映画観賞……それは〈中略〉……めっちゃコスパの良いエンタメ……。

 これは……〈中略〉……映画について、いい加減な知識と思い出を元に徒然なるままに書くコーナーである。

 

 

 

▼『映画を語れてと言われても』

 

 

 

 
 

 TODAY'S
 
第四十四回『重力子放射線射出装置! 重力子放射線射出装置! 重力子放射線射出装置! 重力子放射線射出装置照射中! “BLAME!”』

 


 

 

 

『BLAME!』

 タグ:SF フルCGアニメ 遠未来 西部劇 アクション ヒーロー ポストアポカリプス アンドロイド 風来坊 サイボーグ マンガ原作 巨大建造物

 

2017年公開

監督:瀬下寛之

原作:二瓶勉

声の出演:櫻井孝宏 雨宮天 花澤香菜 山路和弘 宮野真守 早見沙織 他

 

 

 

 あらすじ

 はるか未来‥‥‥‥‥‥ある日突然“汚染”が広まったことにより“都市”への命令権を失った人類は、都市の防御機構であるセーフガードに不法居住者と見なされ、駆除系と呼ばれる戦闘ロボットによる駆除の対象となった。

 辛うじて生き延びた人類は、自動機械群により無秩序・無制限に増築が続けられてゆく広大極まる階層都市のあちこちで、駆除系に怯えながらひっそりと暮らしていた。

 

 ある日、広大な都市のあちらこちらで、有用な物資を探索し回収をすることを生業とする人類の生き残り“電基漁師”の少女“ヅル(演:雨宮天)”は、同年代の仲間達と共に、食料不足に窮する故郷の村の為に、都市のそこかしこに存在するセーフガードの監視塔の目を潜り抜けながら、食料の流れるパイプを目指す旅に出たものの、すでにパイプは枯れており、さらにセーフガードに発見され、監視塔によって瞬時に生成された駆除系の群に襲われてしまう。

 

 

 次々と仲間達が駆除系に殺されてゆくなか、ヅル達は間一髪のところで、異常に強力なピストル“重力子放射線射出装置”を持つ謎の男“霧亥(キリイ)(演:櫻井孝宏)”に救われる。

 彼は都市へのアクセスを可能にする“ネット端末遺伝子”を有する人間を探してはるか下の階層から旅をしてきたのだという。

 残念ながらヅル達の遺伝子にはネット端末遺伝子はなく、あるいは村に帰れば村民の中にネット端末遺伝子を持つものがいるかもしれないと、ヅルは命を救われた礼を兼ね、霧亥を村へと招くくことにする。

 

 

 ヅル達が住まう村は、数世代前に謎の結界が張られていることから人が住み始めた都市の一画であった。

 しかし、食料の調達が出来ず、遠からず飢餓による滅びの時を待つだけの存在であった。

 招かれるままに訪れた霧亥は、そんな村民に持っていた圧縮携帯食を分け与え、ネット端末遺伝子の有無を確認するが、やはり誰も該当する者はいなかった。

 しかし村の代表者であり、電基漁師の頭領である“おやっさん(演:山路和弘)”が、村の底で『ネット端末遺伝子』といささやく声を聞いたことがあることを思い出す。

 早速そこへ向かう霧亥達。

 “クサレホコラ”と村民に呼ばれ恐れられていたその場所のガレキを霧亥が掘り返すと、そこには一人のボロボロの女性サイボーグが埋まっていた。

 “シボ(演:花澤香菜)”と名のったその女性は、数百年前、都市への再アクセスを試みた科学者団の一人であり、かつて村の底で仲間と共に疑似ネット端末遺伝遺伝子である擬装端末を制作し、それを用いてネットへのアクセスが可能なこの地に結界を張り、都市へのアクセスを試みたものの失敗し、反撃にあった結果、長い間村の底に埋まっていたのだという。

 

 だが、村から数日の場所にある“自動工場”へ行き、再び偽造端末を製造して、ネットへのアクセスポートのある村の底で再アクセスを試みれば、前回の失敗を踏まえて今度こそ都市へのアクセスを成功させられるという。

 そしてもしも都市へのアクセスが成功したならば、村民達はもちろん、都市に住まう全ての生存者を正当な都市の居住者として、セーフガードの駆除対象から外し、もう命の危険に怯えずに生きることが可能となるはずであった‥‥‥。

 

 さっそく自動工場へと向かわんとする霧亥とシボに、ヅルやおやっさん達電基漁師達は、その自動工場では食料も生産出来ると聞き、この行き詰った状況を打破すべく、共にその自動工場への旅を共にすることを決める。

 

 かくして自動工場へと向かう霧亥達。

 だが、なんとかセーフガードの監視の目に捕まらずに目的地へとたどりついたものの、その自動工場で新たな擬装端末の製造を行った瞬間、とうとうセーフガードに発見され、無数の駆除系が霧亥達に襲い掛かる。

 

 はたして霧亥達と村民と人類の運命は!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回は日本製フルCGアニメーションSFアクション映画『BLAME!』を語りたいと思います!

