映画観賞……それは〈中略〉……めっちゃコスパの良いエンタメ……。
これは……〈中略〉……好きな映画について、いい加減な知識と思い出を元に‥‥‥いい加減な知識と思い出を元に!! ‥‥‥筆者の徒然なるままに書くコーナーである。
▼『映画を語れてと言われても』
第一〇七回『スーパー店員が中世にタイムスリップしたら救世主と間違われた件“キャプテン・スーパーマーケット:死霊のはらわたⅢ”』
タグ:ホラー 続編 ジャンル コメディ アクション ネクロノミコン 救世主 ババア 死霊 サム・ライミ
『キャプテン・スーパーマーケット:死霊のはらわたⅢ』
原題:『Army of Darkness』
1993年公開
監督:サム・ライミ
脚本:サム・ライミ アイヴァン・ライミ
出演:ブルース・キャベル
(※本作は前作・前々作『死霊のはらわたⅠ・Ⅱ』の続編にあたります・それゆえ自動的に同作のラストのネタバレになっていることをご了承ください)
〈前作のあらすじ〉
スーパーマーケットの店員アッシュ(演・ブルース・キャンベル)は、たまたまガールフレンドと訪れた山小屋で〈死者の書・ネクロノミコン〉を発見し目覚めさせてしまう。
結果、その書の魔力が解き放たれたことで、ガールフレンドが呪われ死霊と化し、アッシュは病む負えず死霊と化したリンダを殺害、自身も呪われた右手を切断することに。
アッシュは切断した右手にチェーンソーを接続し、死霊と戦いながらネクロノミコンを封印すべく奮戦する。
その結果、ネクロノミコンの力で次元の扉を開き、ネクロノミコンをその中に廃棄することに成功したものの、アッシュもまたその次元の中へと吸い込まれてしまうのであった。
〈本作のあらすじ〉
次元の穴に落ちたアッシュは、気が付くと中世イングランドと思しき場所にタイムスリップしていた。
そこでアーサー王率いる騎士達に捕縛されるアッシュ。
アッシュの現代の服装から、現在アーサー王が統べる国と敵対中の国の人間と間違われたのだ。
言い訳もできのまま、アーサー王の城まで連行され、罪人を処刑する為の魔物の住まう穴に突き落とされるアッシュ。
そこで待ち受けていたのは、ネクロノミコンが生み出したと思しき死霊に外ならなかった。
アッシュはかつて死霊と戦った経験値と、未来の技術のチェーンソーやショットガンを活かし、見事に死霊を打ち倒す。
しかしその行いによって、アーサー王の側近マーリンにアッシュは救世主と祭り上げられてしまう。
これ幸いと思ったアッシュはmアーサー王の騎士達をこき使い、元居た時代に帰るための方策を探し出させる。
その結果マーリンが見出した方策は、この時代に飛ばされていたネクロノミコンを使う方法であった。
かくしてネクロノミコン回収の旅に出るアッシュ。
死霊の仕業と思しき怪現象に遭遇しながらも、なんとかネクロノミコンの元にたどり着くアッシュ。
しかしこの時、アッシュはマーリンよりネクロノミコンを無事持ち出す為の呪文を教えられていたが、いい加減な彼はその呪文もいい加減にしか覚えていなかったのであった。
その結果‥‥‥‥‥‥。
はたしてアッシュのアーサー王の国の運命いかに!!?
さて今回は鬼才サム・ライミ監督の名作ホラー・アクション・コメディ映画について語りたいと思います。
サム・ライミ監督といえば、本コーナーでいえばリーアム・ニーソン主演の『ダークマン』を撮ったお方にして、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』三作を撮ったお方です。
さらに最近ではMCU映画『ドクターストレンジ2』なんかも撮っています。
そんな彼が1981年に公開したのが、伝説的低予算カルトホラー映画の『死霊のはらわた』であり、その好評価を受け製作された続編というかリメイクが『死霊のはらわたⅡ』。
その続編にあたるのが本作なわけですが、前作の内容は本作冒頭で語られるので、ぶっちゃけ前作を見ていなくても本作の視聴には対して問題はありません。
それに前作、前々作はまごうこと無きギットギトのホラー映画‥‥‥それもスプラッターホラー映画ですので、そういうのが苦手な方にはオススメできない作品でもあります。
しかしながら本作は、ホラー映画シリーズの第三作目でありながら、なぜかアクション・コメディーあとちょっとホラーな映画へと、何故かジャンルがシフトしているけったいな作品なのです。
そこが良いんですけどね!
