映画観賞……それは〈中略〉……めっちゃコスパの良いエンタメ……。

 これは……〈中略〉……好きな映画について、いい加減な知識と思い出を元に‥‥‥いい加減な知識と思い出を元に!! ‥‥‥筆者の徒然なるままに書くコーナーである。

 

 

 

▼『映画を語れてと言われても』

 

 

 

 TODAY'S
 
第七十九回『スコット(カナダのボンクラ男)・ピルグリムVS.邪悪(で愉快)な元彼(&彼女)軍団!!!!!』



 タグ:コメディ 恋愛 アクション カナダ エドガーライト TVゲーム 音楽 バンド 格闘 チャンバラ ヒーロー

 




『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元彼軍団』

2010年公開

監督:エドガー・ライト

原作:ブライアン・リー・オマリー

出演:マイケル・セラ メアリー・エリザベス・ウィンステッド エレン・ウォン キーラン・カルキン アナ・ケンドリック ジェイソン・シュワルツマン クリス・エヴァンス ブリー・ラーソン 斉藤慶太 斉藤祥太 他

 

 

 

 

 

あらすじ

 ‥‥‥少し昔‥‥‥はるか遠い遠い遠い上に寒い国カナダにて‥‥‥‥‥‥。

 

 幼なじみ達と組んだ売れないバンド〈セックス・オブ・ボム〉のベース担当の青年スコット・ピルグリム(演:マイケル・セラ)22歳(無職、ゲイの友人宅に居候中)は、17歳の中華系カナダ人女子高生のナイブスとの交際を開始したことをバンドメンバーに打ち明けた。

 

 交際したといっても、デートして手を繋いだくらいの関係でしかなかったが、未成年とのそれは、当然バンドメンバーや居候中の友人や妹からボロクソに言われても仕方のない所業であった。

 それはスコットも重々自覚していたことであったが、ナイブスにベタ惚れされている為に、スコットは唯々諾々と彼女とのデートを続けていた。

 

 だがそんなある日、スコットはアメリカから越してきたアマゾン配達員の美女ラモーナと出会い、なんと一目ぼれしてしまう。

 ナイブスのことを頭から押しやり、ナイブスに内緒のまま猛烈アタックの末にラモーナと付き合うことに成功するスコット。

 しかし、ある日バンド対決に出場したスコットの前に、突然一人の男マシュー・パテルが乱入し、スコットに決闘を挑んでくる。

 

 なんと彼はラモーナの元彼の一人であり、何故かは分からないがラモーナと本気で付き合いたくば、マシュー・パテル他の彼女の七人の元カレ軍団を倒さねばならなかったのだ!

 

 

 はたしてスコット・ピルグリムは見事七人のラモーナの元カレを倒し、彼女の恋人となれるのか?

 ナイブスに別れを告げることはできるのか!?

 あとバンドの運命やいかに!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて第四シーズン最初の今回は、楽しい楽しい恋愛コメディ格闘アクション映画の傑作について語りたいと思います!

 

 本作は前々からここで語りたいと思っていた大好きな作品なのですが、気軽にここで語るには少々説明が難しくて躊躇っておりました。

 だって、どういう映画なのかとても説明が難しい映画なんですもん!

 そもそも恋愛コメディ格闘アクション映画とはなんぞや? ‥‥‥と自分で書いてて疑問に思うワードです。

 ですが、本作はジャンル付けをするならば、他に言いようもない気がする世にもユニークな内容の作品なのです。

 ひょっとしたら、未見の方はあらすじを読んで、本作が男と女の恋愛がらみのドロドロとした切った張ったのバイオレンスなケンカアクションをする映画と想像するかもしれません。

 が、その想像は半分だけあたりです。

 確かに本作は男女の惚れた晴れたのケンカアクションの話なのですが、その映像や受ける印象は、ドロドロとは程遠いポップでカラフルでライトな感じなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 監督は本コーナーでも紹介した『ショーン・オブ・ザ・デッド』の監督エドガー・ライト。

 独特なユーモアと映像と音楽センスで、恐ろしくテンポの良い映画を撮る監督でして、他には『ホット・ファズ:俺たちスーパーポリスメン(※ウィル・フェレルは出ない)』や『ベイビー・ドライバー』や『ラストナイトイン・ソーホー』などのヒット作を撮っています。

