映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるという、めっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍以後の現代社会において、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。





▼『映画を語れてと言われても』



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第二三九回『クリスマス・イブでは遅すぎる‥‥しかしパパは!“ジングル・オール・ザ・ウェイ”』


 



 
『ジングル・オール・ザ・ウェイ』
1996年公開
監督:ブライアン・レヴァント
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー ジェイク・ロイド リタ・ウィルソン シンバッド ジェームズ・ベルーシ


 あらすじ

 20世紀末のクリスマス・イブ前日のアメリカ‥‥‥。
 スポーツ器具販売会社の敏腕社長ハワード(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)は家族思いではあったが仕事人間が過ぎたあまり、8歳の息子ジェイミー(演:ジェイク・ロイド)の空手の発表会に大遅刻してしまう。
 この手のすっぽかしが初めてでは無かった為、ジェイミーを大いに落胆させてしまったハワードは、クリスマス・プレゼントに彼の望むモノを購入することでご機嫌をとろうとする。

 しかしてジェイミーが望んだクリスマス・プレゼントは、今巷で大々大人気の特撮ヒーロー『ターボマン』の大型トイフィギュアであった。
 ジェイミーを喜ばせたい一心で、その願いを安請け合いするハワード。
 しかし、妻リズ(演:リタ・ウィルソン)にそのことを話したところ、件のターボマン人形は大々人気商品であり、今から購入するのはとても難しいと言われてしまう。
 実はすでに買ってあるんだと胡麻化したハワードは、翌日のクリスマス・イブの日、家族で見に行く予定だった、ターボマンも登場するクリスマスの仮想パレードイベントまでに戻ると約束し、一人大慌てでターボマン人形購入の為、街に駆け出すのであった。

 しかし、ハワードが向かった玩具取扱店は、ハワードと同じようにターボマン人形を購入せんとする客でごった返しており、またどこの取り扱い店でも、もうターボマン人形はほぼ残っていなかった。


 ハワードは行く先々で、ハワードと同じように息子へのプレゼントとしてターボマン人形を探し求める郵便配達員の男マイロン(演:シンバッド)と出会い、時にチャンスを賭けてド突きあいの奪い合いをしながら、一縷の望みをかけ、時に非合法な手段でターボマン人形を探し求め続ける。

 はたして、ハワードは無事、息子にターボマン人形をプレゼントすることができるのであろうか!?









 さて、本文章執筆現在である2025年12月末も、とうとうクリスマスとなってしまいました!
 みなさまメリークリスマス!

 今さらですが、みなさまは今年のクリスマス、いったい何の映画を見ましたか?
 『ダイ・ハード』? 『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』? 『東京ゴッドファーザーズ』? それとも『エルフ』?

 (‥‥‥え? 特にクリスマスの映画を見る習慣はない?)

 本コーナーでも再三言って来ましたが、世に数多のクリスマス映画があり、またその中に多くの名作が存在します‥‥‥。
 その中で今回筆者が選んだのがこれ、『ジングル・オール・ザ・ウェイ』なわけです!!



 監督はブライアン・レヴァントってお方。
 実写映画版『フリントストーン:モダン石器時代』や『スノードッグ』『ベートーベン』など、1980年代末から90年代にかけて、多くの秀作コメディ映画を量産してきたコメディ映画監督です。 本作でも、恐ろしいテンポ感で誰でも笑える普遍的と言えば聞こえが言いがベッタベタのお笑いパートを、今見るとちょっと笑えないブラックジョークを交えながら、軽快に突っ走ってくれえおります。



 そして主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。
 本コーナーで言えば『トゥルーライズ』や『プレデター』などで主演した他、『コマンドー』や『ターミネーター』『キンダーガードンコップ』などなど宇宙人やらテロリストやら未来殺人ロボやら幼稚園児やら、数々の強敵と戦ってきた90年代前後のハリウッドを代表する筋肉モリモリマッチョマンのスター俳優です。
 そんな彼が、今回対戦相手に選んだのが、息子の心とクリスマス商戦ってなわけなのです。


