映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるめっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍からようやくかつての日常を取り戻しつつある現代社会いおいて、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。






▼『映画を語れてと言われても』



 TODAY'S
 
第二二〇回『二人はニコラス! 強制主従関係は辛いよ!“レンフィールド”』




『レンフィールド』
2023年公開
監督:クリス・マッケイ
原作:ブラム・ストーカー著『吸血鬼ドラキュラ』
出演:ニコラス・ホルト ニコラス・ケイジ オークワフィナ ベン・シュワルツ ショーレ・アグダシュルー

 あらすじ

 約1世紀ほど昔、不動産会社のセールスマンだったロバート・レンフィールド(演:ニコラス・ホルト)は、仕事でトランシルヴァニアのドラキュラ伯爵(演:ニコラス・ケイジ)を尋ねたところ、実は吸血鬼だった彼に強制的に下僕にされてしまう。
 以来、罪悪感にさいなまれながら、ドラキュラに授けられた虫を食べると発揮できる超筋力を駆使し、彼の食料たる人間を捕まえては献上し、諸々の後始末を行う日々を送っていた。

 しかしある時、ヴァンパイアハンターの襲撃を受け、レンフィールドは逡巡の末ギリギリのところでドラキュラの窮地を救った結果、バンパイアハンターを殲滅すると同時にドラキュラは太陽光を浴び、炭化寸前の大火傷を負うこととなる‥‥‥。

 それから年月が経ち‥‥‥現代。
 アメリカ、犯罪都市ニューオーリンズ。

 未だに火傷の癒えないドラキュラの為に、獲物(人間)の確保に勤しんでいたレンフィールドは、偶然にも地元警察さえも牛耳る地元マフィアの人間を練ってしまい、それが切っ掛けでマフィアの襲撃を受けていたところを、偶々その場にいた地元で唯一マフィアの買収を受けていない勇敢な女性警官レベッカ(演:オークワフィナ)と共闘し、これを撃退する。

 マフィアの脅迫に屈しないレベッカの姿を見て、これに大いに感化されたレンフィールドは、まだドラキュラの火傷が癒えていない今がチャンスと、早速地元の人間関係に悩む人々の集団カウンセリングに通い、ドラキュラの元からの離脱を試みる。

 だが、そのレンフィールドの動きはドラキュラの魔力によって筒抜けであり、またそのドラキュラの隠れ家には、彼の火傷を癒すのに打ってつけの餌たる、レンフィールドを狙うマフィアが向かっていた‥‥‥。


 はたして、レンフィールドのドラキュラからの離脱計画と、レベッカとマフィアとの戦いの行方やいかに!!





 さて今回は、血も凍る恐怖のバンパイア映画にして、世界のニコラァ~ス(ファッ〇ン)・ケイジ! フォゥ!! 映画の隠れた良作について語りたいと思います。

 思えば、人はバンパイア=吸血鬼なる存才が大好きです。
 人の生き血を啜り、血を吸われた獲物もまたバンパイアとなり、陽の光や十字架が苦手で、招かれないと入室できない厄介な怪人、ブラム・ストーカー著『吸血鬼ドラキュラ』を元に、これまでそのバンパイアを題材にした映画だけでも、トム・クルーズ&ブラッド・ピット主演『インタビュー・ウィズ・バンパイア』やリドリー・スコット監督の『ドラキュラ』に、『フライトナイト』『罪人たち』『ババンババンバンバンパイア』などなど、2025年に至る現在まで、数々のバンパイア映画が撮られ公開され、人気を博し続けております。


 そのバンパイア映画群の中で、本作はよりによって怪優ニコラス・ケイジが演じるドラキュラをご主人様にもってしまった召使いというか下僕というか便利な小間使いのレンフィールドを主役にした、世にも珍しい映画なのです!
 ほぼほぼコメディとしてグロ映像多めに!!





 監督したのは少し前に本コーナーで紹介した『トゥモロー・ウォー』の他、同じく本コーナー紹介した『レゴバットマン ザ・ムービー』も撮ったクリス・マッケイ。
 それだけで面白い‥‥‥というか一筋縄では行かないことが予想できます‥‥‥。


 そんな彼が、現代を舞台にニコラス・ケイジ演じるドラキュラの元から逃げ出したいレンフィールドを描くために集めた出演者たちは!?


 ドラキュラを演じるニコラス・ケイジについては、ニコラス・ケイジなので、気になる方は‥‥‥。

第一七六回『キャメロン・ポーか!? キャスター・トロイか!? はたまたスタン・グッドスピードか!?いやさ彼こそ……“マッシブ・タレント”』

 ‥‥を呼んで頂くとして。
 肝心のレンフィールドを演じるのはニコラス・ホルト。

 子役出身の好青年俳優でして、本コーナーで言えば『マッド・マックス:怒りのデスロード』『X‐MEN ファーストジェネレーション』の他、近年ではクリント・イーストウッド監督『陪審員2番』で主演、ジェームズ・ガン監督『スーパーマン』でスーパーマンの宿敵レックス・ルーサーを好演しております
 良心はあるけど今一つ度胸はない気弱なボンクラ好青年を演じさせておけば、だいたい間違いはないそのタイプの役のエキスパートみたいな俳優です(レックス・ルーサーを除く)。





 そしてそんなケイジでない方のニコラス演じる主人公レンフィールドが出会う、街で唯一の汚職してない警察官レベッカを演じるのはオークワフィナ。
 女性スタンダップコメディアン出身の今売れっ子の女優さんです。
 『ジュマンジ』あたりからよく見るようになり、MCU映画『シャンチー』やアマプラ配信映画『ジャックポット』等に主演・出演している剽軽な女優さんです。
 本作では大真面目な警察官を演じているのですが、彼女が演じることでシリアスになりすぎず、本作を楽しめる一要因になっていると思います。
 個人的に例えるならハリウッドの伊藤沙莉みたいな印象のお方。




 その他、舞台となるニューオーリンズを牛耳るマフィアの女ボスにショーレ・アグダシュルー。
 筆者の好きな宇宙SFドラマ『エクスパンス』や、本コーナーでも紹介した『スタートレック:BEYOND』などに出演したオーラの凄まじいおばちゃん俳優です。




 なかなか通好みかつ実力充分なキャスティングです。
 ‥‥‥でもニコラス・ケイジ出ちゃったら全部ニコラス・ケイジが持ってちゃうんですけどね!



