昨日、李登輝閣下がお亡くなられたとの報に接しました。今年初めから牛乳を誤嚥され、体調を崩されているとお聞きしていましたが、97歳の大往生でした。
ご縁があって淡水の事務所で5年前に直にお会いすることができました。
田母神閣下を団長に、お仏壇のはせがわの長谷川相談役や関家具の関社長など豪華なゲストとともに福岡県郷友連盟の主催で訪問団を結成し、私も運営幹事としていきました。
会議室で待っていると李登輝閣下がお出ましになりました。すると会議室が一瞬明るくなったような気がしたのです。人間にはオーラがあってそのオーラがある程度わかるのですが、今まで私がお会いした人の中で一番強烈なオーラを放っておられたのが印象的でした。
こちら側にも田母神閣下をはじめそうそうたるメンバーがおられたのですが、李登輝閣下のオーラの前ではすべてが色あせたと言っても過言ではないくらいに見事なものでした。
それが威厳は満ちていますが威圧感はなく、圧倒的な存在にもかかわらず何か優しさや温かさを感じるのです。
そして言葉の一つ一つに人生の深い意味と、人間の大きさを誰でもにも感じさせるものがありました。
もし、台湾に李登輝総統が登場しなければどうなったと思います?
韓国と同じとは言いませんが、指導者次第でそれに近い反日国家になっていた危険性があるのです。もちろん庶民の心の中には日本時代の郷愁があり、日本時代に知識と道徳の教育を受けたという下地がありますが、蒋介石と大陸から連れてきた国民党の人たちが親日的なものを公から一切消していったのです。
あの烏山頭ダムの八田與一技師の銅像も心ある住民が隠していましたし、李登輝閣下が総統に成るまで台湾には戒厳令が敷かれていました。あちこちに蒋介石の秘密警察と密告者がいて、言論が大幅に制限されていたのです。
私たちの友人である鐘さんは十数年に渡って監獄に政治犯として捉えられていたため、絶対私たちを中正紀念堂などには案内しませんでした。すぐに蒋介石と秘密警察のことがガイド中に出てくるのです。
内省人(台湾にルーツを持つ人)と外省人(蒋介石と共に大陸から来た人)たちの対立があり、数に劣る外省人は、前述の秘密警察を使って国民の思想を支配していたのです。
その反面、経済は自由に発展させていたので、アジアの中でも一人当たりのGDPが高い国でした。
李登輝閣下は生粋の政治家ではありません。学者です。それも台湾出身の台湾を愛する学者でした。その提案は具体的ですべてが台湾国民のためというところにつながっていったのです。
その稀有な能力に目を付けた蒋経国(蒋介石の息子で後継者)が政治の舞台に引っ張り出し、異例の副総統にまで抜擢します。
そして副総統時代に蒋経国が急死し、急遽、台湾総統に就任することになるのです。
そして、台湾国民にとって良いものはいい、悪いものは悪いという判断基準を明確に持ち、次々と改革を打ち出していかれたのです。
私たちがお会いした時も、その時の苦労を語っておられましたが、40年以上にわたる国民党支配、それも台湾の出身でない大陸出身者である外省人の利権がはびこる政治体制を1000日かけて壮絶な戦いを旧守派と繰り広げ、確固たる信念を曲げずに根気強く推し進めた結果、それまで続いてきた戒厳令を解除し、終身立法委員制度を廃止し、次の総統選挙は国民が直接選挙できる民選を実現するのです。
反政府勢力とも腹を割って話をし、どんどん味方・支持者を増やしていきました。
それができたのは、ひとえに武士道を日本精神の中核と見なし、台湾国民のためという無私無欲のまっすぐな政治信条が人々の心に響いた結果だと思っております。
それを実際にお会いして肌で感じました。自分は何のために政治家になったのかという自分自身の問いの答えだったのです。
そこには、22歳まで日本人として教育を受け、天皇陛下の存在に真の国の元首とは何なのかを閣下自らお考えになった結果ではないでしょうか。
私流に「日本精神」を考えると、天皇陛下がお示しになっている無私の存在で、国の中心であること。それが定まってこそ、人々が安心して豊かに助け合って生きる国づくりができるのです。それを李登輝閣下も実践されてきたので、内省人・外省人を問わず、国民党・民進党支持者を超えて台湾という国家の独立が果たせたと思っております。
この民主選挙の時は、CHINAからミサイルで威嚇され、武力侵攻もあるのかという位に圧力をかけてきましたが、李登輝総統は私には対抗策があると頼もしい指導者の姿を国民に見せて、安心させたというエピソードもあります。
国家の柱として生きることを決意されて来たからこそ、人々の心が自然と李登輝閣下の元に集まり、そこに優秀な人材が育っていったのです。
蔡英文総統もその優秀な側近の一人でした。一期目は理想が先走り、ちょっと危なっかしい政権運営でしたが、香港危機を端に発するCHINAの横暴さを引き出し、台湾国民にそれを見せつけることに成功し、圧勝しました。
そしてアメリカと強い絆を築き、アメリカを巻き込んでの台湾の安全保障政策をどんどん実現しています。
このように台湾は総統のもとにエリートを集め、英才教育及びに実務経験をさせながら育てていっています。次世代を担う人材も既に存在し、着々とそのキャリアと実績を積み重ねています。
有料ウエッブマガジンでは次世代の台湾の指導者の名前を明記したいと思います。この人の名前は台湾の高官から聞いたもので、調べていくとなるほどというほどの人材です。
このように李登輝イズムはきちんと後継されており、それがある限り優秀な台湾人は図体がデカいだけのCHINAに飲み込まれることはありません。
97歳で大往生された李登輝閣下の御冥福をお祈りするとともに、日台の絆もしっかり守っていく一翼を担うことをここで宣言したいと思います。
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