『スタートレック』…………それは1966年に放送が開始されたTVドラマシリーズを皮切りに、2022年の現在にいたるまで続々と劇場版、TVドラマシリーズ、アニメシリーズなどが製作され続けている超人気SF作品のシリーズである………。

 

 これは……そんな『スタートレック』の、ファン=“トレッキー”を増やす為に、性懲りも無くまたもや『スタートレック』映画の紹介に、勇敢に挑戦した文章である!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼『スタートレックを語れてと言われても』

 

 

 

 

 

 

 TODAY'S
 
第九十一回『スタートレック:新たなる旅立ち!!“スタートレック(2009)”』




 タグ:スタートレック SF 宇宙 リメイク リブート タイムトラベル パラレル アクション レンズフレア タイムライン

 




『スタートレック』

2009年公開

監督:J・J・エイブラムス

音楽:マイケル・ジアッキーノ

出演:クリス・パイン ザカリー・クイント カール・アーバン サイモン・ペッグ ゾーイ・ソルダナ アントン・イェルチン エリック・バナ ブルース・グリーン・ウッド クリム・ヘムズワース レナード・ニモイ他

 

 

 

 あらすじ

 時に23世紀の半ば…………ワープ航法を発見した人類は、銀河系の四分の一にまで進出し、そこで遭遇した数々の異星文明と、時に戦争となりながらも、惑星連邦を結成し発展の時をむかえていた。

 

 

 そんなある時、惑星連邦の宇宙船ケルヴィンは、観測した空間異常の調査に向かったところ、時空の穴より出現した正体不明の巨大宇宙船の攻撃を受け、絶体絶命の窮地に陥る。

 敵艦への交渉に向かい、そのまま殉死した艦長に替わり、ケルヴィンの指揮をとることになった副長のジョージ・カーク(演:クリム・ヘムズワース)は、ただちに出産直前の身重の妻を含む全クルーに退艦を命じ、自分はただ一人ケルヴィンに残り、クルーの乗った脱出シャトルを敵宇宙船の攻撃から守るべく、敵艦にケルヴィンを体当たりさせ、宇宙に散る。

 その直後、脱出シャトルに乗っていたジョージ・カークの妻は男の子を出産し、直前の通信でのジョージ・カークの遺言から、その赤子はジェームズ・T・カークと名付けられるのだった。

 

 やがてすくすくとアイオワで育った少年カークは、義父の所有するビンテージ・カーを盗んで乗り回す破天荒な少年へと育っていた。

 

 同じ頃、惑星連邦に属し、論理を何よりも重んずるバルカン星では、地球人の母とバルカン人の父との間に生まれた少年スポックが、ハーフであることを理由に同年代のバルカン人少年からいじめを受けながらも、母の愛を受けたくましく育ち、やがて極めて優秀な青年となると、周囲の反対を押し切り、惑星連邦の艦隊クルーへの道を志すのであった。

 

 

 

 それから数十年後‥‥‥‥‥‥。

 

 

 

 アイオワの惑星連邦の宇宙船造船所のそばで、日々完成が近づく宇宙船を眺めながら、悶々とした田舎暮らしをしていたカーク(演:クリス・パイン)は、飲み屋で惑星連邦士官候補生である才女ウフーラ(演:ゾーイ・ソルダナ)をナンパしたことを切っ掛けに、惑星連邦クルーの男達との大喧嘩となり、そこへ現れた惑星連邦の宇宙船船長であるクリストファー・パイク(ブルース・グリーン・ウッド)と知り合う。

 パイク船長から、父のジョージは、12分間だけ船長となり800名もの人命を救った男だが、お前はここでくすぶり続けるのか? と訊かれたカークは、一念発起して惑星連邦艦隊の士官アカデミーへの入隊を決心する。

 

 移動用シャトルで知り合った医者のレナード・マッコイ(演:カール・アーバン)と共にアカデミーに入隊したカークは、3年で順調に艦隊士官への道を進むが、絶対に死ぬ結末から逃れることができない宇宙船指揮シミュレーションテスト『コバヤシマル・シナリオ』を、ある手段でクリアしてしまったことから聴聞会に呼ばれ、そこでシミュレーションテストの考案者であるミスター・スポック中佐(演:ザカリー・クイント)と、『コバヤシマル・シナリオ』の意義について衝突する。