 そんな本作、ニコラス・ケイジというハリウッドのスター俳優と、売れっ子のニコラス・ホルトのWニコラス態勢で、そこそこの予算を投じて作られた大作一歩手前の力作だったのです‥‥‥が、本作を筆者は劇場で見る事はできませんでした。
 だって‥‥‥日本では劇場公開されなかったのですから!!

 本作ではどうもアメリカでは大コケしたようで、その結果日本での公開はキャンセルされてしまったようなのです。
 ゆえに、筆者が本作を見たのも公開後だいぶ後になってソフト化されてからでした。

 予告編で本作の存在を知った時は、面白そう! と思ったものですが、日本では公開されないということは見るの後回しにしても良いかな‥‥‥と思ってしまったのです。



 そうして気まぐれに本作を見た結果「なんや! 面白いやんけ~!」となったわけですが‥‥‥。
 同時に、これが日本で公開されなかったのも理解してしまったのです‥‥‥。



 今回はまず、何ゆえに本作が日本未公開となったのか? についての筆者の見解から述べましょう。

 それは、ズバリ、超~と~ってもグロいからです!
 本作、ドラキュラおよび、彼によって超パワーを授けられた下僕のレンフィールドは、人間の何倍ものフィジカルがあり、それを活かした対人アクションが本作のそこかしこで行われるわけですが‥‥‥超フィジカルでただの人と戦ったらどうなるか? ‥‥‥を真正面からバカ正直に描いた結果! それはもう景気よく手足が千切れ飛び、内蔵飛び散り、顔面の皮は剥がれ、全て溶かし無残に飛び散る始末なのであります!
 当然ながら飛び散る血のりの量もパないのであります。
 ドバッ‥‥‥ドバッと出ます!
 血の海です!
 
 本作のそういった描写について知らずに見てしまった場合、苦手な人は気分が悪くなるかもしれません。
 本作のその部分が本国での大コケと、日本未公開の原因だったんでは? と筆者は考える次第ですが、あくまで筆者の推測に過ぎません。



 ‥‥‥などなどと先にネガティブなことを書いてしまいましたが、本作は確かにグロいのですが、それでもここで語りたくなるくらいには面白いのです!



 まずアイディアが良いのです!
 ドラキュラ伯爵の下僕のレンフィールドなんてキャラ、言われてもピンと来ませんが、言われて見れば、ドラキュラ関連作品にいたようないなかったような気がします。
 『バットマン』で言えば執事のアルフレッドのようなポジションと思っておけば良いのでしょうか‥‥‥、ドラキュラの為に日々獲物を捕まえて献上する為に東奔西走するレンフィールドは、当然アルフレッドとは大違いの存在ですが、そんなレンフィールドが、実はドラキュラの下僕として生きるのが嫌で嫌で、その主従関係の脱出を狙っていた! という物語をレンフィールド自身を主役にした時点で秀逸なアイディアです。

 そして物語の舞台を現代にすることで、レンフィールドが人間関係に悩む人の集団カウンセリングに通ったり、街を荒すマフィアとの抗争に、それに立ち向かう女性警官レベッカと共に巻き込まれるところが良いのです。
 そして現代ならではの様々な要素が、レンフィールドとレベッカのドラキュラ攻略に繋がるシナリオが素晴らしいのです。



 もう一つは主演のニコラス・ホルトの熱演です!
 この良心はあるけど状況に流される青年を演じさせたら、今もっとも輝きだす俳優の芝居が良いのです。
 そんな彼がドラキュラのパワハラ、モラハラの限りについに立ち上がり、反旗を翻すところが熱いのです。
 見てるこっちもガンバレー!と思ってしまうのです。
 そして今回は、なんやかんやあって、マフィア軍団とのワイヤーアクションなどをふくむ肉弾戦アクションにも挑戦しており、本作の見どころともなっているのです!
 血みどろですけどね!


 そして最後の一つは、やはり何と言ってもニコラス(ファッキ〇)・ケイジの強烈なドラキュラです。
 何がどう凄いかは、今回貼った画像で言わずとも通じてそうですが、本作を見終わった後は、なんとなく表情が本作のニコラス・ケイジになってしまいそうな、リアリティとか演技とかの域を超えたTHE・ニコラス・ケイジングなドラキュラが見れるのです。
 ニコラス・ケイジ楽しそうだなぁ!!!






 さてここでいつものトリビア。

 本作の削除されたシーンでは、初めて善い行いをしてレベッカに褒められたレンフィールドが、思わずニューオーリンズの街の中をノリノリでダンスしながら駆け巡るシーンが、ニコラス・ホルトのみならず大勢のダンサーと共に稽時間含むけっこうな手間暇かけて撮影され、そのニコラス・ホルトの自分に寄ったダンスが実に素晴らしかったのですが、本編ではあえなくカットされちゃいました。
 映画作りって‥‥‥こういうことあるよね~~。





 ‥‥‥ってなわけで『レンフィールド』もし未見でしたらオススメですぜ!