昨日と一昨日は福岡でも大雪でほとんどの交通手段が立たれる中、福岡市の交通手段の大きな足である西鉄バスと電車と市営地下鉄は元気に動いていました。
それによってどれだけたくさんの人が助かったことでしょう。
普通はマイカーで移動する私も年に一度あるかないかの積雪のためにスタッドレスタイヤやチェーンを持つこともなく二日間車は使えませんでした。
でも、日曜日日ごろからお世話になっている兄貴分の吉田城世上席師範が大会委員長を務める亀本先生の傘寿のお祝いの詩吟会が大牟田であるのです。大牟田市は福岡県の最南端にあり、すぐ隣は熊本県となります。
それを演奏する仲間を乗せて車で行く予定にしていましたが、大雪のため断念。だめかと思ってネットで調べるとなんと西鉄電車は動いているではありませんか。
道路は冠雪、ノーマルタイヤでは全く動けません。タクシー会社に電話をしてもどこも話し中。もうだめかと思ってダメモトでもう一度かけてみるとちょうど出勤してきた運転士さんがおられ、迎えに来てもらうことになりました。
二人を拾って大牟田線へ、そして数分遅れの電車に乗り込んで一安心しましたが、小郡、久留米と行くにしたがってここ本当に福岡?という情景が広がりました。
雪で♬「どこが道やら川さへ知れず」状態で、行くときから帰りの心配をし始めました。
しかし、恩人が大会委員長をする大切な会の出演です。義理を欠かすわけにはいきません。
傘寿(そつじゅ)というお祝いをご存知ですか?これは八十歳のお祝いのことで、傘の字が八十に見えることからそう呼ばれています。
この方を兄と慕う兄貴分の会です。何とか無事に終えることができましたが、少し前に大病をされてから、めっきり弱られ、ほんの数年前までは力強い詩吟をされていた亀本先生の往時の姿は見る影もありません。
八十歳の大先輩が詩吟に詰まると、七十歳を超えた吉田先生がそれを支えるように吟でカバーするのです。この二人の一緒に吟道を歩んできた歳月がうかがい知れる光景でしたが、さらに吟じ終えた大先輩を吉田先生が置いた父親をかばうように手を取って舞台を降りる姿を見て、胸が熱くなりました。
同門の同志というのはこういうものか、大先輩を労わる後輩、といっても70歳を過ぎていますが、の姿をまじまじと見ることができて感動しました。
しかし、福岡まで帰らなくてはなりません。懇親会の乾杯が終わるとすぐに失礼をして電車に飛び乗りました。
6時過ぎであたりは既に暗くなっています。電車の中が冷蔵庫のように冷えるのです。
一時間で普通は福岡市の中心部の天神までつくのですが、吹雪の中わずか20分遅れで着くことができました。
途中、列車の一部のドアは凍結のため開かなかったり、雪が降り積もって信号見えなくて徐行運転をしたりと大変でした。列車の窓を触ると結露が凍っており、列車内も暖房が全く効かない状況だったのです。
でも、安全に運航していただいた西鉄の職員の方に大感謝を申し上げたいと思います。
もし、福岡県の南北を結ぶこの電車が止れば、その影響は大きいものがありました。西鉄マンの誇りとしてなんとか電車を動かし続けるとみなさんが寒い中総出で電車を動かし続けられたのです。
福岡市内に帰ってくると日ごろの五十分の一も車が走っていません。タクシーを止めようにも走っておらず、どうしようかとしていると、西鉄バスは動いているのです。
吹雪のような雪の中、バスが動いており、一人はそれに乗って帰りました。私は家が地下鉄の駅のそばにあるので帰ることができるのですが、もう一人はタクシーでなければ荷物もあるために帰れないのです。
すると駅で降りるタクシーを見つけてやっとそれに乗り込み、送っていくことができました。
やはり私の運の強さでしょうか。
きくと多くのタクシー会社も雪のため乗務員が出勤してこられないのと、自己の発生率が高くなるということで稼働しているタクシーはほんのわずかだったそうです。
こんな大雪の日は家でじっとしてDVDでも見てるに限るのですが、義理人情の世界でどうしても欠かせない事情がある時には公共交通機関の方々の誇りをかける努力がとても嬉しく思えます。
これが他の国だったらどうなるのでしょうか?
あそこまで過酷な自然条件の中で電車やバスを止めないという気持ちで全社員が出社し、働くのでしょうか?
やはりこれは日本人特有の仕事に対する使命感の大きさだと思っております。
九州電力の職員も原子力発電所が稼働していない時に、電力需要が逼迫すると絶対に電気を絶やすことはしないと採算を度外視して他の電力会社から融通してもらっていたと聞きます。
老朽化した火力発電所を常に整備して常に稼働させることができるように徹夜で何度も修理をしたと聞いています。
こういう公共のインフラを提供する日本の働く人たちのおかげで私たちは世界一便利な国に暮らせるのです。
電気のスィッチをつけたら、明かりが灯りテレビがつくのが当たり前と思っている人がいます。
電車の到着が少しでも遅れると駅員にかみつく人もいます。
恥の文化の日本では恥ずかしい行為です。
一所懸命に支えている人たちに感謝こそすれ、文句を言うなど言語道断です。
電車がどれだけ遅れているかを聞くのも憚られます。しかし、私一人ではないので駅員さんにお電話しました。
「こんなに大変な時にお時間を取らせて申し訳ありません・・・・」と
すると、駅員さんは、「こちらこそ列車が遅れて申し訳ありません」と謝るのです。
「いやいやそんなことはないですよ、こんな状態でも電車を動かし続けていただいてありがとうございます」
「いえいえ申し訳ありません」
こういうやり取りがしばらく続くのです。
これを無駄だと感じるのか、お互いの誠意が通じ合っているのかと感じるのか大きな違いがあります。
せっかくネットで情報を流せるのだから、そこをうまく活用すればいいのにと思う反面、どんな状況下でも安全にお客様をお乗せするという西鉄マンの誇りが感じられ、また胸が熱くなりました。
ニュースでは反対や批判ばかりする左巻きが目立っていて日本はいったいどうなったのかと思う毎日ですが、このような駅員さんや見えない保線区の方々の働きによって電車が動き続けているのを見ると、やはり日本人の民度は高い!と感謝せざるを得ません。
日ごろあまり電車を使わない私ですが、次にもし西鉄電車が止まったとすれば、よほどの大きな原因があったのだと思うようにします。
私が経験した西鉄電車の出来事ですが、その他にも日本全国で国民の足を確保するために懸命な働きをされた方がが大勢いらっしゃるはずです。
その方々にも感謝の意を捧げたいと思います。
できれば、日本国民がそれに気づいていただき、感謝の意を捧げてほしいと思います。すると、それは自然に靖国神社の英霊の方々への感謝に繋がると思うのですが・・・。