海外の諜報活動を活発化せよ | 井上政典のブログ

井上政典のブログ

 歴史を通じて未来を見よう。

 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 アルジェリアで起こった悲惨なまた愚劣なテロ活動に怒りを禁じえません。

 亡くなられた日揮の社員の方々のご冥福をお祈りします。合掌。

 今回の事件で政府の対応が遅いだとか、情報が不足しているとかの批判はありましたが、安倍内閣は現時点ではきちんと対応が出来たと思っています。不足している情報源をイギリスからもらえたというのは、首相どうしの信頼関係がないとできないことです。

 以前、機密をポロっと漏らした今はなき人騒がせおばさん大臣がいましたが、ああいうことしていると自国の兵士の命が危険にさらされることにつながるために、一切の情報が出てきません。

 このような痛ましい事件がまだ民主党政権下ではなく安倍政権下で起こったことはまだましでした。

 ただ、不満なのは外務省に対してで、いったい在アルジェリア大使館は何をしているのかということです。その役割を問う時期が来ているのではないでしょうか?

 在アルジェリア大使館の職員はアルジェリア政府とのパイプを作り、そこから情報をもらうのが仕事ではないのでしょうか?これは今始まったことではなく、以前から海外で事件が起こると大使館からの情報ではなく、現地の商社からの情報が唯一の頼りでした。

 歴史的に見ても、鎖国をしている徳川時代でも、元寇の情報は商人からの情報に頼っていたのが日本でした。

 ただ、明治期になりロシアとの戦争を控え、情報将校が各地を周り綿密な情報を集めました。その代表格が福島安正です。彼はヨーロッパでの任期が終えると単独でシベリアを横断してきます。

 途中、ロシアに虐げられている国々の情報を集め、ロシア軍の中身を調べ、一命を賭して集めた情報を陸軍に持ち帰ります。その情報を綿密に分析し立てたのが、明石元二郎大佐による反帝政ロシア勢力の結集により、後方からロシアを撹乱するという途方もない作戦でした。

 それは見事に成功し、ロシアは戦争を継続することができずに日露戦争は日本の勝利となりました。これは、福島安正の卓越した語学力と交渉力の成果でした。もしそれがなければ、日清・日露の戦争は日本に勝利をもたらすことができませんでした。

 その時はロシアに組み込まれていたポーランド兵に対して宣撫工作を行い、投降させたことによりロシア軍内で各部隊の信頼感がなくなり、ちょっと日本軍から攻め込まれると潰走してしまったことも度々ありました。軍隊で最も必要な強固な団結を諜報活動で得た情報で潰したのです。

 大東亜戦争の時も、諜報部が活躍し、マレー半島では後に「怪傑ハリマオ」で知られる谷豊らが英軍に組み込まれていたインド兵士の内情を掴んでいたから、インド兵士を投降させ、英軍を壊滅させたのであれだけ迅速に攻略できました。

 ビルマにいたF機関の働きも忘れてはなりません。

 戦後、日本は海外の情報はもっぱら商社によるものがほとんどではないでしょうか?

 今回の在アルジェリア大使館の果たした役割はどうだったのかをきちんと検証しないと、海外で働く駐在員は安心して働けなくなります。

 アフリカへはCHINA人が大量に出稼ぎに行って現地での諍いも多いと聞いていますが、この事件を機に日本がアフリカへの進出を鈍らせたら、CHINAの資源戦略の思う壺だと考えるのは考えすぎなのでしょうか。

 近代兵器はすごい性能を持っていますが、値段も高く、あのプラントを制圧するだけの武器弾薬をどうやって購入したのかという資金の流れを把握しないとまたああいう事件が起こるのではないでしょうか。

 今日のテレビ朝日のモーニングバードでは、もう日本は中東にとって昔のような特別な国ではなく、欧米と同じように見られているとコメンテーターが発言していましたが、私はまだそれを信じることができません。

 イスラム教徒は受けた恩に対しては、とても感謝の意を表し、代々覚えているものだと複数の研究者や実際に彼の地に住んだ方から聞いたことがあります。

 ただ、今回はどうしてもお金で雇われているように思えてなりません。こういう不確かな情報しかないのが日本の現状です。

 外務省は特定の国の顔色を伺うのではなく、もっと大使館員がその国の情勢や人脈を広げる活動をすべきだと思います。その諜報網があって初めて日本人が海外で安全に生活ができるのではないでしょうか。

 もう、他国の公正と信義に信頼するのは卒業して、日本独自の情報を収集できる体制にしなければならないと思います。