 しかし、カークの処遇が決まる前にスポックの故郷バルカン星から突如救難信号が届き、地球の惑星連邦艦隊の士官候補生ふくむ全クルーは、全宇宙船に乗り直ちにバルカン星に赴くことになる。

 カークは処遇が未確定の為、宇宙船への乗艦が許可されていなかったが、マッコイの機転により、仮病を利用して最新鋭宇宙船エンタープライズ号に乗りこみ、バルカン星に向かうことに成功する。

 

 パイク船長の指揮の元、操舵士ヒカル・スールー大尉(ジョン・チョウ)の操船によって、地球軌道上の宇宙基地から発進し、ワープ航法によってバルカン星を目指すエンタープライズ号。

 

 その移動の最中、パベル・チェコフ少尉(演:アントン・イェルチン)による全クルーへのバルカン星の状況説明を聞いたカークは、そのシチュエーションが、謎の巨大宇宙船がケルヴィンを攻撃し、父を亡くすことになった事件と酷似していることから、この状況が一種の罠であり、かつてケルヴィンを襲ったのと同じ宇宙船がバルカン星で惑星連邦の宇宙船を破壊すべく待ち受けていると確信する。

 

 ただちにブリッジに乗り込み、パイク船長に事態を説明するカーク、だが時すでに遅し、バルカン星に到着したエンタープライズ号を待っていたのは、先に到着した惑星連邦の宇宙船の残骸と、かつてケルヴィンを沈めた謎の宇宙船であった。

 

 敵宇宙船の圧倒的戦闘力により、絶体絶命に陥るエンタープライズ号。

 はたしてカーク達の運命やいかに!?

 

 

 

 

 

 

 

 全宇宙、全タイムラインのトレッキーと、そうではないみなさまお待たせしました!

 今回はお待ちかねの『スタートレック』回です。

 『スタートレック』とは何ぞや? というお方は、どうか本コーナーの‥‥‥

 

第十一回『“ギャラクシークエスト”グラブザーのハンマーのかけて! ヴォーバルの息子達にかけて!』

第三十五回『“スタートレックⅡ:カーンの逆襲” 老いたる主人公達の新たなる冒険のはじまり』

第五十回『多数の要求は少数の要求に勝る……されど! “スタートレックⅢ"』

第五十一回『帰ってきたあなた達に……(前編)“スタートレックⅣ:故郷への長い道”』

 

 ‥‥‥をご覧ください。

 まぁようするに『スタートレック』とは、ジーン・ロッデンベリーという名プロデューサーによって作られた1966年のTVドラマシリーズからはじまった、全世界で『スターウォーズ』と双璧を成す、宇宙を舞台にした大人気SF映像作品のシリーズなわけです。

 『スターウォーズ』と違うのは、『スタートレック』が未来の地球人類の冒険を描いたところです(というか「スターウォーズ』が遠い昔、はるか彼方の銀河系の話というのがレアケースともいえます)。

 というわけで、スタトレ世界では我々地球人類の歴史と地続きとなった未来が見れるわけです。

 ということは、それは我々現実社会で生きるリアルな人類が、ひょっとしたらたどり着くかもしれない‥‥‥というロマンとワンダーがあるところが、本シリーズの人気の一因なのかもしれません。

 

 しかしながらこの歴史あるシリーズは、歴史がありすぎて逆に新たに見始めるにはかなり取っつきにくいシリーズともなっています。

 だってTVドラマシリーズが6本、アニメシリーズが3本、劇場版が13作もあるのですから!

 そのほぼ全シリーが、過去作になにかしら関連しており、いきなり単独でそのなかの一本だけみても、100%楽しむことは出来ないのです、

 ゆえに、スタトレファンは新規ファンを増やす為の布教活動をする際に、散々悩む事態となっております。

 それは今でいうところの、マーベル・シネマティック・ユニバース作品を、未見の人に一体どれから勧めれば良いのか? 問題みたいな!!