 

 本作は本作とほぼ同じスタッフ陣でTVアニメ化・映画化された『シドニアの騎士』などの原作で有名な、二瓶勉作品のマンガ『BLAME!』を劇場用に物語を再構築して2時間で楽しめるように作られた作品です。

 ちなみに『BLAME』とは、アメコミなどのSFマンガで、光線銃を発砲した際のオノマトペだそうです。

 筆者は『シドニアの騎士』のマンガの方のファンであり、その繋がりから本作を見るに至ったわけなのですが‥‥‥。

 

 あらすじを読んでいただいた段階でもかなりご理解してもらえると思うのですが‥‥‥本作はかなり濃厚なSF話です。

 あらすじ段階でも書かないわけにはいかない耳慣れない造語の数

々! これぞSF!

 ‥‥‥ですがご安心を。

 造語が漢字表記なので、読んだだけでおよその意味が分かるということもありますが、本作ではその映像や物語展開そのもので分かりやすく描いているので、SFが苦手という人でも楽しめる‥‥‥はず‥‥‥多分!

 例えば、自動工場はデカくて凄い3Dプリンターであることが、作中の描写で分かります。

 

 

 SFとはなにか? を語り出したら切りが無いのですが、本作はともかく、あまり見たことも聞いたことも無いタイプのSFのマンガを、実に分かりやすくエンタメ化して映画にした作品であることが、オススメポイントなのだと思います。

 

 

 

 まず世界観が唯一無二と言って良いレベルでユニークです。

 人の制御を離れた自動機械群が作りあげた、際限なく広大な階層都市が舞台なわけですから、物語に映る背景は全て人工建築物で占められています。

 木々や海や川はもちろん、青空も夜空も映りはしません。

 ただひたすら、目的もなにもなく建造された建築物が映っています。

 それらは都市とは呼ばれていますが、人間の要求や命令を無視して建てられたものであるため、人間が利用する為の店舗や宿泊施設や遊興施設の類は一切ありません。

 辛うじて階段がないこともありません。

 エレベーターは存在しますが、下手に乗ると、人を駆除対象とみなす保安機構セーフガードに見つかって、駆除系と呼ばれる怖い手足の長い操り人形えいたロボットに殺されます。

 駆除系は監視塔という都市のあちこちにそびえる塔、駆除対象を発見すると、瞬時に今でいう3Dプリンタの凄い奴みたいな感じでその付近に多数生成されるので始末に終えません。

 

 そんな『BLAME!』は、そんな世界を救うべく、ネット端末遺伝子を有する人間を探して旅する男・霧亥の物語であり、彼の持つとんでもない威力のピストル・重力子放射線射出装置が彼の必殺武器なわけです。

 

 『重力子放射線射出装置』とセリフで言わねばならない声優さんは大変です‥‥‥。

 

 原作の『BLAME!』全10巻は、これらの設定だけでなく、珪素生物やら規定現実やら新勢力やら新キャラがわんさかと現れてさらに壮大な物語となっており、一朝一夕には全貌を理解することなどとうてい出来ないお話なのですが、本作は映画として楽しむために、極めて分かりやすく原作のエピソードを取捨選択してまとめており、一級のエンターテイメントとなっています。

 

 では映画版スタッフ陣は、いかにしてこの壮大な物を映画規格に落としこんだのか? と言えば、それは西部劇スタイルを参考にしたのだからといいます。

 西部劇といっても、凄腕のガンマンが、ふらりと田舎の町に現れて、そこで町人を困らせている陰謀やら悪人やらをやっつけて、そして町を去っていく‥‥‥というパターンのヤツです。

 クリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』的なのですね。

 日本で言えば時代劇映画の黒沢明監督の『用心棒』『椿三十郎』や、勝新太郎主演の『座頭市』みたいな感じと言えばいいでしょうか?

 本作は原作の様々な要素の中から、重力子放射線射出装置を持った男・霧亥が、ふらりと人の住む場所に現れては、彼らを救って去っていく部分にフォーカスすることで、映画として楽しめる作品になるよう試みたのだそうです。

 

 筆者は家にいて暇な時間があって、ふと取り立てて見たい映画が思いつかない時に、本作のBDを何度も見ています。

 続編ものでもなく、予備知識も必要とせず、本作一本でちょうど物語が完結し、ハラハラドキドキできる実に丁度いい映画なのです。

 早く映画第二作も見たいんですけどね!!

 

 

 

 

 

 ここでいつものトリビア。

 二瓶勉作品ファンなら知ってて当然の知識だけれど、この『BLAME!』の世界内の殆どの機械類は“東亜重工”なる企業が生み出している設定。

 この東亜重工は他の二瓶勉作品にも登場し、良きにつけ悪きにつけなんか凄いものを作っている。

 そして定かではないけれど、その東亜重工は『風の谷のナウシカ』原作にて巨神兵を作った企業名が元ネタ‥‥‥らしいですぜ!

 

 

 

 

 ‥‥‥ってなわけで『BLAME!』もし未見でしたらオススメですぜ!!