さてアトランティックのイギリス盤といえばやはりZEP。2枚目を検証。UKオリジナル初版は両面マト2のいわゆる「WRECK」盤。これはB面の「living lovin maid」が「living lovin wreck」と記載されているため。これも昔はあまり知られていなかったので気づいていない海外セラーから安く買えたりしてましたが、今ではそんな僥倖はないかも。ジャケットの色はやや薄めのが初期で、後期になるとこげ茶に。国内盤でいうとワーナーの時のが初版に近く、グラモフォンの国内初版はUK後期に近いです。
これをAESで再生してみると、低音が大変エラいことに。ときかくボンゾのバスドラが目の前でガンガンに踏みならされてスゲ〜みたいな。「モビー・ディック」のドラム・ソロのバスドラは「キミのオーディオはこれに耐えられるかい?」みたいな出音。
対して再生したのはご存知USオリジナルRLプレス。これは後にマスターディスクなどに在籍するエンジニア、ボブ・ラディックがカッティングしたプレスで、すっかり有名になってしまい、今や某レコード店のセールに美品がでると6桁超えという一品。両面マト「A」が「シンRL盤」とされており、マトがCのワタシのは威張るほどのものでもありませんが、音は良いので比較対象に。世にはラウド盤と言われたりしますが、むしろ空間描出に優れたオーディオファイルな音。「モビー・ディック」のソロは巨大なバスドラは出てきませんが手で叩いているタムの音が空間にぽっかりとうかんで、太鼓の皮の倍音もきれいに出ています。
なのでこのアルバムに関してはUKオリジナルAES再生はロック浴びる用、USオリジナルRL盤は作品を堪能する用としてそれぞれに良い点があるかと。現在のRL盤の高騰を考慮すると、相対的に安くなっているUK初版をAESで聴いて愉しむというのはオススメかも。