 

 

 

 

 一番最初の〈The Original Series〉(通称TOS)と呼ばれる、カーク船長率いる宇宙船エンタープライズ号の冒険を描いたTVドラマシリーズから見れば良いのかもしれませんが、今から60年近く前の作品ということもあり、現在のVFX技術に慣れた観客が、現代の基準で見るのはいささか厳しい点もございます。

 また他のTVドラマシリーズも、過去作から地続きな設定であることが、初観賞の足枷になっていることは否めません。

 

 

 

 筆者は本コーナーで、劇場版第二作『カーンの逆襲』からいきなる勧めるなんて掟破りなことをしたわけですが‥‥‥その作品も、TVドラマシリーズ観賞前提な部分があり『スタトレを、いったいどれから、勧めるか?』問題の最適解とは言えなかったわけです。

 

 

 その悩みは、新規ファン獲得を狙う『スタートレック』シリーズの送り手の方々も同じ様に抱いていた悩みでした(多分)。

 そして多くの長寿シリーズや過去のヒット作で行われた手段で、スタトレもまた新規ファン獲得に動いたのです。

 

 今も隙あらば行われ続けるリメイク、あるいはリブート、仕切り直しってやつです。

 例えば『スパイダーマン』『バットマン』『エヴァンゲリオン』『ゴジラ』に『ガメラ』『キングコング』‥‥‥。

 古より続く人気作を、現代の観客にも受け入れられるように、新たなるスタッフキャストで、初見でも楽しめるように仕切り直すのは、実に自然で有効な戦術です。

 

 

 そして時に西暦2009年、今もなお続くそのリメイクブームの波に乗り、『スタートレック』もまた、一番最初に世に出た、カーク船長以下のクルーが乗るエンタープライズ号の活躍を描いた〈The Original Series〉のリメイクに挑戦し、結果大ヒットとなったのです。

 本作は、数あるリメイクもの映画の中でも、屈指の名作と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 監督に抜擢されたのは、海外ドラマ『LOST』や『フリンジ』の監督&プロデューサーでブレイクし、トム・クルーズ主演の『ミッションインポッシブル』の監督や、後に『スターウォーズ』の監督もつとめることになるJ・J・エイブラムス。

 

 

 音楽はのちにMCU作品の『スパイダーマン』三作や『ドクター・ストレンジ』の他、『スターウォーズ:ローグワン』や『カールじいさんの空飛ぶ家』や『ズートピア』など、なんかディスニー絡みの音楽を担当することが多い、マイケル・ジアッキーノ。

 

 

 

 主演の破天荒船長ジェイムズ・T・カークに抜擢されたのは、後に『ワンダーウーマン』でワンダーウーマンの恋人のスティーブや、トム・クランシー原作の『ジャック・ライアン』シリーズの一作『エージェント・ライアン』などなど、数々の映画で主演することになるクリス・パイン。

 

 

 カーク船長の相棒ともいえるエンタープライズ号の論理バカの副長、ミスター・スポック役には、海外ドラマ『HEROES/ヒーローズ』の悪役サイラーでブレイクしたザカリー・クイント。

 

 

 そんな二人のツッコミ役のエンタープライズ号船医のドクター・マッコイ役に、『ボーン・スプレマシー』でジェイソンボーンと戦ったり、『ロードオブザリング』でサウロンの軍勢と戦ったり、『ソー・ラグナロク』で長いものには撒かれる主義のアスガルド人を演じたり、海外ドラマ『The・BOYS』ではロクデナシなヒーローに立ち向かうロクデナシのブッチャーを演じたりしてるカール・アーバン。

 

 

 ヒロインであるエンタープライズ号通信担当のウフーラに、『アバター』で青い肌の宇宙人、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で緑の肌の宇宙人ガモーラ、スティーブン・スピルバーグ監督作『ターミナル』ではトレッキーな空港職員を演じたゾーイ・ソルダナ。

 

 

 あとエンタープライズ号機関長に、本コーナーでも紹介した『ショーン・オブ・ザ・デッド』の主役ショーンを演じた他、『ミッションインポッシブル』シリーズのレギュラーエージェントのベンジー役で活躍しているサイモン・ペッグ。

 

 

 その他、ジョン・チョウにアントン・イェルチンに、本コーナーで紹介した『アイ.ロボット』にも出てたブルース・グリーン・ウッドが、TOSの登場キャラを新たに演じ、今作の敵キャラであるネロ役には『ブラックホークダウン』などで有名なエリック・バナが演じ‥‥‥。

 さらに映画冒頭で宇宙に散るカークの父、ジョージ・カーク役に、、当時はまったくの無名俳優であり、後にMCU作品『ソー』シリーズで雷神ソーを演じ大々大ブレイクするクリム・ヘムズワースが抜擢されています。

 

 そして忘れちゃならないレナード・ニモイ!