 本作ではホームグラウンドだったイギリスを離れ、遠く離れたカナダの地を舞台に、それまで主演で組んできたサイモン・ペッグとニック・フロスト無しでの作品制作に挑んでいます。

 

 

 原作はブライアン・リー・オマリーという人の書いたコミックで、本作内では途上人物が過去回想した時のイメージ映像として、原作コミックの絵柄が使われております。

 この映画がどれほど原作を踏襲しているのか筆者は知らないのですが、逆にどんな原作なのでしょう‥‥‥。

 というかどんな原作を実写化した本作のようになるのか‥‥‥少々謎です。

 

 

 

 主演はマイケル・セラという見事な程にヒョロリかつナヨナヨした草食系若手俳優。

 あまりメジャーとは言えない人ですが『スーパーバッド:童貞ウォーズ』や『JUNO/ジュノ』の出演でブレイクしたハリウッドを代表する〈三大ボンクラ草食系男子俳優〉が一人です。

 ちなみに後の二人はジェシー・アイゼンバーグ『ゾンビ・ランド』とジェイ・パルチェル『魔法使いの弟子』。

 一時はアーロン・テイラー・ジョンソン『キックアス』も在籍していたのですが、速攻でムキムキになって卒業してってしまいした。

 現在ポール・ダノ『スイス・アーミーマン』『リトル・ミス・サンシャイン』と、ビル・ヘダー『バス男』『俺達フィギュアスケーター』の加入が検討中ですが、いつの間にか全員おじさんになってしまいました‥‥‥。※筆者の世迷言です!

 

 本作でマイケル・セラは、その長身やせ型童顔のおろしい程のボンクラなビジュアルでありながら、凄まじいアクションを披露しつつ、どこか憎めず、何故かモテる主人公スコット・ピルグリムを見事に演じております。

 正直、二股男という人として大分サイテーなキャラを演じているにもかかわらず、見てて嫌いにならずに主人公としての共感さえ覚えられるのは、マイケル・セラという俳優が演じていたからに外なりません。

 

 

 

 

 共演は、問題の運命の女ラモーナ役に、『ダイ・ハード4.0』

でジョン・マクレーンの娘を演じた他、『遊星からの物体X』の前日譚映画の主演など、様々な映画で活躍しているメアリー・エリザベス・ウィンステッド。

 その他、スコット・ピルグリムが居候するゲイの男ったらしの部屋の主にキーラン・カルキン(マコーレー・カルキンの弟)。

 スコット・ピルグリムの妹に『ピッチ・パーフェクト』等の主演で知られるアナ・ケンドリック。

 問題のラモーナの元カレの一人に『スーパーマン:リターンズ』でスーパーマンを演じたブランドン・ラウス。

 別の元カレには、後にMCUの『キャプテンアメリカ』シリーズでキャプテンアメリカことスティーブロジャースを演じることになるクリス・エヴァンス!

 さらに別の元カレには、実写映画版『タッチ』などで主演し日本のた双子のタレント俳優の斉藤慶太と祥太。

 

 そしてスコット・ピルグリムの元彼女に、後にMCUで『キャプテン・マーベル』のキャプテン・マーベルことキャロル・ダンバースを演じ、映画『ルーム』でアカデミー主演女優賞を獲ることとなるブリー・ラーソン!

 ある事情で登場するヴィーガン警察のエージェント役に、『ミスト』や2004年版・マーベル映画『パニッシャー』でパニッシャーことフランク・キャッスルを演じたトーマス・ジェーン。

 

 ‥‥‥なんか過去未来のアメコミヒーロー率が高いキャスト陣です。

 まだMCUのヒーロー『キャプテン・アメリカ』『キャプテン・マーベル』としてブレイクする前の両キャストの演技が見れるのは、本作の見どころの一つでしょう。

 あと、なぜか斉藤慶太と祥太が元カレ役でキャスティングされています‥‥‥‥‥‥。

 その他、有名無名問わず、出てくる俳優がみな個性的なキャラを演じまくっており、飽きる暇がありません。

 