 そのシュワちゃんの幼き息子を演じるのはジェイク・ロイド。
 後に本コーナー第二回『スターウォーズ:ファントムメナス』で活躍する幼い頃のアナキン・スカイウォーカーを演じる子役です。


 そしてシュワちゃん演じる主人公の奥さんのリズ役にリタ・ウィルソン。
 90年代の色んな映画に脇役で出てる女優さんで、後にトム・ハンクスの妻となり、彼の映画のプロデューサーをやったりするお方です。

 

 そして本作のMVPたる主人公ハワードのターボマン人形争奪戦のライバルとも言えるキャラ、郵便配達員のマイロンを演じるのは、シンバッドってお方。
 筆者はもちろん、日本ではまったく知名度の無い人ですが、当時のアメリカでは冠番組が放送される程の人気コメディアンだそうです。
 本作の面白さの3割くらいは、彼演じるマイロンの、今ではちょっとコンプラが許しそうにないブラックなマシンガントークと、無茶な行動な気がします。


 またゲストキャラとして、シュワちゃんがアメリカにやってきた旧ソの警察官を演じる刑事アクション映画『レッドブル』で、シュワちゃんの相棒を演じたジェームズ・ベルーシが、短い時間でインパクトドライバーある役で登場しております。




 そんな本作、公開当時はそこそこにヒットし、クリスマスの度に今に至るまで語られるほどの評価を得ております。
 筆者も公開当時に映画館へ見にいき、大いにクリスマス気分を楽しんだものです。

 正直、本作は世にあるクリスマス映画の中でもトップクラスのクリスマス作品だと思います。
 
 それほどまでに、クリスマス魂に満ち溢れた作品だからです。




 ところで、クリスマス毎に言っておりますが、あらゆる映画、物語において、問答無用で“奇跡”が起きても良いシチュエーションが二つだけあります。

 一つは死にゆく母親がわが子の無事を願った時、例『ハリーポッター』など。

 もう一つはクリスマスの時です!
 それが何故かは考え出すと長くなってしまいますが、ともあれクリスマスのひとときだけは、普段ならばそれはありえんだろ‥‥‥となるご都合な奇跡が起きても許せる気がするのです。



 そして筆者が言うクリスマス魂に溢れた‥‥‥とは、このクリスマス故におきることが許された奇跡を、いかにあらゆるシチュエーションや演出や物語の中で見せてくれたか? ということなのです!

 本作の場合は、シュワちゃんが愛する我が子に、彼が望む超激レアなプレゼントを、無事入手して与えられるか? ってな話です。

 本作はこのプロットの段階でも充分に面白い気がします。
 人気過ぎて購入困難なプレゼントを買い求める‥‥‥という状況は、転売問題などが発生してる2025年となった今でも充分理解できますしね!

 しかも、主人公のパパを演じるのがあのシュワちゃんです。
 スポーツ器具販売会社の敏腕社長という設定で、辛うじてビジュアル的な言い訳をしていますが、普通にそんな普通のパパがいるもんけ!! 案件です!
 しかし本作はその普通のパパを演じるシュワちゃんのミスマッチさ加減が良いのです。
 普通のパパのフリをして、ムキムキマsッチョマンのシュワちゃんが、プレゼントを求めて邪魔ものを蹴散らしながら殺到するショッピングモールの買い物客の中に突入する姿は、それだけで面白いのです。
 




 しかも、シュワちゃんが息子が欲しがるターボマン人形購入の為のルートは、ただ取扱店に行って購入するというパターンだけではありません。
 今は転売ヤーなどが問題になっていますが、当時は当時で非合法なルートでの高額トイの入手ルートがあったり、ラジオやらイベントやらのプレゼント企画があったり等で、シュワちゃんを東奔西走させるのです。





 ちなみの筆者が好きなのは、腐れ縁のごとくシュワちゃんの行く先々で出会う郵便配達員のマイロンが、郵便局には毎日○○が届けられてるんだ~! とぶっちゃける問題発言のシーン。
 今のご時世では洒落にならないじ冗談を、まるっとギャグで済ましてて良いのです。
 果たして郵便局には何が送らて来ているのか? 本作未見の方はどうかその目でご確認下さい!



