映画観賞……それは〈中略〉……めっちゃコスパの良いエンタメ……。
これは……〈中略〉……好きな映画について、いい加減な知識と思い出を元に‥‥‥いい加減な知識と思い出を元に!! ‥‥‥筆者の徒然なるままに書くコーナーである。
▼『映画を語れてと言われても』
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第一二三回『大冒険は裏庭で!“ミクロキッズ”』
タグ:SF 科学 縮小 キッズ 冒険 アドベンチャー アクション 初恋 発明 お菓子 アリ お隣さん 親子 ジュブナイル
『ミクロキッズ』
1990年公開
監督:ジョー・ジョンストン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:リック・モラニス マット・フリューワー他
あらすじ
共働きの妻と、ティーンエイジャーの娘エミー、学生の息子ニック、そして飼い犬のクワークと共に、郊外の一軒家で暮らす科学者のウェイン・サリンスキー(演:リック・モラニス)は、自宅で物質を何でも縮小することができる機械:物質縮小装置の発明に明け暮れていたが、その成果は芳しくは無かった。
一方、その隣家に住まうビック・ラス・トンプソン(演:マット・フリューワー)とその妻と、ティーンエイジャーの長男ラス、小学生の次男ロンの一家は、家族で行くキャンプの準備にいそしんでいたが、キャンプに乗り気なのは父のビック・ラスだけであった。
そんな中、キャンプの準備をボイコットして、裏庭で一人バッティング練習をしていたトンプソン家次男のロンが、誤ってサリンスキー家の二階の窓を割って、野球ボールを中に飛び込ませてしまう。
その事態を目撃していた兄ラスは、仕方なく弟ロンと共に、サリンスキー家に謝罪とボール回収に赴くが、大人たちは外出中であり、代わりにそこにいたラスと同年代のサリンスキー家長女のエミーと、ロンと同年代のサリンスキー家長男ニックと鉢合わせする。
あまり仲が良くない父たちの影響で、険悪なムードな両家の子供達であったが、それでも四人そろってボールの回収に父サリンスキーの仕事部屋に向かったところ、そこではボールの直撃の影響で、父の物質縮小装置が暴走していた。
部屋に入った瞬間、暴走した物質縮小装置により全高6ミリにまで縮小されてしまう4人の子供達。
パニックになりつつも、すぐに何が起きたかを察する子供達ではあったが、6ミリの姿ではどうすることもできない。
しかし幸いにも物質縮小装置のあった部屋に父サリンスキーが帰宅してきたため、子供達は必死に助けを求めるが、6ミリの身体から出す声量では父の耳には届きようが無かった。
それどころか、なんと部屋の掃除をはじめた父によって、子供達は箒と塵取りでゴミ袋に放り込まれ、気が付くと裏庭の端にあるゴミ捨て場にゴミ袋ごと放り出されてしまう。
なんとかゴミ袋から脱出した子供達は、何とか裏庭を縦断し、家へと帰ろうとするが、6ミリの身の丈で移動する裏庭には、想像を超えた冒険と危険が待ち構えていた。
果たして子供達は無事裏庭を縦断し、家へと帰れるのか!?
そして子供達がいずこかへと消え去ったと気づいたサリンスキー家とトンプソン家の両親は、無事子供たちを探し出し、元のサイズに戻すことができるのであろうか!?
さて今回は、子供達の大冒険を描いたアクションアドベンチャー映画の傑作について語りたいと思います。
それもただの冒険ではありません!
身長およそ6ミリにまで縮小されてしまった子供達が、住んでいる家の裏庭で繰り広げる大冒険を描いた極めてユニークな一作です。
思えば、もしも身体が今の何百分の一かに縮んでしまったなら、何がどうなるのだろう?
‥‥‥という思考実験を、『一寸法師』『ガリバー旅行記』などの大昔から、人は繰り返し考えては物語にして来ました。
そして特撮技術を用いた映像化が可能になると、人は『ミクロの決死圏』『ウルトラQ:1/8計画』『ドラえもん・のび太のリトルスターウォーズ』そして『アントマン』などなどの作品を世に生み出していくのです。
本作はそんな“もしも人が縮小されたら?”という題材に、子供達の大冒険を掛け合わせることで生まれた名作なのです。
監督はジョー・ジョンストン。
本コーナーで言えば『ロケッティア』を監督したお方。
その他『ジョマンジ』や『キャプテン・アメリカ:ザ・ファーストアベンジャー』等を撮ったお人であり、特撮を用いた映画を撮るのはお手の物。
それもそのはず、ルーカスフィルムで特殊効果スタッフとして『スターウォーズEPⅣ:新たなる希望』から参加してた特殊効果業界の伝説みたいなお人なのです。
そんな彼が、まだCG技術の欠片もない時代に、アナログ特撮技術の粋を結集して生み出したのが本作なのです。
そして本作がデビュー作!
音楽は、本コーナーでは幾度も登場したジェームズ・ホーナー!
なので説明は省略!
出演は、ポスター等にも大写しなっている、物質縮小装置を開発
したマッドサイエンティストなサリンスキー家のパパ、ウェイン・サリンスキー役に、リック・モラニス。
『ゴースト・バスターズ』や『リトルショップ・オブ・ホラーズ『スペースボール』』の出演で有名なコメディ俳優さんです。
本作では天才だけど善良かつドジなサリンスキー家のパパ役を体当たりで演じております。
このキャスティングの何が凄いって、自宅で物質縮小装置なんてトンデモ発明するパパとして、凄く説得力があるところです。
リック・モラニスが演じてるなら、そんなパパでも仕方ない!!