 TOSの時代からスタトレ屈指の人気キャラ、ミスター・スポックを演じた彼が、とある方法でミスター・スポックその人の役で出演しております。

 

 

 

 う~む‥‥‥実に力の入ったキャスティングです。

 集めた人達の力の入れ具合が分かります。

 本作公開当時はともかく、公開後にブレイクしキャスト陣の活躍を考えると、キャスティングした人間がいかに慧眼だったかが分かります。

 

 

 

 そんな、本作公開時の2009年の段階で、シリーズスタートからすでに40年以上もの年月が経った超人気長寿シリーズのリブート作のヒットを、スタッフキャストはいったい如何にして成し得たのでしょうか?

 新規ファン獲得の為にリメイクすることは、映画をはじめ、あらゆる物語の媒体で珍しいことではありますが、同時に失敗例も多々ある戦術です。

 なぜなら、リメイクして仕切り直すということは、それまでの長い期間、支持してきた古参ファンを切り捨てることにもなりかねないからです。

 リメイクでそれまでのシリーズが無かったことにされた場合、その事既存のファンが落胆してしまうのも致し方のない話です。

 古参ファンの支持と新規ファンの獲得を同時に行うのは、実に難しいようなのです。

 しかしながら本作はシリーズ屈指のヒット作となり、続編映画が三作目まで制作され、四作目も企画中です。

 それは何故だったのでしょうか?

 

 

 

 

 まずなんと言っても、2009年時の最先端のVFX技術を用いて映像化された、TOS時代の初代エンタープライズ号を始めとする宇宙船の映像でしょう。

 もちろん、それまでのスタートレック劇場版でも、主役メカたるエンタープライズ号は、模型特撮であれCG技術であれ、当時の最先端の映像技術でもってして映像化され続けていました。

 が、本作では劇場版では初の、TOS時代のエンタープライズ号のデザインを美麗にリニューアルしつつ、大予算と手間暇をかけることで、全盛期の模型特撮に匹敵する迫力あるエンタープライズ号の映像化が成されているのです。

 その拘りは、エンタープライズ号の表面を形成しているパネルを一枚一枚ずつモデリングすることで、宇宙空間での光源での照り返しによって生じる微妙な反射のバラつきを表現し、精密感と巨大感を表現しているほどです。

 そんなエンタープライズ号が、劇場の大画面で見れるだけで、映画館に足を運ぶ価値があるというものです。

 また数ある劇場版スタトレの中でも、エンタープライズ号が特に活躍するクライマックスも筆者の好きな部分です。

 



 

 

 そして新キャストによるTOSキャラの活躍も見事です。

 TVドラマシリーズのスタトレシリーズは、ドラマの予算枠で作られていることもあり、生身のアクションシーンは控えめ(少なくともTOS時代は)だったのですが、本作は2009年の大作映画らしい大掛かりなアクションシーンが繰り広げられており、実に2000年代的というか、いい意味でスタトレらしくないアクションシーンが楽しめます。

 まだエンタープライズ号の船長ではない若きカークが、後の部下となる若きエンタープライズ号のクルーらと共に、次から次へとテンポ良く、高所から落っこちたり、モンスターに追いかけられ、ずぶ濡れになったり、異星人相手に銃撃戦を繰り広げたりします。

 それら一つ一つは、屋外にセットを作り、日光を照明にして撮影するなどのアイディアを駆使して映像化がなされや結果、公開から10以上経った今見ても色褪せません。

 この部分はは監督のJ・J・エイブラムスの手腕と言えるでしょう。

 

 

 もちろん、キャスト陣の織り成すドラマパートの素晴らしいのです。

 リメイクのギャンブルなところは、新たに演ずることなったキャストが、オリジナルのキャストに対し、あまり似ていない、かけ離れたキャラとなる危険性があることです。

 特にオリジナル版のキャストが名演であり、思い入れのあるファンが多い場合はなおさらです。

 本作でも公開前にキャストが発表がされた段階では、キャスティングが不安される声も少なからずありました。

 ですが、公開されてしまえばそこにいるのは顔も年齢も違えど、ア違いなくスタートレックTOSのエンタープライズ号のクルー達だったのです。

 特に新たにカーク船長を演じることとなったクリス・パインは、カーク船長のイメージを塗り変える勢いの熱い演技だったようにおもいます。

 これはカーク船長というキャラが、実に破天荒で平時ではトラブルメーカーでしかなそうだけれど、非常時には実に有能という、実際にこんな人間が上司だったら絶対に苦労しそうな部分を、TOSでウィリアム・シャトナーが演じたカークのさらに若い頃ということで、さらにカリカチュアライズして大げさに演じたところが上手くはまったからなような気がします(TOSと違って父を失ってるという事情もありますが)。