 ‥‥‥とはいえ、本作がシュワちゃんが苦労してターボマン人形を購入し、息子にプレゼントするだけの映画でしたら、筆者は本コーナーでは扱わなかったでしょう。
 本作のキモは、そのカナタ‥‥‥シュワちゃんが八方手を尽くしてもターボマン人形を手に入れられなかった先にあるのです。
 それこそ正に、クリスマスの奇跡!
 逆に言えばクリスマス以外でこんな展開になったら、そんなんありえるか~い! ‥‥‥となった展開です。
 ‥‥‥が、だからこそ良いのです!
 その奇跡を全力で映像化したシュワちゃんと監督とスタッフ・キャスト陣には脱帽です!
 いや、いかにクリスマスといえど、奇跡も大概にせ~や! というトンデモ展開なんですけどね!
 しかし、その物語の果てに、と~ってもクリスマススピリット溢れる結末が待っていてホッコリするのです。
 果たしてどんな結末がシュワちゃんと息子とマイロンに待っているのか? 本作未見の方はどうかその目でご確認下さい!




 さてここでいつものトリビア!

 でも監督のブライアン・レヴァントは公開年のラジー賞に最低監督部門でノミネートしちゃった‥‥‥。
 実はこの映画にはキャスト・スタッフを一新したパート2が存在する。


 ‥‥‥ってなわけで『ジングル・オール・ザ・ウェイ』もし未見でしたら来年のクリスマスまでに見るのがオススメですぜ!!






 映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるという、めっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍以後の現代社会において、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。





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第二三八回『落とし物を見つけても……決して触ってはいけない場合“アンドロメダ…”』


 タグ:病原菌 宇宙生物 汚染 伝染病 検疫 隔離 研究施設 防疫 SF サスペンス アクション




 
『アンドロメダ…』
1971年公開
監督:ロバート・ワイズ
原作:マイケル・クライトン著『アンドロメダ病原体』
出演:アーサー・ヒル デヴィッド・ウェイン ジェームズ・オルソン ケイト・レイド



 あらすじ

 米ソ冷戦のただ中の1970年代……アメリカはニューメキシコ州の小さな村ピードモンドのそばに、アメリカ製の人工衛星スクープ7号が落下した。
 ただちに現地に向かった米軍の回収チームは、その人工衛星がピードモンドの人間によって先に発見され、村内に持ち運ばれたのを確認し、直ちに村内に向かう。
 しかしそこで回収チームを待っていたのは、おびただしい数の村民の死体であった。


 その報告を最後に、回収チームからの無線連絡が途絶えたことから、米軍はピードモンドが人工衛星が原因の何らかの極めて致死性の高いパンデミックが発生したと判断。
 米軍は、そういった事態を予期し、あらかじめ組織していた対有害宇宙微生物対策室・ワイルドファイア・チームのメンバーへの招集をかける。


 ワイルドファイア計画の立案者にして、ノーベル賞受賞歴もある細菌学の権威、ジェレミー・ストーン博士。
 優秀な外科医のマーク・ホール医師。
 病理学者のチャールズ・バートン博士。 
 唯一の女性メンバーで臨床微生物学者のルース・レヴィット博士。

 ……招集された彼ら四人の内、リーダーのストーン博士とホール医師は、まずヘリでピートモンドへ向かい、気密服を着て村内に降り立つと、亡くなっていた米軍の回収チーム含む無数の死体を見分し、彼らの血が瞬時に凝固して死亡していたことを確認し、そんな死体が転がる中、問題の人工衛星の回収を試みる。
 そして無事人工衛星を回収し、ヘリに乗り村を去ろうとしたその時、生後間もない赤ん坊と、酩酊状態の老人男性の生存者2名を発見する。




 直ちに生存者二名と共に人工衛星を回収したワイルドファイアのメンバー四人は、今回の事件の謎を解くべく、ネヴァダ砂漠のど真ん中に極秘裏に建設された地下5階の最先端ハイテク研究施設、ワイルドファイア研究所にて、数々のハイテク機材を駆使し、この『アンドロメダ』と命名された未知の病原体の謎を解かんとするのであった。

 しかしそこは、万が一、危険な微生物の漏出事故が発生した場合に備え、核爆弾による自動自爆装置が備えられた施設でもあった。



 はたしてワイルドファイアのメンバーは、この事件の謎を解き、パンデミックを無事解決出来るのであろうか!?
 なぜ赤ん坊と老人だけが生存していたのであろうか!?








