映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるめっちゃコスパの良いエンタメ……。

 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍からようやくかつての日常を取り戻しつつある現代社会いおいて、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。

 

 

 

 

 

 

 

▼『映画を語れてと言われても』

 

 

 

 TODAY'S
 
第一四二回『プレデターさん大都会へゆく!“プレデター2”』




 タグ:プレデター エイリアン ロサンゼルス 狩猟 ギャング 警察 刑事 銃撃戦 近未来 赤外線 大都会 ジャングル 猛暑

 

『プレデター2』

1990年公開

監督:スティーヴン・ホプキンス

脚本:ジム・トーマス ジョン・C・トーマス

音楽:アラン・シルヴェストリ

出演:ダニー・グローヴァー ゲイリー・ビジー ビル・パクストン ロバート・ダヴィ他

 

 

 

あらすじ

 1997年の近未来……。

 猛暑が襲うロサンゼルス……その一画にて……ロスを牛耳るコロンビアギャングの隠しアジトの前で、偶然白バイ警官が職質を行ったことから、同ギャング団と警察との大銃撃戦が発生していた。

 その現場に駆け付けたベテラン刑事のハリガン警部補(演:ダニー・グローヴァー)は、機転と勇猛さで負傷していた白バイ警官を救出すると、上層部からの命令を無視して敵アジトに突入する。

 しかし、籠城していたはずの大量のギャング達は、すでに何者かによって惨殺されていた。

 唯一生き残ったギャングを屋上まで追いかけたハリガンは、彼が何かに怯えるようにして自分に銃を向けたところを、情け容赦無く射殺するが、彼が自分以外の何かを狙っていたような気がしてならなかった。

 そしてその何かが、アジト内のギャングを皆殺しにしたのだと直感する。

 

 その後、命令無視を上司に咎められたハリガンは、さらに外部から来た特別捜査官キース(演:ゲイリー・ビジー)と彼のチームに、この事件の捜査を横取りされてしまう。

 だがそれを無視し、新入りの刑事ランバート(演:ビル・パクストン)を迎えた部下らと共に、新たに発生したコロンビアギャングと敵対するブードゥーギャングの惨殺事件の捜査に乗り込むハリガン達。

 ハリガンはそこでキースのチームに現場から追い出されるが、深夜にこっそりと惨殺の現場に忍び込み、調査を試みようとする。

 しかし、ハリガンより先に現場に来ていた部下のダニーが、件のギャング惨殺犯によって殺されてしまう。

 

 その死にさらに上司とキースに責任を問われるハリガン。

 だがハリガンは部下ダニーの仇を獲るべくさらに行動を開始し、ダニーの遺体が握りしめていた凶器らしき物が、未知の金属で構成されていることを突き止める一方、その犯人を追うキースが、ただの犯罪捜査官などでなく、所属不明の人物であることを調べ上げる。

 そんな中、ブードゥーギャングのボスまでもが謎の惨殺犯によって殺害され、さらにその犯人の魔の手は、ハリガンの残る部下ランバート達にまで迫っていた。

 

 

 はたしてハリガンは謎の惨殺犯を突き止め、部下の仇を打つことができるのであろうか!?

 

 

 




 

 

 さて今回は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の大ヒット作『プレデター』の続編回です!

 世に大きく分けて二つの続編映画があります。

 一つは、最初から作ることを視野に入れて作られた続編。

 もう一つは、一作目の段階では作るつもりの無かった続編です。

 恐らく本作は後者に該当する作品と思われます。

 本作はそんな一作目好評を受け作られた続編にして、数ある『プレデター』シリーズ作品の中でも四指に入るお気に入りの作品なのです。

 

 

 

 前作を監督したジョン・マクティアナンから続編の監督のバトンを渡されたのはスティーヴン・ホプキンスというお方。

 本作以外ではホラー映画『エルム街の悪夢5』や、『宇宙家族ロビンソン』のリメイク映画『ロスト・イン・スペース』や、TVドラマ『24』の監督をしたお方。

 『ダイ・ハード』や『レッドオクトーバーを追え!』等を撮った前作のジョン・マクティアナン監督に比して、ややネームバリューに欠けるような気がしないでもありませんが、割と安定したクオリティの映画を撮ってきた監督のようです。