 

 

 

 

 ‥‥‥とまぁ、非常に曲者な監督スタッフキャストでお送りする本作ですが、その内容も唯一無二となっております。

 前述したように、本作は男女の惚れた晴れたを決闘という名目のケンカで決着をつけようという野蛮な内容でもあるのですが、その観賞時の印象は非常にライトでポップでカラフルになっております。

 

 それはエドガー・ライト監督のユーモアセンスによって恋愛面のドロドロが減じられてることや、原作の面白さもあるのでしょうがそれだけではありません。

 ‥‥‥というのも本作の映像は、バトルシーンはもちろん、その他のほぼ全てのシーンにおいて、何がしかの特殊な効果が撮影方法やVFXや編集テクによって行われ、おそらく原作再現であろうTVゲームやマンガ的な表現を実写でバカ正直に実現させているのです。

 その結果、映像から格闘アクションによるバイオレンスな要素は消え、面白さだけが残されているのです。

 それこそが本作の一番の売りと言って良いでしょう。

 

 

 

 例えば‥‥‥殴る蹴るするカットでは、マンガの集中線のようなラインと共に、効果音がマンガのコマのオノマトペそのままで映されます。

 ジャンプすればワイヤーアクションとグリーンスクリーン撮影の効果で何メートルも飛び上がり、終いにはスタンドバトルじみたバンドバトルへと発展します。

 殴られ蹴られても、痛がりますけど怪我はしません。

 ですが倒した相手は無数のコインとなってスコット・ピルグリムの懐に入ります。

 ‥‥‥というのも、本作は、バトルシーンはもちろん、全編にわたりいわゆるコミックでアニメでTVゲームな映像を実写再現したテイストで描写されているからです。

 

 

 

 ここで、当然疑問に思うべきことなのですが、本作のそのTVゲーム的な映像表現はいったいどういう設定で描かれたものなのでしょう?

 

 実は本作がTVゲームの世界だったのか?

 全てはスコット・ピルグリムの想像で、スコットにしか見えていない光景なのか?

 劇中劇だったのか?

 

 残念ながら作中にそこいらへんの説明は特にありません。

 スコット・ピルグリムの想像世界というのが、一番答えに近い気もしますが、それならばそれに付き合って上げてるスコット・ピルグリムの周辺の人々は付き合い良すぎです。

 でも、本作はその部分にイチイチ拘泥するような作品ではないのです。

 

 深い事考えずに見たままを楽しめば良いのです。

 というか深い事考える間もなく、怒涛の勢いで次から次へと元カレが現れてはバトルがはじまるのです。

 それが出来てしまうところがエドガー・ライト監督の凄さなのかもしれません。

 

 

 

 ちなみに、筆者が本作で気に入っているシーンはクリス・エヴァンス演じる映画スターの元カレの登場シーンです。

 事前に撒かれた伏線を見事に回収した素晴らしいボケです(アクション関係無い……)。

 どうか未見の方は是非その目でご確認ください。

 

 

 

 

 ‥‥‥と、そんな筆者の大好きな本作ですが、公開時の興収は振るわなかったようです。

 というか大赤字になっちゃったようです。

 出演陣が(当時は)スター俳優では無かったという理由もあったかもしれませんが、最大の理由は、収益に大して制作費がかかり過ぎたことが原因dと推測します。

 ‥‥‥だってごく普通に撮影して特殊な効果も無いカットを数えた方が早いくらい、最初から最後まで凝った映像の連続なんですもん!

 そら金もかかりますって!

 

 

 

 

 

 と、ここでいつものトリビア。

 本作終ラストでは、スコット・ピルグリムとラモーナとナイブスの恋の三角関係に一応の決着がつきます。

 ですが、万人が納得できる答えだったかというと、疑問が残るところ‥‥‥。

 それは撮影時のスタッフ陣も感じていたことだったようで、本作のBDには、特典として公開版に採用されなかったもう一つのエンディング収録されております。

 向こうの映画って、撮影時に色んなバージョンを撮っておくもんなんですねぇ!

 

 

 ‥‥‥ってなわけで『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元彼軍団』もし未見でしたらオススメですぜ!!