 さて今回は、宇宙より飛来せし未知の病原菌と人類との戦いを描いた、1970年代の名作SFシミュレーション映画について語りたいと思います!




 監督はロバート・ワイズってお方。
 『サウンドオブミュージック』や『ウェスト・サイド物語』等の名作の他、物凄い数の映画を監督した本作公開当時の巨匠映画監督です。
 あと記念すべき劇場版『スタートレック』の第一作(なぜか本コーナーでは語ってませんが)『Star Trek: The Motion Picture』を撮った人でもあります。
 その監督としての個性は、ともかく壮大な雰囲気の作品を撮るところな気がします。



 そして原作者はマイケル・クライトン。
 本コーナーで言えば『ジュラシックパーク』と『ツイスター』の原作者だった他、海外医療ドラマ『ER緊急救命室』や、『未来警察』『ウェストワールド』『13ウォリアーズ』『タイムライン』『スフィア』など、数々の映画の原作を書いて(時々その監督までして)きたお方。
 その著作の特徴は、綿密なリサーチの上で描かれるSF的シミュレーションだと思います(SF以外もありますが)。

 そんな彼が、1969年に書いた『アンドロメダ病原体』を、当時の映画業界が全力で映画化したのが本作のキモなのです。



 そして本作の出演者は!?
 残念ながら本作は、エンタメ性よりもSF的なシミュレーション要素を優先したのか、大変にクレバーな……言い方を変えれば少々
かなりとっても華の無いキャスティングでして……。
 なにしろメインキャラたる四人の博士は、特にイケてはいない、おじさん、おっさん、おじいさん、おばさん……なのですから。
 ……つまり、本作の公開時期もあいまって筆者のまったく知らないキャストの方々だったのです。

 逆に言えば、本作はそれだけキャストのネームバリューに一切頼る気が無い、内容だけで勝負に挑んだストロングスタイルの映画ということなのです!!




 そんな本作……長いことSFやSF映画のファンをしていたならば、見たことは無くともタイトルくらいは知っている一本として、筆者も存在は知ってはいても、近年たまたま放送されていたのを見るまでは未見だった一本でした。
 そして見た結果!
 ……おもしれ~……と思ったのはもちろんですが、同じ以上にコワ~い! そしてなんか見たことある~! ……となったわけです。




 その面白い部分とは!?
 本作に関して言えば……。

『もしも宇宙由来の未知のパンデミックが発生意したら、いかにして対処されるか?』

 ……というシミュレーション要素を、リアルにクレバーに映像化したところです。
 それこそが監督・スタッフ・キャスト陣の功績な気がします。

 特に、物語の主な舞台となる地下五階まで建設された極秘ハイテク施設、ワイルドファイア研究所のセット描写が素晴らしい。
 もちろん、作られたのは1971年時の映画技術製なので、2025年現在の映画基準で見れば、なかなかに古臭いのは否めないのですが、それすら本作では味わい深いのです。
 一階降りる毎に行われる入念かつ恐ろしい滅菌作業のセットと描写や、マジックハンドによるマウス実験や、レーザーメスや、パチパチ言う高性能コンピュータによる、AIもかくやという画像分析シーンが、より混じりっけの無い宇宙由来の微生物の恐怖を際立たせるのです。