筆者はたまたま前作を見ずに本作を見て、すごく感動したものです。
本作の評価を受け、サム・ライミ監督はリーアム・ニーソン主演『ダークマン』を撮り、さらに『スパイダーマン』を撮ることとなるわけです。
主演はブルース・キャンベルという俳優。
サム・ライミ監督とは中学生時代からの親友だそうで、同監督の『死霊のはらわた』一作目はもちろん、『ダークマン』『スパイダーマン三作』に『ドクターストレンジ2』にもチョイ役で出演。
『ブルース・キャンベルを探せ』がサム・ライミ監督作の楽しみ方の一つになっています。
また海外ドラマ『バーン・ノーティス』での出演でも有名なお方。
黙っていればそこそこの男前な俳優さんなのですが、しゃべり出すとなんというか圧の強い俳優さんでして、そのキャラが本作の現代人が中世で珍道中に実にマッチしております。
また本作を見ればわかることですが、ブルース・キャンベルという俳優はとんでもなく一人芝居というかパントマイムが上手い!
中盤はほぼ彼一人が大暴れしている状態なのですが、それがどのようなシチュエーションでどのような芝居を見せてくれているのかは、どうかその目でご確認下さい!
‥‥‥と残念ながら本作で筆者が知ってるスタッフキャストはその二名のみです。
しかしながら、例によって、それでも本作は自信をもってオススメする一本なのであります。
その理由の一つは、前述したホラー映画の続編が、なぜかアクション・コメディーあとちょっとホラーな映画になったところがまずあるでしょう。
以前にも書いた気がしますが、ホラーとコメディは割と隣り合わせのところにあるような気がします。
本作はサム・ライミ監督ならではの描写力で死霊の恐怖を何度も何度も描き続けた結果、もう怖いを超えて笑える領域になり、ジャンルがシフトしちゃっているのです。
ちなみに、本作で登場する死霊というのは、高確率でヤマンバ的ないわゆるババァの外見をしております。
それがトランポリンを使ったジャンプ撮影や、強風をあてることで髪を振り乱し襲ってくるのです。
その映像の迫力はまさに職人芸! サム・ライミ監督の多くの作品で、このババァの演出は見ることができます。
その他、サム・ライミ監督映画でおなじみの演出映像が多々見れるのですが、その一つは筆者の撮った自主映画『座頭の死五六』でもゴニョゴニョ‥‥‥
そして本作の魅力の一つは、今でいうところの『なろう系』とでも言いますか、20世紀末の知識を持った人間が、タイムスリップした先の中世で、原題知識を駆使して無双する‥‥‥というパターンをいち早くやった映画の内の一作であるということです。
アッシュはとても都合よく自身と共にタイムスリップしてきたマイカーや、チェーンソー、ショットガン、そして何故かマイカーのトランクに入っていた科学の教科書を駆使し、中世の人々に自分で勝ち得たものでも無いのに偉そうにマウントをとり、こき使い、クライマックスでの死霊との戦いに備えるのです。
なんだか2020年代前後のアニメ等でよく見たような展開(偏見アリ)な気がしなくもありません。
ともあれ、アッシュが現代知識と利器を用いて巨大な悪に立ち向かう件は燃えます!
とはいえ、本編を見れば分かることですが、アッシュがいかに大活躍しても、全部アッシュの○○〇〇やんけ~!となるんですけどね!
