 
以上が結果ですが、ちなみに試聴は一曲目のリムスキー=コルサコフ作曲「スペイン奇想曲」にて。金管が咆哮する派手な曲で、かつヴァイオリン・ソロもあり高音質録音が数多ある曲です。
聴いてみた印象はUKプレスの中ではワールド・レコード・クラブ盤が良く、スピーカーズ・コーナー盤もさすがTAS盤という音。ですがUK初期盤の音の濃さも捨てがたい魅力があります。驚いたのは国内フラット盤のマトリックスが最も若かったこと。オネダンを考えるとUKオリジナル盤よりオススメかも。