 そしてもちろん、マイケル・クライトンが書いた硬質なシミュレーション度の高い物語も素晴らしいのです。

 本作品の物語が『もしも宇宙由来の未知のパンデミックが発生意したら、いかにして対処されるか?』を描くことを目的とした場合の‥‥。
 それは起きるとしたら何故、どんな状況においてか?
 それが起きた場合、舞台となるアメリカではどのような対処が、どのような順番で行われて、最終手段として何が行われるか?
 宇宙由来の病原体が人間を襲うとしたら、それはどのような存在が考えられるか?
 その存在に対し、如何なる対抗策が考えられるか?
 …………などなどが、今でいうモキュメンタリーのような、実際に起きた出来事の再現ドラマのようなテイストで、必要最低限の人間ドラマを描きつつ、恐ろしく理路整然と描かれてゆくところが面白く、そしておっかないのです。
 なにしろ宇宙由来の話ですので、いつの日か、実際に我々の身に起きやしないかという不安があるのです。

 そして、なんだかんだ言いつつも、それらの要素が収束した結果、結果的にちゃんとエンタメとして楽しめたところが凄いのです。
 クライマックスはなんやかんやあって件の巨大セットを用いたアクションシーンで締めますしね!






 さらにもう一つ、本作の最も注目すべき要素は、その後世に与えた影響です。
 2020年前後に世界を襲ったコロナ禍への、巡り巡っての影響と預言はもちろんですが‥‥‥。
 フィクションではありますが、本作のパンデミック対策に関する描写やセンスは、後の様々な映画、アニメ等々のインスパイア元となっているのです。

 なかでも顕著なのはTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』第拾参話『使途、侵入』回です!

 細菌サイズの敵、コンピュータによる分析と対処、縦長の巨大円筒状施設という舞台、最後は施設の〇〇の危機‥‥‥と、20世紀末に『アンドロメダ…』をリビルドしたが『新世紀エヴァンゲリオン』第拾参話『使途、侵入』なのではないでしょ…………601





 さてここでいつものトリビア!

 この映画の撮影現場で働いていた若きスティーブン・スピルバーグは、現場に視察に来たマイケル・クライトンと出会い、後に映画『ジュラシックパーク』の監督・原作の関係……となったそうな。

 また本作のリメイクが『アンドロメダ・ストレイン』というタイトル前後篇TV映画として2008年に放映されており、1971年から2008年当時の情勢や科学技術、映像技術を元に、よりスケールアップした『アンドロメダ』との戦いが描かれており、こちらもオススメですよ!


 ‥‥‥ってなわけで『アンドロメダ…』もし未見ならオススメですぜ!!




 映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるという、めっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍以後の現代社会において、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。





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第二三七回『ライアン・ホニャララ主演のフで始まるナントカ・ガイって映画なんだっけ?“フォールガイ”』




 
『フォールガイ』
2024年公開
監督:デヴィッド・リーチ
原作:ドラマ『俺たち賞金稼ぎ!! フォール・ガイ』
出演:ライアン・ゴズリング エミリー・ブラント アーロン・テイラー=ジョンソン ジェ〇〇〇・〇〇〇 他


 あらすじ

 ベテランのスタントマン、コルト・シーバース(演:ライアン・ゴズリング)は、ハリウッド映画界を代表するアクション・スター、トム・ライダー(演:アーロン・テイラー・ジョンソン)のスタントダブル(専属代役)として数々の大作アクション映画で危険なスタントをこなし、監督志望のカメラマン、ジュディ(演:エミリー・ブラント)とも恋仲になり、順風満帆の人生であった。
 が、ある日のスタントで失敗し大怪我を負い、コルトはそのままスタントマンを休業、ジュディの前からも姿を消す。

 それから18か月後……。

 コルトは、リハビリしつつレストランのしがない配車係として糊口を凌ぐ日々を送っていた。
 が、そんなある日、トム・ライダー専属のプロデューサーのゲイル(演:ハンナ・ワディンガム)から電話があり、彼主演の新作SFアクション大作映画『メタル・ストーム』でのトムのスタントダブルを依頼される。
 スタントマンとして自信喪失していたコルトは、その依頼を最初は渋ったものの、件の『メタル・ストーム』の監督がジュディであることを告げられると、彼女への未練からそのオファーを受けることを決め、撮影地であるオーストラリアはシドニーへと飛ぶ。


 そして撮影地につくなり、知古のスタッフと共にスタントマンとしてこき使われるコルト。
 さらに再開したジュディは、黙って去っていったコルトに対して大いに怒りを抱いたままであった。

 しかも、ゲイツに呼び出されたコルトは、なんと主演俳優であるトム・ライダーが行方不明なので探し出して欲しいという謎のオファーを受ける。
 スタントマンの仕事ではないと断るコルトであったが、トム・ライダーが見つからねばジュディの初監督映画がポシャると言われ、仕方なくトム探しを開始するのであった。

 果たしてコルトはトム・ライダーを無事探し出し、ジュディの映画を完成させ、彼女のハートを取り戻すことが出来るのであろうか!?