 

 

 ……でも、脚本を書いたのは前作と同じジム・トーマス ジョン・C・トーマスのお二方。

 監督は代わりましたが、続編において根幹スタッフが変わらないのは安心材料です。

 

 音楽も前作に引き続きアラン・シルヴェストリ。

 前回の『レディ・プレイヤー1』でも名前が出ましたが『バックトゥザフューチャー』他数々の名作映画で名劇伴を奏でたお方です。

 本作でも映画が始まった瞬間、あ!『プレデター』だ! と思わせてくれる個性あるメロディを奏でてくれます。

 

 

 

 主演は巨漢の黒人俳優ダニー・グローヴァー。

 前々回の『ダンボドロップ大作戦』での主演の他メル・ギブソンと共演した『リーサルウェポン』のマータフ刑事役が有名お方です。

 本作ではそのマータフのような見た目の警部補でありながら、メル・ギブソンが『リーサルウェポン』で演じたリッグス並みに破天荒で猪突猛進な熱血刑事ハリガンを汗だくになりながら演じております。

 正直、前作主演のアーノルド・シュワルツェネッガーに比して、集客力で勝るキャスティングとは言い難いかもしれませんが、そんなダニー・グローヴァーがプレデターと戦うからこその緊張感が、本作をより面白くしている要因の一つだと思うのです。

 どでかいおっさんがヒイコラ言いながらプレデターさんと追いつ追われつするのは、前作とは異なったハラハラドキドキがあります。

 

 

 さらにダニー・グローヴァー演じるハリガン警部補の新たな部下として配属される刑事ランバート役に(故)ビル・パクストン。

 『エイリアン2』の宇宙海兵隊の一員ハドソン役が有名なお調子者を演じるのが上手い俳優さんです。

 他『ターミネーター』『トゥルーライズ』『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督作にも出演し、ついでにアーノルド・シュワルツェネッガー主演『コマンドー』にもチョイ役で出演した中々にうらやましい出演歴のあるお方です。

 だってターミネーターとエイリアンとプレデターに相対したことがあるんですからね!

 

 

 さらにハリガン警部補の捜査を横取りしてくる特別捜査官キース役に個性派俳優のゲイリー・ビジー。

 前述した『リーサルウェポン』や、スティーブン・セガール主演『沈黙の戦艦』等で悪役を演じた、この時代を代表する名悪役俳優が一人です。

 

 

 他、ロサンゼルス警察本部長役に『ダイ・ハード』や『グーニーズ』の出演で有名なロバート・ダヴィが出てたりしています。

 

 

 シュワちゃん主演の前作『プレデター』に比して、登場人物の多い本作では、キャストの総合ネームバリューでは、そこそこ比肩しているんじゃないか? と個人的には思うところ。

 

 

 

 そんなスタッフ・キャストでお送りする本作ですが、筆者が見たのはビデオレンタルが開始されてからでした。

 だってまだ幼かったし、前作『プレデター』を見た時のトラウマからまだ立ち直っていなかったんです!

 それ程までに前作『プレデター』はおっかなかったのです。

 グロいし、タイトルともなっているプレデターさんはなんて醜い顔ですし、見えないし、グロいんですもん……。

 一応前作についてザックリ語っておくと、宇宙から来たおっかないお顔の宇宙人さん(通称プレデター)が、地球人が鹿やらクマやらを狩猟するように、強い地球人を狩る為にやってきたよ! というお話です。

 当然、地球人にとってはプレデターさんはたまったものでは無く犠牲者の方々は大変な目にあいます。

 

 しかしながら、不思議なもので『プレデター』一作め観賞から時間が経つにつれ、なぜかまた見たいという気持ちが芽生え、レンタルで何回か観賞し、その続編たる本作も見たくなり、筆者はビデオレンタルで本作を見るに至るのです。

 ……その結果、筆者は映画館で見ておけば良かったと思うわけです。

 

 本作は世間での評価は分かりませんが、間違いなく筆者の好きな一本であり、ここで語るに値する作品となったのです。

 

 その理由の一つは、アーノルド・シュワルツェネッガーはもちろん、登場人物的に前作からのつながりが全く無くても続編を成立させるほど、前述したプレデターというキャラが魅力的であったということがあります。

 魅力的であるがゆえに続編が作られたのだから当たり前ですけどね!