そのサリンスキー家のお隣さんであるトンプソン家のパパであるビッグ・ラス・トンプソン役にマット・フリューワー。
『未来TV局ネットワーク21』という邦題の『マックス・ヘッドルーム』という人気TVドラマの主演で有名な俳優でして、筆者のお気に入りの役者さんの一人です。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『ウォッチメン』等に出演しており、本作では、本当は良い人なんだけど、怒りっぽくて神経質で、子供達の威厳と尊敬を取り戻そうとして空回りするパパ役をコミカルに演じております。
‥‥‥残念ながら、本作キャストで筆者の知識にある俳優はこの二名くらいなのですが、それでも本作がオススメするに値する名作には変わりありません。
本作が素晴らしいのは、多くの名作・傑作映画がそうであるように、やはり出演者の熱演、特撮含めた映像の凄さ、そしてプロットおアイディアと脚本の良さにあると思います。
残念ながら本作の主役たるお隣さん同士の家の子供四人を演じた人らは、その後、特に大成したとは言い難いようですが、本作における彼らの熱演が、まず素晴らしいのです。
なにしろ身長およそ6ミリになった人間を演じるという試みが、参考になる前例が(あんまり)無い上に、設定上はもちろん、撮影時にも危険が一杯だからです。
主な舞台となる裏庭に生えてる芝生だけでも、縮小された子供達の身長の何倍もあり、そこに待ち受けるあらゆる者が、巨大なジャングルかのごとき障壁となって彼らを襲います。
縮小された子供達を演じるキャストは何かと言うと高所から落っことされ、掃かれ、吹っ飛ばされ、ずぶ濡れになり、どろんこになり、吸い込まれ、連れ去られ、また落っことされるのです。
もちろんスタントマンもいるでしょうが、そのスタントマンも大変です。
とはいえ、子供達はそれはもうズタボロになるのですが、あくまで見た目的にズタボロになるだけで、物語上でもリアルでも怪我とかするわけではないのでご安心を。
その一方で、子供達の両親の右往左往も素晴らしいのです。
リック・モラニス演じるパパ・サリンスキーは、程なく子供達に何が起きたかを察して、直ちに子供達の捜索を開始するわけですが、と、なにしろ6ミリサイズになった4人の子供を、自身がウッカリ踏みつぶさずに手っ取り早く探す方法など無いわけで、発明家スキルの限りを尽くして探し回るのですが‥‥‥その探している姿はお隣さんからはとても正気とは思えない姿なわけでして‥‥‥。
そんな姿を見たお隣さんのマット・フリューワー演じるトンプソン家パパと、リック・モラニス演じるサリンスキー家パパとのやりとりが面白いのです。
子供達が体を張ったアクションで客を魅了する一方、大人達は大人ゆえのドラマで客を飽きさせないのです。
そしてやはり、縮小された子供達から見た世界の特撮映像も素晴らしいのです。
はたしてCG技術の欠片も無い1990年に、いかにして、その縮小された者から見た世界を表現したのでしょうか?、
その基本的な表現方法は実にシンプルです。
どうもこうもねえよ! 頑張って子供達が縮小された分だけ、子供達のまわりの物体を何から何まで巨大にした大道具、小道具、美術セットで作ったんだよ!! ‥‥‥ってなもんです!
ただの水たまりも、芝生の水やり機も、ポイ捨てタバコも、食べかけで捨てられたお菓子も、子供たちを掃く箒も、全て巨大な大道具や小道具やセットを作り上げることで表現しております。
その清々しいまでの力技に、かんでもCGですましてしまう映像が多い今の映画に無い味わいと感動を覚えるのです。
そして、ただ巨大な小道具大道具を作る以外の手段で描かれた描写もまた凄いのです。
それは基本的に合成とアニマトロニクス技術によるものですが、それによって描かれる例のアレが本作に強烈なインパクトを与えているのです。
(※今さらですが、本作には縮小された分だけ巨大に映されるアリ、ミツバチ、サソリが登場します。
虫が苦手な場合は、本作観賞後、夢に出てくる可能性がございます)
本作では、6ミリサイズになって裏庭に放り出されれば当然出会って然るべき虫の方々も登場します。
といっても、出てくるのはアリ、ミツバチ、サソリくらいでして、サソリ以外は大して怖くもグロくもない存在なのですが、中でもアリと子供達との奇妙な関係が、本作を一級のジュブナイルにしている気がします。
そしてその俳優陣の熱演と、アナログ特撮映像の粋を上手く繋げた脚本というか本作の基本アイディアが秀逸だった気がしてなりません。
若干ドラえもん的と言いますか、子供達が逆境を乗り越え仲よくなってゆくという王道ドラマの、その“逆境”部分にちっちゃくしちょうというアイディアを思いつき、そしてここまでのレベルで実現してしまったことが凄いと思うのです。
本作は公開時にそこそこ以上のヒット作となり、続編が二作作られるに至る程なのです。
さてここでいつものトリビア!
もうクローズしてしまいましたが、本作はヒットの結果、東京ディズニーランドにあったアトラクション〈ミクロ・アドベンチャー〉の原作にもなっています。
筆者は行ったこと無いですけどね!!
‥‥‥ってなわけで『ミクロキッズ』もし未見でしたらオススメですぜ!!