映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるめっちゃコスパの良いエンタメ……。

 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍からようやくかつての日常を取り戻しつつある現代社会いおいて、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。

 

 

 

 

 

 

 

▼『映画を語れてと言われても』

 

 

 

 

 TODAY'S
 
第一四九回『合言葉は? ア〇〇ンマンのバ~カ!!“レゴバットマン ザ・ムービー”』




 タグ:バットマン レゴ アクション コメディ ヒーロー ヴィラン ヴィジランテ ジョーカー DC クロスオーバー スーパーマン ジャスティスリーグ 刑務所 警察 CGアニメ

 

『レゴバットマン ザ・ムービー』

2017年公開

監督:クリス・マッケイ

脚本:セス・グレアム=スミス クリス・マッケナ他

音楽:ローン・バルフ

声の出演:ウィル・アーネット ザック・ガリフィアナキス マイケル・セラ ロザリオ・ドーソン マライア・キャリー ビリー・ディー・ウィリアムズ レイフ・ファインズ

 

 

 

あらすじ

 数々の凶悪犯罪者達によって、日夜人々の生活が脅かされる巨大犯罪都市ゴッサム‥‥‥。

 だがその凶悪犯罪に敢然と立ち向かうヴィジランテ(自警人)がいた。

 昼間はゴッサムシティ屈指の大富豪ブルース・ウェイン。

 だがそれは世を偲ぶ仮の姿。

 夜になれば数々の特殊ガジェットとビークルを駆使し、次々と凶悪犯罪者達の恐るべき企みを阻止し続けるコウモリコスプレの謎の男〈バットマン〉だ。

 

 今宵もまた、凶悪犯罪者ジョーカー一味による、ゴッサムシティ水没計画を阻止したバットマンは、宿敵を自称するジョーカーに心無い言葉を浴びせた自覚も無く、一人秘密基地バットケイブ兼自宅である豪邸へと帰宅し、一人寂しく夕食を摂るのであった。

 

 しかしそんな暮らしにも変化の時が訪れようとしていた。

 

 長年警察側の協力者として頼っていたゴードン本部長が引退し、新たにゴッサム警察に着任した彼の娘バーバラ・ゴードンが、バットマン無しでゴッサムを平和にすると宣言したのだ。

 さらにそこへジョーカー一味が襲撃してきたかと思うと、なぜか突然警察への自首を宣言する。

 さらに困惑するバットマンの元に、このままでは彼はいけないと思ったウェイン家執事のアルフレッドの無断の手配によって、孤児院からウェイン家に勝手に養子の少年ディックが迎えられていたのだ。

 

 

 混乱の中、ジョーカーの自首が何かの企みに違いないと考えたバットマンは、ヒーロー仲間のスーパーマンが、捕らえた悪党を収監している絶対脱走不可の異次元空間〈極悪ゾーン〉にジョーカーを放りこむことで、ジョーカーの企みを完全に阻止しようと考える。

 しかし、養子となった少年ディックにバットケイブにいる自分を発見されてしまったため、やむを得ず口止めを兼ねてディックを連れてスーパーマンがいる拠点、北極の〈孤独の要塞〉へと向かうバットマン。

 彼はそこで〈極悪ゾーン〉を開くためのリモコンを、スーパーマンに(無断で)拝借しようと試みるのであった。

 

 



 

 はたしてバットマンの目論見の行方やいかに!?

 ジョーカーの企みとは? ゴッサムシティの運命は!!?

 

 

 

 

 

 

 

 さて今回は、名作ヒーロー映画回!

 ただしレゴブロックでできたキャラ達がレゴでできた世界でレゴでできた乗り物に乗って大暴れする姿をフルCGで描いた『レゴムービー』に続く『レゴ』映画の『バットマン』映画回なのです!

 

 

 

 監督はクリス・マッケイ。

 本コーナーでも紹介したあの名作『LEGO ムービー』の三人目の監督をしてたお方。

 もともとアニメーターとして業界に入ったお方で、数々のアニメ作でアニメーターや監督として関わっているそうです。

 本作後はクリス・プラット主演のアマゾンプライム・オリジナルSFアクション映画『トゥモロー・ウォー』を撮ります。

 そして本コーナーでも紹介した『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』では原案も担当したお方。

 ともかく凄く派手で、エンタメな作品を撮ってくれる監督という印象です。

 

 

 音楽はローン・バルフ。

 近年猛烈な勢いで映画音楽を手がけまくってるお方の一人。

 前述した『トゥモロー・ウォー』『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』の他、ハンス・ジマー他と共に『トップガン マーヴェリック』にも携わり、2024年公開のマシュー・ボーン監督作『ARGYLLE/アーガイル』も担当しています。

 本作でもノーテンキでノリノリな音楽で作品の雰囲気づくりに貢献しております。

 

 

 

 

 そんなスタッフ陣でお送りする本作は、前述したように、ブロックオモチャであるレゴを題材にしたフルCG映画作品の中の一本です。

 現代に生きる大人も子供も、その多くが手に触れたことがあるであろう名ブロックオモチャ〈レゴ・ブロック〉が大好き(裸足で踏んづけたら痛いけど!)。

 そのレゴを2010年代になり成熟してきたCG映像技術によって、映画化に挑戦し公開した『LEGO ムービー』は、まるで実際にレゴブロックでコマ撮り撮影したかのような映像美と、まさしくレゴを題材にしつつも予想の付かない見事な脚本で大ヒットし、続編やスピオフ作品を数多く作ることとなります。

