皆さま新年あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします!

それでは新年一発目の…… 

 

 映画観賞……それは〈中略〉……めっちゃコスパの良いエンタメ……。

 これは……〈中略〉……映画について、いい加減な知識と思い出を元に徒然なるままに書くコーナーである。

 

 

 

▼『映画を語れてと言われても』

 

 

 

 

 TODAY'S
 
第三十四回『“ロボコン” 燃える方のロボコンでは無いけれど‥‥‥』


 

 

『ロボコン』

 タグ:ロボットコンテスト 競技 スポコン 高専 青春 チームワーク 理系 長澤まさみ

 

2003年公開

監督:古厩智之

脚本:古厩智之

出演:長澤まさみ 小栗旬 伊藤淳史 塚本高史 荒川良々 鈴木一真 他

 

 

 

 

 あらすじ

 山口県のとある工業高専に通う女子生徒里美(演:長澤まさみ)は、高専に入学したはいいものの、打ち込めるものが見つからずに成績お落ち込み、ロボット部の顧問を務める教師に居残り授業を言い渡されるが、ロボット部に入りロボコンに出場することを条件に辛くも居残りを逃れる。

 

 ロボコンとは、二つのチームがそれぞれハンドメイドで製作し操縦する遠隔操作ロボットを用いて、一対一で出された課題をクリアすることを競う競技の大会である。

 

 しかしなぜかこの高専には、そのロボコンに参加するはロボット部が二つ存在していた。

 一つは豪原部長(演:荒川良々)率いるエリート生徒が絶対のヒエラルキーの元、まるで軍隊かのような厳しい規律でロボコンに挑む第一ロボット部。

 だが幸いにも里美が顧問に放り込まれたのはそこでは無かった。

 彼女が参加させられたのは、ロボコンに関する知識は豊富だが統率力が欠け作戦担当のる四谷部長(演:伊藤淳史)、天才だが他人の感情がまったく理解できない設計担当の航一(演:小栗旬)、製造担当で工作スキルはピカイチだが、チャラ男で忍耐力の無い竹内(演:塚本高史)の三人(プラス里美)しかいない、落ちこぼれの吹き溜まり第二ロボット部であった。

 仲も悪くロボコンに対する熱意も見えない三人の男子部員に、モヤモヤしたものを感じるも言葉にできない里美は、わけもわからぬまま、三人の第二ロボット部員が作ったYAT13号で、その年のロボットコンテストの予選に操縦担当として参加することとなる。

 だが当然のごとく素人の操縦で勝てるはずも無く、第二ロボット部は惨敗し、その年のロボコンは終わるはずであった。

 だが、なんとYAT13号のユニークな機構が大会審査員に評価され、特別枠での本戦出場が決まってしまった。

 

 否応もなくロボコン本戦へむけての準備を始めねばならなくなった第二ロボット部の面々。

 彼女と彼らは、時にぶつかり合いながら、ロボを改良し、操縦の腕を磨き、戦術を練り、大会本戦に挑むのであった。

 はたしてその戦いの行方は?

 

 

 

 

 

 

 

 今回は現代を舞台とした邦画の個人的大傑作『ロボコン』を語りたいと思います!!

 

 以前ここで紹介した『ガールズ&パンツァー劇場版』などがそうであるように、いわゆる女子高生部活モノは、今も昔も多々作られ続けており、本作はそんな女子高生(正確には高専生)にロボコンに挑戦させてみよう! という試みで企画された作品と思われます。

 

 

 とその前に、まずロボコンことロボットコンテストについて今一度説明しますと、実際に日本はもちろん世界各地で行われている催しで、最初はNHKが主催放送した『アイディア対決ロボットコンテスト』として、もう30年近い歴史ある大会なのです。

 毎回毎回、まったく違うルールの競技に対し、寸法と重量を決められたロボットを、高専生がアルミ材やモーターやギアーやらタイヤやらを組み立てて作くり、できあがったものはどれも個性豊かであり、その戦いは見ていて飽きることはありません。

 

 本作では、ステージ上に設置された三つの円柱状の台に対し、青と赤のそれぞれのチーム色に割り振られ、スタート地点に積み上げられた段ボールを、遠隔操縦されるロボットによって、いかに多く高く積み上げるかを競うルールで行われております。

 台の上に先に敵チームが段ボールを置いても、さらにその上に自チームの色の段ボールを置くことができれば自得点となり、それを阻止する為にはより高く、いくつもの段ボールを高く高く積み上げる性能がロボットには求められます。