 

 本作では、その続編であるがゆえに、謎多き宇宙から訪れし狩人さんのプレデターの描写がよりパワーアップし、新たな武装に、プレデターさんの文化的背景までがチョイ見せされ、発見とサプライズ的魅力となっているのです。

 

 

 また物語の舞台をジャングルからコンクリートのジャングルに変えたことで、それは『エイリアン』が『エイリアン2』になったがごとく……ジャンルすらも若干変わる程に物語の背景に一気に広がりを見せているところも魅力です。

 それに、古来より宇宙や地方から(ベイブという名の)豚や(ショーンという名の)羊や(ジェイソンという名の)ホッケーマスクの大男などが都会に行くと、それだけで街はどったんばったん大騒ぎとなり、結構なドラマが発生し、面白い映画が作れるものなのです。

 ましてや訪れるのは、強い地球人を狩るのが目的のプレデターさんです。

 流血沙汰は避けがたし!

 

 筆者が本作を好きな理由は、本作が理想的な“続編”であったから……というのが手っ取り早いかもしれません。

 ただの続編ではありません。

 三作目や四作目ではない“二作目”の続編であることがポイントである気がします。

 

 

 

 『ロードオブザリング』や『ハリーポッター』などのように、一作目の段階で続編制作が決まっていたわけではなく、『ターミネーター2』や『エイリアン2』『ロボコップ2』や『ダイハード2』のように、一作目が思いの他ヒットしたので、作られた続編映画が面白いのはどういう時か考えてみましょう。

 それは以前に本コーナーで語ったこの『続編でやってはいけないあるある』の多くを回避したことが一因だと思います。

 

・前作公開から何年も時間を開けてはいけない‥‥‥〇

・前作より予算を減らしてはいけない‥‥‥〇

・違うスタッフ・キャストで作ってはいけない‥‥‥〇

・前作キャラを無暗に殺してはいけない‥‥‥〇

・メインの音楽を変えてはいけない‥‥‥〇

・前作での苦労をひっくり返して鬱展開から物語をはじめてはいけない‥‥‥〇

・深夜0時過ぎに餌をあたえてはいけない‥‥‥?

 

 前作からキャスト総とっかえであることを除けば、だいたい良い線いっていると思われます。

 それに加え、プレデターの判明する新たな事実や、ロサンゼルスという大都会に舞台を変えたことで生じる様々なドラマとアクションが、本作を面白くしたのだと思います。

 考えてみれば、実に正攻法な続編であったとも言えます。

 

 しかしながら、本作がほぼ理想的な続編であったからこそ、続く『プレデター』シリーズがやや迷走気味となったのも、また事実な気がします。

 プレデターさんの謎も、開陳され過ぎればロマンが無くなり、バトルも派手にし続ければキリがありませんからね。

 

 というか、この一作目が受けて作られた続編のパターンは、あらゆる映画において、比較的ヒットが見込めるがゆえに、三作目以降を作るのがより難しくなる宿命が待っている気がするのです。

 どのシリーズの三作目がどうとかは言えませんけどね!!

 

 

 

 

 

 ここでいつものトリビア!

 有名なトリビアですが……本作終盤では、プレデターさんが他の星ではどんな獲物を追っていたかが分かるシーンがあるのですが、そこで見覚えのある獲物の頭蓋骨あが映ります。 

 監督が遊び心でいれたシーンだそうですが、それが切っ掛けとなりプレデターさんの出る新たな映画が製作されることになるのは、また別のお話……。

 




 あと、本作のソフト版の吹き替えは、(故)内海賢二、大塚芳忠、玄田哲章、大塚明夫、(故)郷里大輔、江原正士、辻新八、(故)有本欽隆などなど、特濃豚骨こいめ多め固めラーメンのようなレジェンド男くさい声優が結集してて……イイですぜ!

 

 ……ってなわけで『プレデター2』もし未見でしたらオススメですぜ!