 ‥‥‥というかクリス・パインの演じるカーク船長、本作のポスターだと、どうみても悪玉側のキャラにしか見えない‥‥‥。

 

 

 

 

 ‥‥‥などなどと、映像やキャストの演技面だのと色々と本作の魅力を書きましたが、本作が特別なのは、それらに加えて本作がリメイクでありながら、古参のスタトレファンも納得する見事なシナリオでリブートを成し遂げたことです。

 

 前述したように、リメイクやらリブートの欠点は、それまでのシリーズを無かったことにして仕切り直してしまい、古参ファンを切り捨ててしまう可能性があることです。

 しかし、本作はリメイクでありながら、その事態を見事に回避しているのです。

 本作で新たにはじまった新キャストによるエンタープライズ号の物語ですが、本作がはじまったからといって、ウィリアム・シャトナー演じるカーク船長と、それに続く長きにわたるエンタープライズ号のそのクルーとそのスピンオフ作の物語が無くなったことにはならないのです。

 それを実現したその手段は、スタートレックがSFであるからこそできる実にアクロバティックな手段と言えるでしょう。

 

 

(※以下、本作の物語の根幹部分に関する文章があります)

 

 

 他の作品のリメイクでは不可能かもしれませんが、スタートレックいわゆるSF作品です。

 SF作品にはSFであるからこそ許されるアクロバティックなシナリオでのリメイク方法があるのです。

 それはつまりタイムトラベルの利用です。

 スタートレックはドラマでも劇場版でもちょいちょいタイムトラベルするので珍しいことではありません。

 

 しかしタイムトラベルwithリメイクとしたことで、本作は稀有なリメイク成功作となったのです(多分)!

 

 

 本作で、クリス・パイン演じるカーク達の前に登場する敵キャラは、ウィリアム・シャトナー演じるカーク船長達が生きた世界のおよそ100年後の未来の時代から、さる事情でタイムトラベルしてきた存在なのです。

 つまり本作以後のクリス・パイン主演のスタートレックは、ある人物のタイムトラベルによって、歴史が変えられた結果、分岐した世界の物語なのです。

 

 このシナリオ上手い所は、カーク誕生直前の時代に未来からタイムトラベルしてきたキャラがいた結果、未来の進んだ科学技術がこの世界の宇宙船技術にもたらされ、エンタープライズ号を始めとした宇宙船が、TOSの時よりもアップデートされていることです。

 TOSと同じ時代を描きながらも、TOSとまったく同じにする必要が無いのです。

 また、TOSから続くスタートレックの世界は普通に存続し続けているため、2022年現在も、本作のシリーズとは別に、TOSから続く世界を舞台にしたスタートレックのスピンオフ作が制作され続けているのです。

 

 2022年の今では、マルチバース云々などで、この手段の亜流ともいえる方法をとった作品が現れた気がしなくもありませんが、本作公開当時で、スタートレック規模の作品でこのリメイク戦術を敢行したのは、実に見事だったと筆者は思うのです!

 

 ‥‥‥まぁ成功したといっても、キャストが全員売れっ子になり過ぎたのか、ウィリアム・シャトナー演じるカーク船長のスタートレック劇場版ほど、続編が作られ続けては(まだ)いないんですけどね!!!

 

 

 

 

 

 ここでいつものトリビア!

 エンタープライズ号のクルーが働く宇宙船内部のシーンでは、実在するバドワイザの工場に色々セット類を持ち込むことで、CGでもセットでも表現できないような実在感ある映像を実現したそうな。

 

 

 

 

 ってなわけで『スタートレック(2009)』もし未見でしたらオススメですぜ!

 もしくは『TOS』か『スタートレック:ローワーデッキ』か『ギャラクシークエスト』を見るのがオススメですぜ!