 さて今回は、近年活躍目覚ましいハリウッドスター、ライアン・ゴズリングが、THE・命がけの職業・スタントマンを演じながら、ハリウッド映画業界の裏側で起きた騒動に巻き込まれる一本を紹介したいと思います。



 監督はデヴィッド・リーチ。
 本コーナーで言えば『ジョン・ウィック』『ワイルドスピード:スーパーコンボ』や『ブレット・トレイン』を撮ったお方。
 そして元ブラッド・ピットやジャン・クロード・ヴァンダムのスタントダブルとして活躍してきたスタントマンという、中々他で聞かない経歴の監督です。
 つまり、このスタントマンofスタントマン映画である本作を撮る為にいるようなお方です。

 その監督としての特色は、独特なユーモアセンスと共に、ド派手なアクション映像を見せますが、VFXもふんだんに使うところ。
 でも本作では、その物語の関係上、ほぼほぼVFXに頼らないリアルガチスタントの数々でド派手アクションを見せてくれております。
 



 で、主人公のスタントマン、コルト・シーバースを演じるのは件のライアン・ゴズリング。
 本コーナーで言えば、『ナイスガイズ』や『ブレードランナー2049』などの他、『バービー』や『ララ・ランド』など、コメディも歌もダンスもアンドロイドもアクションもなんでも出来ちゃうイケメン俳優です。
 今回は、本作のプロデューサーも務めながら、スタンマンとしては勇敢で優秀だけれど、それ意外は割とポンコツな男を、身体を張り乍ら面白おかしく軽妙に演じております。
 そのさじ加減の上手さが彼の凄いところだと筆者は思うんだな!
 あと2026年公開予定の主演最新作『プロジェクト・ヘイルメアリー』がとてもとても楽しみなお方です。




 そして共演者たちは!
 主人公のコルトの元カノの映画監督ジュディ役にエミリー・ブラント。
 本コーナーで言えば、トム・クルーズ主演のSFアクション『オール・ユー・ニード・イズ・キル』で、パワードスーツを着込んで侵略生物と戦ったり、『プラダを着た悪魔』でアン・ハサウェイをいびったり、『メリーポピンズ・リターンズ』や『クワイエット・プレイス』で主演だった、コメディもアクションもミュージカルもできる売れっ子女優です。
 

 そして本作の物語の騒動の中心にいるハリウッド映画界屈指のアクションスター、トム・ライダー役に、アーロン・テイラー・ジョンソン。
 ポンコツ・ヴィジランテ映画『キックアス』やMCUヒーローのクイックシルバーや、スパイダーマンのヴィランの単独映画『クレイヴン』や、本コーナーも語ったクリストファー・ノーラン監督作『テネット』にも出演していた売れっ子俳優です。
 本作では実に楽しそうに演じる彼は見れます。


 その他、ハンナ・ワディンガムやウィンストン・デュークやステファニー・スーにテリーサ・パーマーなど、少々クセつよなキャストが集められております。
 あと最後にアッと驚く豪華ゲストが……。




 うむ、実力と人気がバランス良く取り合わさったナイスなキャスティングです。




 そんな実績充分な監督・スタッフと、バランス良きキャスティングでお送りされた本作を、筆者は予告編で存在を知った時から大そう期待し、劇場に見に行ったものです。

 しかしてその結果は!?