 また、ロボットで敵ロボへの攻撃や、先に置かれた段ボールを叩き落とすことは禁じられています。

 文章で伝えるには限界がありますが、ともかくロボットの性能だけでなく、操縦技術と戦術性の全てが必要とされる実に面白いルールでの大会だったのです。

 

 

 

 

 

 

 そんなロボコンに突然挑むことになる主演の長澤まさみといえば、『世界の中心で愛を叫ぶ』でブレイクした女優さんですが、同時期に公開された本作も、『セカチュウ』と同等かそれ以上の傑作だと筆者は思っているのです。

 

 

 多くの人間が若かりし頃に経験したであろう……何事にもダルさを感じつもつ、それでいて何かをやらねばというモヤモヤした時期の主人公を、彼女はおそろしく自然体で演じ切っております。

 

 そんな主人公が、いわゆる落ちこぼれ組である第二ロボット部に加わることで生じた化学反応が、やがて四人のロボット部員に奇跡を起こすのです。

 

 とはいえ、一癖も二癖もある第二ロボットの男子部員三人とそう簡単にチームワークが築き上げられるわけではありません。

 

 

 本作の良いところは、そういった部員一人一人の欠点の克服や、ロボットそれ自体の改良、対戦チームのアッと驚く戦術への対抗策などなど……数々の問題点やハードルを乗り越える過程を、恐ろしく丁寧かつスマートに、納得がいくように描ききっているところなのです。

 これは脚本も書いた古厩智之監督の手腕だと思います。

 

 

 好きなシーンをあげれば切りが無いですが‥‥‥例えば組んだロボとの段ボールを持ち上げる機能が、重すぎて動かないと判明した時に、第二ロボット部は顧問の計らいでとある旅館の手伝いをしながら合宿をして、ロボコンへの準備をすることになるのですが、その合宿での旅館の手伝いの中で、人付き合いの苦手な航一(演・小栗旬)が接客の中で自分に思い上がりと限界に気づき、初めて人にアイディアを求め、その問題解決策を導き出したのが、誰からも顧みられない部長(伊藤淳史)であったりするわけです。

 

 

 また、最初は何事にも無気力だった里美が、いやいやながらもロボコンの予選に出場した際に、他のチームが顧問が差し入れてきたラーメンを、わいのわいの言いながら仲良く啜っている姿を見て、猛烈に憧れを感じ奮起するところも名シーンです。

 

 

 

 そして物語はロボコン本戦の激闘へとなだれ込んで行くのですが‥‥‥、公開時の筆者の個人的精神状態もあって、えらく感動したのを覚えています。

 第二ロボコンがクライマックスで立ち向かうのは、部員数も規模も費やした時間も予算も第二ロボ部を大きく上回る相手です。

 あらゆるスポ根モノや大会モノで言えることですが、個人であれチームであれ、基本的に強さとは、これまで費やしてきた時間と努力の量に比例します。

 逆に考えて、昨日今日その競技を始めた人間が、ほいほいベテラン勢に勝ってしまっては、世の理が崩壊するというものでしょう…………そんなことを感じながら見ていた時期だったのです。

 しかしながら費やしてきた努力と時間が自動的に強さと結果になることは、世の多くの人々にとっては、あまり嬉しい法則ではないかもしれません。

 誰もが自分に努力して打ち込みたいと思うことに、若かく幼くして気づくことができるわけでもなく、10代になっても20代になってもまだ気づけずにいる場合が多々あるからです。

 そういった人間が大分後になってから、努力しても、そのずっと前から努力してきた人には、その努力の総量では勝てるはずもありません。

 そういった人々は努力しても、先に努力をはじめていた人間には叶わない‥‥‥と諦めるべきなのでしょうか?

 

 否…………だ!

 

 ‥‥‥と筆者はこの映画を見て勝手にそう感じてしまったのです。

 確かに努力は重要なファクターですが、全てではない、運や才能や‥‥‥何よりも諦めないことがまず大事なのだと勝手に感じたのです。

 幼い時から死ぬほど努力してきた人間にとっては不条理かもしれませんが、その不条理が世の中を面白くして、けっこうな人々の救いになっているのではないか? などと思ったのです。

 そう思えたことが、本作を好きな最大の理由であり、筆者が得た価値なのです。

 ‥‥‥‥‥‥あくまで個人的にですけどね!!

 

 

 

 

 

 ここでいつものトリビア。

 最終決戦で勝敗がつくギミックが、実際には不可能なことが撮影直前で判明し、撮影現場にいたスタッフ、キャス、モノホンのロボコン出場者の皆で知恵を絞って捻り出した………らしいよ??

 

 

 

 

 ‥‥‥ってなわけで『ロボコン』もし未見でしたらオススメですぜ!