そして血沸き肉躍る死霊とのアクションの数々。
なかでも、クライマックスの攻城戦はこの作品の予算規模に比して大迫力です。
なにしろさる事情で無数の死霊による軍隊から、アッシュが指揮するアーサー王軍が、王城に保管したネクロノミコンを守るべく大バトルを繰り広げるのですから。
もちろん、本物の城を建設することは出来ないはずなのですが、大がかりなセットと合成技術、アナログなトリック撮影で映像化を実現しております。
そこでアッシュは八面六臂の大暴れをするのが見どころなのです。
ロビンフッド的なチャンバラアクションはもちろん、さまざまなアイディアを駆使した様々なバトルが見れるのです。
‥‥‥ですが本作一番の魅力は‥‥‥…。
それは監督スタッフキャスト(特に監督)が『好きなことを好き放題』やっていることでしょう!
見ていただければ分かることですが、本作のシナリオは、割と単純です。
特に複雑な人間ドラマ伏線の回収等々が行われるわけではありません。
つまりシナリオ通りに映画を作ったら1時間くらいで終わりそうな内容なのです。
では何で90分の映画の尺を埋めたのかというと‥‥‥それは……。
『悪ふざけ』なのです!
ぶっちゃけ物語の進行上無くても困らないパートが本作ではいくつか見受けられます。
特に、ネクロノミコンを回収すた旅の道中で起きるてんやわんやは、もっと尺短くもできたやろ!と思わなくもありません!
しかも、そのシーンに偉い手間暇かけた映像が使われているのです!
具体的に描けば、アッシュが宿を借りに寄った風車小屋で一晩過ごす件や、その語のノクロノミコンを手にするシーンは、短くしようと思えば半分以下にできそうなのですが、本作ではそういうシーンを長々とやっているのです。
ちなみにその両シーンに出演しているのはアッシュ役のブルース・キャンベルのみ。
しかし、その無駄なシーンが無駄に凄いのです。
ブルース・キャンベルとサム・ライミ監督の演出力と、当時の特撮技術を駆使して、死霊とのバトルとはまた違ったおもしろ映像が繰り広げられるのです!
う~ん誰かに似てる気がするこのお顔!
さらにクライマックスの攻城戦がはじまる直前では、多種多様な死霊というか蘇った骸骨g、戦太鼓や笛を奏でながら更新するシーンを長々と流すのですが‥‥‥そういったシーンは、物語進行上は必要はあまり無いかもしれません。
しかし、本作にはその存在が実に合ったと思うのです。
それはきっと本作がホラー映画ではなく、コメディとして観客の緊張感をほぐす効果があったから‥‥‥かもしれませんが、単純にサム・ライミ監督が趣味全開で好き放題やった〈悪ふざけ〉が痛快だったからかもしれません。
それがどんな〈悪ふざけ〉だったのかは、未見の方はどうかその目でご確認下さい。
ここでいつものトリビア。
本作の脚本をサム・ライミ監督と共に書いたのは、サム・ライミ監督のお兄さんのアイヴァン・ライミ。
本作でちらりと映ったスーパーマーケットでのアッシュの同僚と臆病な騎士を演じた他、サム・ライミ監督『スパイダーマン』ではピーターが写真を売る新聞社デイリービューグルで鬼編集長JJJにいつも怒鳴られてるメガネの社員を演じているのは、サム・ライミ監督の弟のテッド・ライミ。
『ダークマン』でリーアム・ニーソンに真っ先に復讐されるマフィアも演じてます。
また本作のラストにはディレクターズカット版と公開版の二種類があり、ソフト版ではディレクターズカット版が本編に採用され、特典メニューで公開版のラストが見れます。
ディレクターズカット版を最初に撮ったのだけれど、プロデューサーに怒られて撮り直したのが公開版なそうだけど、公開版ラストも手間暇かけたババァアクションがあって面白いですよ!
そして本作のOP映像で流れる作品タイトル‥‥‥よく見なくても
『Bruce Campbell vs Army of Darkness』になってる!!!
‥‥‥ってなわけで『キャプテン・スーパーマーケット:死霊のはらわたⅢ』もし未見でしたらオススメですぜ!