 最初に言っておいてしまえば、本作はビジネス的尺度でカテゴライズしてしまえば、残念ながらなかなかにコケた映画ということになります。
 大作映画と言っていい製作費用の1.5倍程しか、売り上げを出せなかったそうですから……(利益が出るのは製作費の三倍以上の儲けからという話に基づくと)。

 筆者もまた、本作を初めて見た時は、残念ながら期待したほどには面白かった~! ……とはならなかったのが本音です。
 
 それが何故かと考えたならば、個人的に映画序盤が物語的にも編集的にもスローテンポに感じたことと、作中の事件の真相に、あまり爽快感を感じなかったからかもしれません。

 世間で本作が製作費に大してそこまで儲からなかった理由が、筆者が感じたことと同じかは分かりませんが、ともあれ、かけた予算に見合った売り上げは得られなかったのは事実なようです。




 ……ですが……しかし……それでも、本作は本コーナーで語ってきた他の多くのコケた作品と同じように、語るべき価値ある良い映画だと思うのです。

 まぁ作った人たちにとって利益が出なかったのは残念ですが、見る我々にはあまり関係はありませんしね!



 筆者は本作を、初見では期待した程には面白くなかったと感じましたが、それはあくまで筆者の“勝手な期待値”に比しての話であって、後日見直した時は普通以上には楽しめたのです。

 また、本作は製作費に見あった売り上げは出ませんでしたが、売り上げ自体は大ヒットと言って良い数値であった……とも言えます。


 ようするに、色々ノイズを言ってしまいましたが本作は観客の立場で見る分には充分面白いのです!





 しかして、ではどこが面白かったのか? というと……。

 まず筆者が好きな部分は、どこかまでは脚本でどこからがアドリブかわからないキャスト陣の掛け合いです。
 数々の映画ネタが散りばめられた作中映画ネタとセリフの数々も嬉しい!
 作中映画『メタル・ストーム』が、控えめに言っても『デューン砂の惑星』と『マッドマックス:怒りのデスロード』のゴチャまぜばったもんで、ぜ~ったいにつまらなそうなのも微笑ましい。
 また、ライアン・ゴズリングが泰然自若として格好いい雰囲気を出しつつも、実は何も考えてないだけなんじゃないか? という疑惑が沸く絶妙なキャラを飄々と演じているところが好きなのです。




 そしてもちろん、数々の大迫力のスタントシーンが素晴らしいのです。
 VFX技術は使われてはいますが、それはワイヤーを消すなどの補助であり、生身の人間が、高所からの転落に、様々なカースタント、銃撃戦に、肉弾戦、ボートでの海上チェイス、などなど実際に危険極まるアクションに挑んだ映像が、物語の中であらゆる口実のもとにわんさかと見ることができるのです。
 もちろん、そのスタントはそれぞれの専門スタントマンがライアン・ゴズリングの代役として挑んでいますが、ライアン・ゴズリング自身も、素人基準で言えば充分危険だよぉぉ! となる撮影を自らこなしており目が離せません。

 ちなみに筆者が好きなのは、後半に失踪中のトム・ライダー(※作品世界にトム・クルーズは別に存在する)の部屋で行われる悪漢達とのド付き合いバトルシーンで、コルトが自分が転落する場所にあらかじめソファーを移動させてから、その上の高所で戦うところ。
 さすがスタントマンやでぇ。

 そしてそれらの要素をもってして、本作が数々の映画映像作品で活躍するスタントマン賛歌となっている部分が好きなのです。
 そりゃ元スタントマンが監督だからって、あからさまなくらいなんですけどね!
 本作はエンタメ作品としてだけでなく、世界の人々に、映画映像製作の裏で活躍するスタントマンの活躍を知ってもらうというメッセージ性が込められているところが好きなのです。
 それはもうド頭からエンドロールまでみっちりとね!






 さてここでいつものトリビア。

 なんと作中映画『メタル・ストーム』には、同タイトルの元ネタとなった映画が存在するそうで。

 映画冒頭で自らおっかないスタントをこなすライアン・ゴズリングですが、彼は高所恐怖症なんだって。

 本作は、序盤で行われる、猛スピードで走行した車が激しく横転する『キャノンロール』というスタントで、横転した回数で『007:カジノロワイヤル』での記録を塗り替え、ギネス世界一となったんだって!




 ……ってなわけで『フォールガイ』もし未見ならオススメですぜ!!