 

 本作の映像もまた、何もかもレゴブロックでできているかのような映像を、CG技術で見事に映像化しております。

 

 ‥‥‥であると同時に本作は、『LEGO ムービー』でゲスト出演したバットマンを主役にした、ご存知バットマンの数ある映画の中の一作でもあり、屈指の完成度を誇るところが本作の稀有なところなのです。

 

 




 

 ここで今一度“バットマン”とは何ぞや? を筆者の知識からザックリと語るならば‥‥‥。

 アメリカに存在する〈マーベル〉と〈DC〉の二大アメコミレーベルの内、『スーパーマン』や『ワンダーウーマン』が属する〈DC〉から刊行されているアメコミヒーローでして、あらすじでも書いた通り、大富豪ブルース・ウェインがその財力を駆使して得たガジェットやビークルを用いて、コウモリを模した黒衣のヴィジランテ・バットマンとして、犯罪都市ゴッサムシティで活躍する物語です。

 ちなみにヴィジランテとは、警察等の公権力に属さずに、自警活動を勝手に行う人のこと。

 つまりバットマンは、他の多くのアメコミヒーローのように、宇宙人だったり、神の子だったりサイボーグだったり、突然変異だったり海底人などであるわけではなく、金持ちのただの人間が、その財力と鍛えぬいた身体と知力だけで、自主的にヒーロー活動しているだけのキャラなのです。

 そしてそのただの人間なところが魅力なのです。

 

 ただの人間ゆえに、フィジカル面では他のヒーローにはまったく敵わないのですが、そこを財力と知恵とガッツでカバーし、数々の巨悪と戦うのが良いのです。

 

 

 そしてそのバットマンと戦うことになる数々のヴィラン(悪役)達も魅力的。

 バットマン大好き愉快犯ジョーカーに、マフィアのペンギンに、なぞなぞ大好きリドラーなどなど。

 

 この『バットマン』は、そのコミックの人気からアニメ化され、実写映像化され、ティム・バートン監督マイケル・キートン主演の実写映画版『バットマン』の大ヒット以降、クリストファー・ノーラン監督やザック・スナイダー監督・マット・リーブス監督等により次々と映画化され、多くの観客の支持を得てきました。

 

 

 

 本作はそんな『バットマン』を、なんと可愛らしいレゴの世界で描き映画化した作品なのです。

 よってクリスチャン・ベールやベン・アフレックやロバート・パティンソンが演じたバットマンも、その他のジョーカー他のキャラも皆、二頭身半のちょっと小さくて可愛らしいビジュアルに!

 当然作品のテイストも『両親を犯罪者に殺された大富豪が私財を投じてヴィジランテとなる話』から『金持ちのボンボンが散財しながらヒーローごっこ』してるかのようなテイストに変っております

 ようするにめちゃめちゃコメディな『バットマン』になっているのです。

 そのコメディテイストの面白さを文章で伝えるのは困難なのですが‥‥‥本作は実にリミッターを解除した無茶苦茶さで駆け抜けるトンデモ映画なのです。

 

 なにがトンデモかと言えば、それはクロスオーバーです!

 クロスオーバーとは、他の作品と交差することですが、本作ではDC作品であることを良い事に、スーパーマンやワンダーウーマン等の他のDC出身のアメコミヒーローがゲストとして登場するだけでなく、なんとさる事情によりワーナーブラザーズ制作であることを良い事に、数々のワーナー作品からのゲスト出演があるのです。

 ただし、それはヴィラン(悪役)達ですけどね!

 その作品とは『ロード・オブ・ザ・リング』『ジュラシックパーク』『マトリックス』『オズの魔法使い』『グレムリン』そして『ハリーポッター』などなど!(キングコングは悪役ちゃうやろ!と思わなくも無い)

 それらの作品からゲスト登場するヴィラン達と、本作でバットマン達は戦うはめになるのです。

 はたしていったいヴィランの誰が登場し、いかにして金持ちでしかないただの人間のバットマンがそれらに立ち向かうのか?

 それは本作未見の方はどうかその目でご確認下さい!

 




 

 本作が『バットマン』映画として評価されているのは、そこだけではありません。

 本作は“バットマン”という作品に共通するあるテーマを、見事に描くことで、同時に他作品世界から訪れたヴィラン達に立ち向かうところが熱いのですが‥‥‥それもまたここで語るのは野暮というものでしょう。

 どうか本作を見ることでご確認下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 さてここでいつものトリビア。

 

 本作の吹き替え版は、山寺宏一、沢城みゆき、子安武人、菅生隆之などなどと、知ってる人には分かる早々たるメンバーですが、原音版の声優も知る人は知るウィル・アーネット ザック・ガリフィアナキス マイケル・セラ ゾーイ・クラヴィッツ レイフ・ファインズとなかなかに豪華です。

 特にキャットウーマンの声を当てているゾーイ・クラヴィッツ(レニー・クラヴィッツの娘)は、後に公開されるロバート・パティンソン主演『ザ・バットマン』で実写キャットウーマンを演じることになります。

 

 さらに名優レイフ・ファインズは、バットマンことブルース・ウェインの執事のアルフレッドの声を演じているのです‥‥が!

 『ハリー・ポッター』からゲスト参戦するヴィランの〈例のあの人〉の声は何故か演じていません。

 も~なぜ!! もったいない!!

 

 

 

 

 ってなわけで『レゴバットマン ザ・ムービー』もし未見でしたらオススメですぜ!!